◆散歩コース◆

体力度:★☆☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 1月~6月、9月~12月
  • 最高地点 456m(最明寺史跡公園)
  • 登山開始地点 80m(松田山入口バス停)
  • 歩行時間 2時間30分
  • 歩行距離 約7.5km
スタート
松田山入口バス停
バス停近くの桜観音に寄ってから舗装の農道を上がる。最初はけっこうきつい坂道。物言い坂はそれほどでもないが、公園までは延々と坂道になる。

最明寺史跡公園
公園からはまた舗装の農道をひたすら下っていく。途中で展望が開け、足柄平野、富士山の眺めがいい。

ハーブガーデンへの分岐
分岐から左に行けば、松田町自然館やハーブガーデンへ。直進すればJR松田駅から新松田駅方面へ。

ゴール
新松田駅

アクセス:
[行き]新宿駅から小田急小田原線で新松田駅へ、新松田駅から富士急湘南バスで松田山入口バス停へ。約1時間30分。
[帰り]新松田駅から小田急小田原線で新宿駅へ。約1時間20分。

時間によっては新松田駅から松田山入口バス停まで歩く方法も。距離は2km少しなので、歩いても30分程度で行ける。

丹沢山塊の最南部にある知られざる名低山。

コースとしては、寄(やどりき)方面から上がって、最明寺史跡公園に登るのが一般的かもしれない。

紹介するのは、反対側の松田山入口までバスで行き、そこから登って公園へ。そしてまた下って松田の街へ下りるという、いたってシンプルなコースにした。

いつぞや、松田に寄った際に、ある店の方が、「桜の季節にまた来てください。最明寺公園は桃源郷のようになりますから」と。

それを聞いてから何年経ったか。今回も春だったが、3月の上旬だった。麓には早咲きの桜が咲いていたが、公園内の桜はまだで、桃源郷ならぬ冬枯れの風景に近かった。

スタートはバス停だ。近くに桜観音と呼ばれる長谷観音寺があるので寄ってみる。十一面観音菩薩立像が本尊で、大和と鎌倉の長谷観音寺にある観音菩薩と同じ一本の木を三分して奈良時代の僧、行基がつくったとされる。

寺から戻って「最明寺史跡公園・ハイキングコース入口」の標識を見て舗装路を登りはじめた。最初に断っておくが、このルートは最初から最後まで道は舗装されているので、歩きやすいというか、歩きにくいというか、考え方次第か。

上がって行くと景色が少しずつ変わっていく。入り口から30分ほどで視界が開けてきた。足柄平野と、大きな山。明神ヶ岳だろう。また少し上がると、酒匂川の流れが視界に入ってきた。いい眺めだ。

バス停から上がって物言い坂手前あたり。眺望が開け、足柄平野、酒匂川、遠く小田原の 市街が見えてくる。
バス停から上がって物言い坂手前あたり。眺望が開け、足柄平野、酒匂川、遠く小田原の 市街が見えてくる。

先でカーブに差し掛かると、白い標識に何やら文言が。この先500mは「物言い坂」という場所で、農道改修前は急坂だった。最明寺への荷物運搬には馬を使っていたが、ある日、仔馬が登れずにいたところ、母馬が何か言い聞かせて登らせたという言い伝え。

500mを登ったが、今は普通の勾配のようで、難なく上がった。

最明寺史跡公園で早咲きの桜を楽しむ

麓の入り口から1時間強かかって公園に着いた。やはり桜の時期には早かったが、早咲きのものが数本。かなり広い場所にテーブルとベンチ。そこに座って、誰もいない桃源郷を独り占めした。

ここ最明寺史跡公園には、かつて寺があった。鎌倉時代(1221年)に、源頼朝の信頼が厚かった源延という僧侶が、松田庶子山に建立。その頃は西明寺。その後、室町時代後期の動乱などで寺は衰退、1469年(文明元)に松田山から今の大井町の金子に移転し、最明寺となった。

公園の先で下山開始。といっても農道の下山だが。樹林のなかの農道をぐんぐん下って行って、ようやく視界が開けたと思ったら、いきなり前方に富士山。近くの畑の菜の花と酒匂川も下方に見える。

最明寺史跡公園から下ってくると富士山の眺望のいい場所があった。その農道周辺にきれいな菜の花が咲いていた。桜もいいが菜の花も春の息吹がしていいものだ。
最明寺史跡公園から下ってくると富士山の眺望のいい場所があった。その農道周辺にきれいな菜の花が咲いていた。桜もいいが菜の花も春の息吹がしていいものだ。
公園から下りてくると後半は展望が開けてくる。富士山の下に山々が見える。左から金時山、正面のやや左が矢倉岳、その右が浜居場城跡のある山になる。
公園から下りてくると後半は展望が開けてくる。富士山の下に山々が見える。左から金時山、正面のやや左が矢倉岳、その右が浜居場城跡のある山になる。
最明寺史跡公園から下山中に道端にあった石仏。昔からここに立っていたのだろうか。味わいのある石仏だった。
最明寺史跡公園から下山中に道端にあった石仏。昔からここに立っていたのだろうか。味わいのある石仏だった。

公園の桃源郷にはやや早かったが、下りで出会った富士山と菜の花の景色も桃源郷と言っていいような気がした。

松田駅近くから松田山のシンボル、円筒形の松田山ハーブ館の建物が見える。館内にはレストラン(休業中)などがある。
松田駅近くから松田山のシンボル、円筒形の松田山ハーブ館の建物が見える。館内にはレストラン(休業中)などがある。

山歩きメモ

最明寺史跡公園から松田山みどりの風自然遊歩道を辿って寄方面に下りるコースもある。一般的には新松田駅からバスで寄行きのバスに乗って、田代向バス停から松田山へ来る。

アドバイス

このコースは山には登るが、登山道とはいえない農道。それも舗装路なので登山靴はいらないかも。軽めのウォーキングシューズあたりがちょうどいい。

最明寺史跡公園

オオシマザクラが咲き乱れる桃源郷

最明寺史跡公園の中。何となくいいところだ。寺の護摩堂跡には石碑が立っている。
最明寺史跡公園の中。何となくいいところだ。寺の護摩堂跡には石碑が立っている。
海抜550mに位置する最明寺史跡公園にある池。この周辺に桜以外の花も咲き乱れる。
海抜550mに位置する最明寺史跡公園にある池。この周辺に桜以外の花も咲き乱れる。

いまや桜の名所となった最明寺史跡公園。桜は毎年4月10日前後が百花繚乱の見頃だそうだ。寺があったことは本文に書いた通りだが、今は金子にある。寺が移転しても松田庶子では信仰が続いていて、毎年4月には守護仏の善光寺如来像を前に施餓鬼会(せがきえ)を営んできたという。また本尊を持ち帰って家々を1泊ずつ回して供養する習慣も残っている。

若松食堂

登山者や地元の人が集う地域密着食堂あり

自家製の特大肉シュウマイは3個で380円。1個からでも注文できる。
自家製の特大肉シュウマイは3個で380円。1個からでも注文できる。

新松田駅前のロマンス通りを左手に行くと、右手に王道の食堂がある。昔は蕎麦屋だったが、今は定食が充実している食堂で、お酒のつまみも充実。一杯が二杯に……となる山麓酒場でもある。魚介類のつまみがおすすめ。

●11:45~20:30(20:00LO)・土日祝は12:00~20:00(19:30LO)、日休(祝日不定休)。小田急電鉄小田原線新松田駅から徒歩2分 ☏0465・82・1957

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ 低山をきわめる!』より