山岸氏最後の弟子が立ち上げた店

カウンター8席に、4人掛けテーブル3卓を設置する。
カウンター8席に、4人掛けテーブル3卓を設置する。

店内に入り真っ先に目に飛び込むのは、山岸氏直筆のサインが入った書。達筆な筆文字で、力強い言葉が書いてあり目を引く。

店舗は、吾田(あずた)和彦店長が任される。「『大勝軒まるいち』の屋号で、ここと赤羽店のほか、渋谷店、新宿東南口店、西荻窪店の全5店舗を展開しています。全店舗とも山岸氏から受け継がれてきた精神と味を守っています」と話す。

スープや麺は、同じクオリティのものを提供できるよう工場で一括して作っており、毎日届けられている。

書は2枚掲げられ、山岸氏が大事にしてきたラーメン作りにかける熱い思いや人生に大事な心がけが書かれている。
書は2枚掲げられ、山岸氏が大事にしてきたラーメン作りにかける熱い思いや人生に大事な心がけが書かれている。
赤羽店で修業してこの店を任される吾田店長。
赤羽店で修業してこの店を任される吾田店長。

魚介の風味豊かなスープと喉ごしを追究した麺

麺の改良も行われ、以前使用していた麺に比べわずか0.4ミリ細くした。
麺の改良も行われ、以前使用していた麺に比べわずか0.4ミリ細くした。

使用する麺は1種類で、多加水の中太ストレート麺だ。このほど改良をして、より喉ごしがよく、それでいて小麦の風味をしっかり感じられる麺を作りあげた。

スープは、大量のトンコツと鶏ガラを使ってじっくり旨みを抽出。これに煮干しやさば節のダシを加えて、香り高く、奥深い味わいの濃厚スープが完成する。

店舗で作る自家製の煮卵。半熟具合と煮汁の味が染みこんだコクがたまらない。
店舗で作る自家製の煮卵。半熟具合と煮汁の味が染みこんだコクがたまらない。

豪華トッピングで味わう進化形つけ麺

丼からはみ出るほどのチャーシュー3枚、煮卵、ネギ、のりなどトッピングだけでもボリューム満点。
丼からはみ出るほどのチャーシュー3枚、煮卵、ネギ、のりなどトッピングだけでもボリューム満点。

今回注文したのは、豪華トッピングの特製まるいちつけめん1300円。麺の量は茹で前で並200g、大盛300g、特盛400gから選べる。

最初は自慢の麺を味わうべく、つけ汁にはひたさず、麺だけで味わってみてほしい。フワッと小麦の風味が香り、ツルツルとした表面で喉ごしもよい。噛めば噛むほど甘みを感じるのも特徴的だ。

スープはややとろみがあり、パンチのきいた味だが、刻みアーリーレッド(赤玉ねぎ)のシャキシャキ感やユズの香りが爽やかだ。

麺を投入し、しっかり絡めて味わってみれば、小麦と魚介の香りが鼻をくすぐり、奥深い味わいで、麺とスープが見事なコンビネーションを奏でる。

スープにはメンマや刻みチャーシューもゴロッと入っており、食べごたえがある。
スープにはメンマや刻みチャーシューもゴロッと入っており、食べごたえがある。

醬油のコクと塩けがきいたらーめんにも注目

らーめんの麺の量は、並180g、大盛り250g、特盛350gから選べる。
らーめんの麺の量は、並180g、大盛り250g、特盛350gから選べる。

らーめん850円も人気だ。豚骨、鶏ガラ、野菜、煮干しを煮出した香り豊かな1杯で、中太ストレートの麺とのバランスもとれている。トッピングの刻みネギやアーリーレッドがここでもいい役割を果たしており、濃厚だけどさっぱりと味わえる。

“大勝軒まるいち”としての味を追究し続けながらも、山岸氏の心と技をしっかり受け継いだ1杯。さらなる進化も期待できるので、これからもますます目が離せない。

住所:東京都豊島区西池袋5-2-1 サンポウビル本館1F/営業時間:11:00~22:50LO/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩5分

取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン

「東池袋大勝軒」と言えば、ラーメンの神様と呼ばれた故・山岸一雄氏の創業店。100人もの弟子を輩出し、暖簾分け店は全国に及ぶ。『大勝軒まるいち』創業者・田中栄一さんもその一人。2007年に閉店した「東池袋大勝軒」で最後の日まで働いた、いわば最後の弟子。山岸マスターの遺志を継ぎ都内に店舗を広げている。その系譜を辿って赤羽店に伺った。