新宿三丁目駅直結。毎日、国内外から200人以上の客がやってくるつけ麺店
2010年にオープンした『麺や百日紅』は、伊勢丹新宿店の向かいにあるビルの地下2階にある。地下道を利用すれば雨が降っていてもJR新宿駅から店まで行けるのはありがたい。仕事や買い物の途中でさっと食事をしたい人や、味に惚れ込んでくるお客さんも多数あり、老若男女に愛されている。
出入り口は2カ所あり、さっぱりとしたさらしののれんをくぐると、三日月型のカウンターに11席ある。駅そばのような気軽さがいい。
なんとこの店には毎日平均200人以上のお客さんがやってくる。年齢の幅はもちろん、新宿で働く外国人の方や国内外からやってくる観光客まで。取材中も外国人のお客さんが何人か食事をしていった。
「だから、いつでも誰にでもおいしいと言ってもらえる濃厚つけ麺とラーメンを提供することを心がけています」と、店長の安田貴則さん。
安田さんは「時間がない方でも楽しんでいただきたい。誰にでもおいしいと思ってもらえるおいしさを目指します(笑)」と控えめに答える。
煮干しとトンコツのイイトコ取り! バランスの取れた濃厚つけ麺
外の看板を見ても文字が圧倒的に大きかった濃厚煮干しつけ麺950円が食べてみたい。券売機にメニューが見当たらなかったが、左上にある煮干しつけ麺がそれらしい。きっとデフォルトで濃厚だから省いたのだろう。
麺は並200g、大300g、特400gから選ぶことができ、事前にオーダーすれば熱盛りも可能だ。今回は並サイズの冷やした麺をいただくことにした。
ぷ〜んと煮干しのいい香りとともにやってきた濃厚煮干しつけ麺。すごくおいしそう。早々に撮影を済ませていただきま〜す!
三河屋製麺謹製のオリジナル太麺をアツアツのスープにダイブ。煮干しの力強さはそのままに、とんこつの持ち味も生かしながら旨味を昇華している。う〜ん、絶妙にいいバランスだ。
安田さんが解説する。「麺とスープの相性にはトコトンこだわりました。喉ごしとか麺とスープの絡みの微妙な加減が難しくて。もう少し麺が太いとスープがあっさり感じてしまうし、これ以上細いと食べごたえがなくなってしまう。うちの濃厚なスープでおいしく召し上がっていただくために、三河屋製麺さんと一緒に何年もかけていきついたのがこの麺でした」。
チャーシューは低温調理で仕上げた鶏チャーシュー(ムネ)と北海道産の豚チャーシュー、国産豚の煮豚(豚バラ)の3種が乗っている。
前は煮豚だけだったそうだが、バリエーション豊かにバージョンアップ。「煮豚は意外と仕込みに手間がかかるんです。種類が増えたから手間も増えてるんじゃないかと思われますが、低温調理のチャーシューは比較的簡単にできて空き時間に仕込むことができるんです。お客様にも好評なのでお互いにいいことづくし(笑)」と安田さんは話す。
濃厚な煮干しスープの中に入っているゴロゴロしたチャーシューに夢中でかぶりついていると、「濃厚つけ麺には煮干しのほかに魚介スープもあるので、ぜひ食べ比べてみてくださいよ!」と、安田さんがもう1種類のスープを特別に出してくれた。
サバやカツオといった魚介の出汁にとんこつを合わせた濃厚なスープで、煮干しよりもやや醤油が利いている印象だ。こちらも魚介ととんこつのバランスが良くスルスルと食べられる。どっちもいいな〜。その日の気分で決めたいな〜。
最後は、ポットのアツアツスープを丼に注いでスープ割りにしてシメる。このスープは煮干しの2番出汁であっさりテイスト。濃厚な煮干しスープに加えると、また違った味わいに生まれ変わり飲み干したくなる。最後まで楽しませてもらった。ごちそうさまでした。
濃厚つけ麺から派生したカレーやガーリックつけ麺、煮干しそばも人気
『麺や百日紅』はコンパクトな店だがメニューの層が厚い。一番人気の濃厚つけ麺をベースに派生した煮干しカレーつけ麺や肉沢山ガーリックつけ麺、あっさりとした淡麗塩つけ麺などバリエーションが豊富だ。また、煮干しそばやまぜそばまであり、まさに痒いところに手が届くラインナップ。
「とにかく朝から晩までずっとお客様が絶えない店です。平日でも、ランチタイムのピークを過ぎた15、16時ごろに混み出したりすることがあって全然読めないです(笑)」。
『麺や百日紅』はさっとおいしいものを食べたい時の駆け込み寺。バリエーションも豊富だし、駅近だからサクッと食べて移動できる安心感がある。新宿三丁目駅周辺で食事に困ったらココへ! 筆者の頭の中にしっかりインプットしました。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢