温かみがあり高級感漂う店内。厳選したコーヒー豆を使用
池袋駅東口を出てロータリー越え、小道に入ると木目やレンガ調の外装が目を引く喫茶店がある。店内の立派な柱や梁は、秋田の古民家から移築されたもの。高級感とともに非日常感があり、店内に流れるクラシックのBGMもちょっと荘厳な雰囲気を醸しだし、敷居が高そうに感じるかもしれない。しかし、木の温もりがあるので居心地がよく、のんびりとした時間を過ごせるだろう。
『炭火煎珈琲 皇琲亭』を運営しているのは、世界各地のコーヒー豆を輸入販売する山下コーヒー。赤道を挟む南北25度の地域はコーヒーベルトといわれ、世界の代表的な生産国が集中している。その中でも厳しい品質基準をクリアしたコーヒー豆を調達しているという。
地下1階にはコーヒーの専門知識や経営ノウハウなど、カフェの知識が学べる専門学校も運営いて、モデルショップのような位置づけでもある。
有資格者が淹れる香りと風味が豊かなブレンド
この店で使用するコーヒー豆は、炭火焙煎している。時間はかかるが、そうすることによってより味に深みが増すという。
コーヒー豆は普通の店舗の倍以上という一杯に25gも使用し、注文を受けてから豆を挽いて淹れてくれる。
スタッフはコーヒーインストラクター2級以上を有している。抽出方法は「粗挽き一湯淹て(あらびきいっとうだて)」といい、挽いたコーヒーに途切れることなくお湯を注ぎ続ける淹れ方だ。
店舗責任者の三浦研さんは「炭火焙煎をした高品質のコーヒー豆を挽き立てで、確かな技術で淹れています」と話す。
運ばれてきたブレンド810円は香り高く、鼻をくすぐる。一口飲んでみると苦味と酸味のバランスがよく、スッキリとした後口。思わずため息をついてしまうほどの味わいだ。
口の中で甘みのあるコーヒーと生クリームが混ざり合う
オリジナルコーヒー「アンブル ドゥ レーヌ」810円は“琥珀の女王”ともいわれている。濃厚に抽出したコーヒーに砂糖を溶かし込ませてカクテルグラスに注ぎ、その上に生クリームをフロートしている。白と黒の2層に分かれた見た目の美しさも人気の一因になっているのだろう。
かき混ぜずにそのまま飲めば、やや甘めのコーヒーと生クリームが合わさって芳醇な味と香りが楽しめる。飲み進めているとグラスの中が琥珀色に染まっていく。
高級感のある雰囲気でコーヒーを楽しむ
カウンター後方の窓際にはウェッジウッドやマイセンをはじめ、各種カップが置かれている。客のイメージに合わせてスタッフが選んでくれるという。どんなカップで提供されるか、これも楽しみの一つだ。
ミルクポットやソーサーなどの銅製のアイテムは毎日磨いているため、顔が映り込むほどピカピカだ。
三浦さんは「店内やコーヒーカップなど、大人の雰囲気がありますが、決して敷居が高いわけではありません。気軽においしいコーヒーを味わっていただければと思います」と話してくれた。
高級感のある店内で専門知識のあるスタッフが淹れた本物のコーヒーを飲みながらひと休み。そんな優雅な時間が過ごせる喫茶店だ。
取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン