匂いでわかるスープの旨さに期待!

袖看板の「背脂」の文字がひときわ目を引く。
袖看板の「背脂」の文字がひときわ目を引く。

豚骨・背脂スープのラーメンというと、店内に入るなり独特の匂いがすることが多いが、この店に入った瞬間、あまり匂いがしないなと思った。スタッフに聞いてみると「上質で厳選した背脂を使っているからこそでしょうか」と話す。カウンター越しに見える厨房や店内がとてもきれいなことも印象的で、徹底した清掃も特有の匂いがしない要因のようだ。

厨房にある大きな鍋をのぞいてみると、背脂がたっぷり浮かんだ白濁のスープを炊いていたが、まったくといっていいほど臭みがない。国産の豚ゲンコツのほかに、鶏ガラや野菜などをその日の分だけ仕込んで使っているという。

品質のよい背脂選びこそがおいしさの秘訣だ。
品質のよい背脂選びこそがおいしさの秘訣だ。

まとわりつくような濃度にハマる

丼の縁にも背脂がしっかり振りかけられている、しょうゆらーめん800円。
丼の縁にも背脂がしっかり振りかけられている、しょうゆらーめん800円。

早速定番のしょうゆらーめんを注文してみると、丼にはこれでもか!というほど背脂が振りかけられている。背脂の量は、「さっぱり」の控えめから「ギタギタ」の特に多めまで3段階から選べる。注文したのは普通だがしっかりと量があり、背脂が苦手な人には正直食べきれるかな~と思うほどだ。

背脂はスープとともに丼に振り注ぎ、そこへ麺を投入して盛り付けている。
背脂はスープとともに丼に振り注ぎ、そこへ麺を投入して盛り付けている。
ほんのり背脂の甘みが、塩けたっぷりのスープにまろやかさを加える。
ほんのり背脂の甘みが、塩けたっぷりのスープにまろやかさを加える。

運ばれてきたラーメンは目の前にあっても臭みがない。スープも茶色というよりは白濁しており、かなりクリーミーだ。塩分が強く背脂のやさしい甘さが緩和してくれるからどんどん飲めてしまう! これはご飯が合うのもよくわかる。

麺の量は茹で上げで250gある。味は濃いがくどさを感じない。
麺の量は茹で上げで250gある。味は濃いがくどさを感じない。

麺は中太の縮れ麺で、背脂やスープの旨みをしっかり絡め取る。トッピングとしっかり混ぜて食べれば、背脂の濃さなんてまったく感じない。むしろ旨みスープのおいしさをより感じることができる。

トッピングはボイルしたもやし、ネギ、メンマ、チャーシューとシンプルだが、スープの濃さがある分バランスもよく、食べ終わった後も口の中がギトギトにならず、胃がもたれた感じもない。しょっぱさは感じるが、スープがおいしいので箸が進む。途中、卓上にあるすりおろしニンニクや辛味噌を加えれば、さらにパンチのきいた味変を楽しめる。

スタッフに言えば、調整スープで薄めることもできるので、自分好みに濃度を変えつつ最後まで味わいたい。

薄切りのチャーシューはやわらかく、口溶けもよい。
薄切りのチャーシューはやわらかく、口溶けもよい。
調整スープは、ややクリアな動物系でそのまま飲んでも背脂の旨みとケンカしない。
調整スープは、ややクリアな動物系でそのまま飲んでも背脂の旨みとケンカしない。

背脂好きならずとも試したくなるラーメン

『なりたけ』のこれからを担う武石さん(右)と梅澤さん(左)。
『なりたけ』のこれからを担う武石さん(右)と梅澤さん(左)。

明治通りという場所柄もあるが、ランチを過ぎた時間でも客足が絶えることがない。何度も足を運んでいる常連客は慣れたもので、脂多めやご飯などを一緒に注文している。野性的なジャンルのラーメン店にもかかわらず意外にも女性客の姿もあり、女性同士やお一人様の常連客も多いのだそうだ。

背脂チャッチャ系のラーメンに少し苦手意識があったが、この1杯ですっかりその印象も変わった。次回来店時には、「もう他店の味噌らーめんは食べられない」との声もあがる評判のみそらーめん850円で味比べをしてみよう。

ガツンと濃い味噌味と背脂のバランスが絶妙な、みそ味玉子らーめん950円。写真/なりたけ 池袋店
ガツンと濃い味噌味と背脂のバランスが絶妙な、みそ味玉子らーめん950円。写真/なりたけ 池袋店
14席あるL字カウンターは、昼時間を過ぎても客で埋まる。
14席あるL字カウンターは、昼時間を過ぎても客で埋まる。
住所:東京都豊島区 南池袋3-13-7/営業時間:11:00〜22:30/定休日:水・第3火/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩5分

取材・文・撮影=千葉香苗 構成=アド・グリーン