キリッとコク旨の近江熟成醬油ラーメン
今回味わったのは、チャーシュー大盛りの「特製十二分屋そば」。大きくカットした豚肩ロースのチャーシューが器からはみ出るビジュアルが圧巻! まずは自慢のスープから味わってみよう。レンゲですくい上げてみると、フワッと鶏脂が香る。続いて魚介系のやさしい風味が口の中に広がり、この一杯に期待がふくらむ。
水谷醤油醸造場は江戸時代創業の老舗醸造所で、「生地なり」は無添加の本醸造醤油だ。大豆本来の香りと旨みとコクが感じられるため、魚介系のダシと相まって、スッキリしながらも奥深い味に仕上がっている。
チャーシューは、ややレアで柔らかく、旨みや歯ごたえもあり、肉の存在感を感じる。大きくカットされた自家製メンマや煮卵とともに味わえば味のバリエーションも楽しく、お腹にしっかりたまるボリュームだ。
濃厚だがくどくないので、これだけの量があってもあっさりと食べられる。
接客からラーメンまで“十二分”なもてなしを体験
店は早稲田通り沿いに2018年6月にオープンした。今や滋賀県に限らず、全国に15店舗を展開している。
店名は、「十二分に心を込めて、十二分に喜んで頂きたい、十二分に満足して頂きたい」という思いから名付けたという。今回お話しを伺った店長の田辺敬翔(ゆきやす)さんは、「この地域の中でも価格帯は比較的安価だと思いますし、醬油という馴染みのある味なので食べやすいと思います。オープン以来幅広い年齢の方に支持をいただいています」と話す。
この店の出店と同時に店長に任命され、滋賀県から上京したという田辺店長。激戦区ではあるが、競争に負けることなく、客足は絶えることがない。
メニューのバリエーションにも注目!
店内は奥行きのある造りで、カウンター席のほか2人掛けのテーブル席を2卓設ける。取材に訪れたのは16時というアイドルタイムだったが客は切れず、さすが大学のキャンパスが近くにある好立地ということを実感した。
メニューには醬油をはじめ、純正鶏白湯スープや宗田鰹そば、辛えびつけめんなどがラインナップされ変化に富んでいる。季節限定の汁なし麺、焼きめしや唐揚げといったメニューも揃い、つまみにアルコールを1杯という楽しみもある。
壁面には写真付きのメニューがこれでもか!というほど貼られている。注文のラーメンが届くまで、次の来店時には何を食べようかと思案するのも楽しみだ。
取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン