韓国にはない“韓国ラーメン店”が誕生

下北沢一番街商店街の一角に、目を引く大きなハングル文字のネオンサインが現れる。韓国の大衆食堂のような雰囲気漂う店内。壁に貼られたハングル文字が並ぶポスターや、テレビから流れるK-POPアイドルが出演する歌番組の映像も相まって、現地にいるような錯覚すら感じられる。

ネオンサインは「おいしいラーメン」という意味。
ネオンサインは「おいしいラーメン」という意味。

韓国でラーメンといえば、鍋のシメなどに乾麺を使って食べるのが一般的。日本のラーメン専門店のような店も珍しく、そこに目をつけ、韓国・日本ともにまだ例のない韓国ラーメン専門店としてオープンしたのが『ラーメン コチュ』だ。プロデュースは、恵比寿や丸の内などに店舗を持つ人気の韓国料理レストラン『水剌間(スラッカン)』が手がけている。

その挑戦の地として下北沢を選んだ理由について、店長の相馬良介さんは「韓国ラーメンという新しいジャンルの店を出すにあたって、若者や感度の高い近隣住民が多くいるこの街はぴったりだった」と話す。

若い層のお客さんが多いのかと思いきや、今はまだそうではないようだ。「お客様のほとんどが地元の方や近隣で働いている方ですね。一度来ていただいたお客様がリピーターになってくださることも多いです」。

一度食べたらクセになる旨辛の一杯

メニューには、ユッケジャンと海鮮チゲの2つのベースを軸に、チーズやパクチーなど様々なトッピングのラーメンが並んでいる。「ベースの2種類は、韓国で定番の鍋やスープをヒントにしています。現地では乾麺が主流ですが、生麺を使用しているのが特徴です。トッピングは完全にオリジナルで、それぞれのスープに合う食材をセレクトしました」と相馬さん。

2022年8月時点のメニューと価格。
2022年8月時点のメニューと価格。

そのこだわりの麺は、菅野製麺所による特注。加水率や太さなど、数百パターンもの組み合わせから試作を繰り返して完成したオリジナルの麺だ。濃厚で辛味のあるスープにも負けないちぢれ太麺で、モチモチとした食感が特徴だという。

そして、ユッケジャンには牛骨と牛スジ、野菜から出汁をとったスープを、海鮮チゲにはカツオ節や昆布で出汁をとり、アサリを加えて煮込んだスープを使用し、動物系と魚介系それぞれのラーメンを楽しめるようにしている。辛さも好みに合わせて段階ごとにプラスできるので、辛いもの好きにもおすすめ。

海鮮ゴロゴロ赤麺1180円。
海鮮ゴロゴロ赤麺1180円。

今回は、海鮮チゲベースの海鮮ゴロゴロ赤麺をいただいた。エビやホタテ、イカ、アサリの身といった魚介のほか、もやし、ニラ、油揚げなど盛りだくさんのトッピングの下には、一瞬ひるんでしまいそうなくらいの真っ赤なスープが。しかし、ひと口飲んでみれば、見た目のインパクトほどの辛さは感じられず、濃厚な旨味が口いっぱいに広がる。スープに溶かしているという唐辛子みその旨味も効いているのだろう。麺も食べ応えがあり、午後の活力につながりそうだ。

麺を完食後もまだ物足りないという人は、追加でクッパライスまたはチーズクッパライスをオーダーして、残ったスープに入れれば最後の一滴までおいしくいただけるのだとか。ちなみに、ランチタイム限定で通常100円のクッパライスを無料で提供しているといううれしいサービスも。

チーズクッパライス200円。 写真提供:『ラーメン コチュ』
チーズクッパライス200円。 写真提供:『ラーメン コチュ』

一度食べたらやみつきになる旨辛ラーメン。リピーター続出と言うのも、うなずける一杯だった。

『ラーメン コチュ』店舗詳細

住所:東京都世田谷区北沢2-33-7/営業時間:11:30〜14:30LO(土・日・祝は~16:00LO)、17:00~21:30LO(土・日・祝は~20:30LO)/定休日:月、第1・第3金/アクセス:小田急電鉄小田急線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩5分

取材・文・撮影=柿崎真英