都内では珍しい100%馬肉料理の専門店
「馬肉」と聞いて、どんなイメージを抱くだろうか? 比較的食べ慣れている豚や牛の肉と比べると少々固かったり、風味が気になったり……というマイナスな印象もあるかもしれないが、実際はどうだろう。
九州地方では比較的ポピュラーなメニューになっているとはいえ、まだまだ都内では豚や牛に比べればまだまだお目にかかることが珍しい馬肉料理。しかも、馬肉しかおいていないという専門店ともなると本当にごくわずかとなるが……大森駅から歩いて5分ほどのところにある『うま虎』はまさに馬肉100%の専門店なのである。
「もともと『馬を食べる』というコンセプトで2013年の12月にオープンしたんですね。当時から馬肉専門店というお店そのものが珍しかったのですが、大森という街は下町っぽいというか、人情味に溢れたお客様が多いので、一度来てもらったり、もともと九州出身で馬肉に馴染みがある方が気に入ってくれたりして、常連さんになってもらって、それからどんどんお客様に浸透していった感じです」と、当時の様子を語ってくれた店長の佐々木俊介さんだ。
ここで馬肉デビューをされる方も多いというが、佐々木さんに馬肉のいいところを伺うと「馬肉って牛や豚の肉と比べると赤身の部分がすごく多いんですね。なので、糖質や脂質が低くて高タンパクですよ」とのこと。それだけに女性はもちろん、ジムなどで体を鍛えている方にはピッタリだという。ヘルシーでさらに体にも良いため、夏バテ防止にも効果がありそうだ。
工場直送の新鮮な馬肉だからこそできるメニュー
メニューを見ると、ユッケや馬刺し、そして夏でも人気という桜肉の鍋などの定番メニューが並ぶ中、この店ならではのオリジナルメニューの馬肉チャーハンや馬肉入りのチヂミなどそのバリエーションは実に様々。あまりの多彩さに迷ってしまったため、「馬肉デビュー」をテーマに佐々木さんにオススメの3品を用意してもらった。
馬肉料理の定番とも言えるユッケは鮮度が命。佐々木さんによると「工場から直接馬肉を仕入れているので、お店に来る時点の馬肉は鮮度抜群。なので、ホントの馬肉の味を知るには生で食べられるユッケや馬刺しをぜひ楽しんでほしいですね」
「馬肉料理=馬刺しというイメージが強いと思いますが、ウチの馬刺しは鮮度はもちろん、希少な部位もそろえているので食べ比べてもらえると馬のおいしさや奥深さがわかると思います」と佐々木さん。確かに馬肉デビューにはピッタリの一品と言える。
そしてちょっと変化球メニューとして登場したのがズバリ「馬肉の唐揚げ」。鶏肉の唐揚げとは異なり、衣をまとっていないし、中はレア状態となっているが、佐々木さんに話を伺うと、馬肉のウィークポイントを感じさせない工夫をしているとのこと。
「唐揚げって出すと、最初はみんな「??」みたいな顔をされるんです(笑)。でも馬肉は火を完全に入れてしまうと固くなってしまうので、火を入れて食べるにはレア状態がベスト。お酒も進むのでおつまみとして人気が高いです」と、専門店ならではのこだわりを教えてくれた。
来店すれば、馬肉のイメージが変わるはず
馬肉料理には欠かせないのがお酒。ベースが九州料理ということもあって焼酎の仕入れには余念がなく、定番モノから珍しい銘柄まで取り揃えている。そして日本酒やビールなど、まんべんなく揃えることで大森の飲兵衛たちに愛される店となった。
「馬肉って食べたことがないと敬遠しがちですが、食べてみると臭さや固さはほとんどなくて食べやすくてハマる人が多いんです。なので、馬を食べたことがない人にはぜひ、馬のおいしさを見つけてもらえると思うので楽しんでほしいですね」
夏のスタミナ補給はもちろん、馬肉デビューにはもってこいの店と言えるだろう。
構成=フリート 取材・文・撮影=坂内涼馬