貝づくしのメニューが揃うラーメン店
下北沢駅の旧北口沿いに店を構える『貝麺 みかわ』。店外に設置されている券売機に並ぶのは、もちろん貝を使ったメニューばかり。麺類だけでなく、ごはんものにも貝を使った品が揃う。
この店には、看板メニューの貝麺をはじめ、醤油と塩の2種類の中華そばがある。貝麺はその名のとおり、貝出汁のみを使ったラーメン。対して、中華そばは貝出汁と牛出汁を合わせたスープが楽しめる。
貝の風味の度合いは、中華そば(醤油)<中華そば(塩)<貝麺の順で高くなっている。券売機のボタンには、それぞれ風味のレベルを表す貝マークが描かれているので、迷った時はぜひそちらを参考にしていただきたい。
ほかにも、月替わりの限定麺を2種類ほど用意する。取材時は、今の季節にぴったりの冷やし麺が並んでいた。冷たい状態でも美味しく味わえるよう、スープは通常メニューとは別に炊き上げているという。
使用する麺は、いずれも北海道産ゆめちからを使用した平打ち麺。貝出汁に合うよう、なめらかな喉ごしと、しっかりとした歯ごたえにこだわり抜いた特注麺だ。
とことん貝にこだわった一杯
店主の前田多一さんは、ホテルの日本料理店で料理長として活躍してきた人物。長年磨き上げた和食の技術を駆使して、アサリやハマグリ、ホタテと貝類のみを使用した“純度100%”の貝出汁を作り上げた。
貝麺のスープには、生の貝にこだわらず、乾物やペーストも加えることで、奥深い味わいを表現している。仕上げの香味油にも、自家製の貝油を使用する徹底ぶりだ。
貝のエキスや旨味をじっくりと抽出したスープは、まず香りから違う。どんぶりに少し顔を近づけただけで分かる香りの高さ。さらに、そのクリアな見た目同様、ひと口含めばスッキリと雑味のない風味が広がる。「9割近くのお客様がスープを完飲されます」と前田さんが話すのも納得。
トッピングの自家製チャーシューは贅沢にも、豚肩ロース、鶏むね、豚バラの3種類がのっている。それぞれの特徴を活かして、しっとりとした食感やジューシーな食感になるよう調理方法を変えているのだとか。
「お子さん連れのお客様から高齢のお客様まで、幅広い層にお楽しみいただいています。特に週末のお昼時にはたくさんのお客様にお越しいただいて、ありがたい思いです」と前田さん。
旨味だけでなく栄養もたっぷりなうえに、一般のラーメンと比べて低カロリーな点も魅力の貝出汁ラーメン。ランチにはもちろん、お酒を飲んだ後のシメにもぴったりの罪悪感の少なさとほっとする美味しさだった。
『貝麺みかわ』店舗詳細
取材・文・撮影=柿崎真英