新宿の中心街の喧騒を離れゆったり過ごすお肉自慢の店
新宿三丁目の駅を靖国通り方面に出て歩くこと約5分。靖国通りと平行して走るように東京医大通りがある。その新宿の駅前の喧騒から離れた一角に、『肉バル FORST6丁目』がある。
比較的小さなオフィスが入居しているような感じのビルが立ち並ぶ街並みにあって、そこだけが浮き立つような新しいビルの1階。広々とした窓、そして手前のテラス席が最初に目に入る。テラスの奥には明るく清潔そうな店内が見通せる。
『肉バル FORST6丁目』がこの地にオープンしたのは2014年のこと。もともと50年弱前に下北沢でスパゲティー屋さんを成功させたオーナーが新たに開いたお店だ。異なる業態で下北沢や中目黒、そして新宿に5店舗の姉妹店があるとのこと。その中にあってここ『肉バル FORST6丁目』がここにオープンしたのは「ちょっと新宿の喧騒から離れた場所で、ゆったりとお肉やワインを楽しめるお店にしたかった」と店長の渡邊正和さん。
今日も売り切れ必至の大人気煮込みハンバーグ
今回いただいたのは『肉バル FORST6丁目』のランチメニューの中で一番人気のハンバーグ200g。メニューには「がっつりランチ」「売り切れ必至!」「自家製の煮込みハンバーグ! ソースも濃厚で◎」と、店側の気持ちがほとばしる食欲刺激系の言葉が並ぶ。
毎日12個限定で提供され、11時半開店で12時頃には売り切れてしまうとのこと。男性客が6割ほどとのことだが、肉のメニューを注文するのはむしろ女性が多いとも。
「動画だったら良かったですね!」と言いながら調理され、目の前に現れた煮込みハンバーグ。数十秒前までグツグツしていた余韻が小さな鉄板の中にまだまだ感じられる。
ナイフで大きめに切ってハフハフと一口。最初に感じるのは濃厚なデミグラスソースの味。次いで期待以上に肉々しい触感が追っかけてくる。口中はご飯を求め、ちょっと焦るような気持ちでいただく。
「よくあら挽きのひき肉で肉汁ジュワ―っというハンバーグもありますが、うちの場合、煮込みハンバーグですのでソースとの相性を考えて、あえて肉は細かく挽いて、脂身も抑えめにしてあります。デミもいろいろ研究した末、鉄板に乗せてちょっと煮詰められてちょうどおいしくなるような配合にしてあります」と渡邊さん。
このデミグラスソースはもちろん手作り。肉は牛と豚、それに脂身を『FORST6丁目』専用の配合にしてもらい、届けられた肉をすべて店で成形しているとのこと。「可能な限り手作りにはこだわっています。このハンバーグもお肉屋さんが成形して持ってきてもらうことも可能なのですが、やはり必ずお店で成形することにしています」。
お客さんの要望から生まれた人気メニュー
もともと熟成肉とワインが売り物のお店。氷温熟成した極上肉を低温調理で提供することで高い評価を得てきた。「お肉を100度程度の火でゆっくりと時間をかけて調理しますので、どうしてもご注文いただいてから30分程度はお時間をいただくことになります。ゆっくりお過ごしになれる方にぜひお越しいただきたいですね」と渡邊さん。
ランチでハンバーグを提供するにあたっては、短時間での料理の提供が必要であったため、煮込みハンバーグにしたとのこと。
「実はこのハンバーグはもともと定番メニューではありませんでした」と渡邊さん。もともとは週替わりのメニューとして不定期で提供されていたが「あのハンバーグないの?」との問い合わせの多さに定番化したとのこと。「すぐに飽きられてしまうのでは」との予想を裏切り、今や大人気メニューとなった。
「今も毎週違ったメニューを週替わりの形でご提供しているのですが、『あの料理もうやらないの?』と言われることも多いですね」と渡邊さん。取材を行った次の週は、やはりお客さんから熱いリクエストのあったミートソーススパゲティーが週替わりメニューとして出されるそう。オーナーが最初の店で提供した伝説のスパゲティーを、当時店員をしていた渡邊さんが自分なりに再現し、大好評だったメニューだ。
「季節ごとにさまざまな週替わりメニューをご用意していますので、ハンバーグをきっかけに、ぜひいろいろな料理を楽しんでいただきたいですね」と渡邊さん。テラス席でBBQ(予約制)を楽しまれるグループの方も多いそう。
大人気の限定ハンバーグがお目当てなら、開店直後におとずれるのがおすすめ。肉々しくて濃厚な肉とデミの世界をぜひ体験してみてほしい。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=夏井誠