こんなお店がやりたい! カフェブームに魅せられてわくわく心動かされるカフェをオープン
お店を訪れると出迎えてくれたのは、オーナーの原和美さん。『MOVECAFE』のすべてを知るオーナーに、その長い歴史を原点からお伺いした。原さんが大学生の頃、カフェブームが到来。1997年にブームの火付け役『Bowery Kitchen』が駒沢でオープンし、表参道、丸ノ内、原宿などおしゃれな街でおしゃれなカフェが次々と生まれた。
大学を卒業して地元の福岡でOLをしていた原さんも、「カフェブームに魅せられた1人です(笑)。就職しましたがやっぱりカフェで働きたくて、1、2年勤めた会社を辞めて上京しました」。渋谷の有名カフェで働きながら系列のイタリアンレストランでも修業を重ね、上京して6年、2007年に『MOVECAFE』をオープンした。
店名の“move”は、心を動かすという意味で名付けたそう。「ここに来られた方に、何か心を動かされるような体験が提供できたらと。お客様がわくわくドキドキできるようなお店にしたいと思ったんです」。
原さんがカフェを始めるきっかけに、あるカフェとの出合いがあった。「よく通っていた幡ヶ谷のカフェがあったんですが、すごくケーキがおいしくて、『誰が作ってるんですか?』と聞くと『みんなで作ってるんだよ』って答えてくれるんです。それがすごく素敵だと思って、自分もカフェをやる時に同じように聞かれたら、『みんなで作ってます』と言えるようなカフェにしたいと思ったんです」。
プリンやタルト、スコーン。スイーツもドリンクも手作りにこだわるカフェメニュー
「食べて元気になってほしいので、すべて手作りにこだわってます」というメニューを見せていただくと、どれも魅力的。悩んだ時は、一番わくわくしたものを選ぶのがMOVECAFE流かな?
お願いした季節フルーツのプリンタルトは、運ばれてきた瞬間「わあ、かわいい!」、食べて「おいしい!」とわくわくが止まらない魅力あふれる一品。家庭で作るような懐かしさもありつつ、本格的な味わいだ。
ドリンクは、季節の酢ソーダをオーダー。アメリカンチェリーの色鮮やかな果実酢をソーダで割った、夏にぴったりの一杯。「コントラストを楽しんでもらって、混ぜて楽しんでもらって」グラスの中で移りゆく様子も楽しめると、原さんが教えてくれた。
インスタで制作中の果実酢の様子がアップされていて、カフェに行く前から手作り感が伝わってくる。チェックしておくと、お好みの季節のスイーツやドリンクの情報を逃すこともなし。
4つのカフェがシンクロして魅力あふれるわくわくドキドキが生まれる
2017年にはリニューアルして、新しいわくわくスペースも。カフェスペースの奥に洞窟のような席を発見!「もともと大家のおばあちゃんが住んでいたのをカフェに作り直したんです。ここはお風呂だったところを活かして半個室にしました」。
最初は原さん一人で始めた店もスタッフが増え、『MOVECAFE』を含めて4つのカフェ&ショップを構えている。クッキーやスコーンなど『MOVECAFE』で人気の焼き菓子を遠方の方にもお届けしたいと、2020年にはオンラインショップ『カフェのある暮らしとお菓子のお店』も立ち上げた。
「『MOVECAFE』のパティシエがさらに安心安全な食材にこだわって作っています」という人気のクッキー缶は、なかなかお店に足を運べない常連客にも好評だとか。もちろん『MOVECAFE』の2階でも販売しているので、カフェでくつろいだあとに買って帰ると、おうちでもカフェ気分が味わえる。
オープンから15年、年2回の試食会をしながらメニューも少しずつ変わっている。1つのカフェで始めたスコーンやテイクアウトなども、よいと思ったものは全店で取り入れる。そうやって自由自在に成長してきた。
moveという店のコンセプト通りではあるが、変わらないものもある。「変わらないのは接客です。また来たいと思われる接客を目指して、常に笑顔でフレンドリーな接客を心がけてます。今後は、スタッフが成長したら、新たなカフェを出していくのをサポートしたいと考えています」と、お話し中も笑顔が素敵な原さん。その想いはスタッフも同じ。迎えてくれる笑顔にまた訪れたいと思う、ここは特別なカフェだ。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=大熊美智代