想いはひとつ。「エビカニ魚卵を使った料理をリーズナブルに楽しんでもらいたい」
2013年7月にオープンした『シーフードビストロ 魚卵House Eni』。目白通り沿いにあり、路面にはさまざまな店舗がひしめくなか、赤い縁取りのビルは遠くからでもすぐわかる。
海に囲まれた島国・ニッポン。全国各地においしい魚介類がたくさんあるが、こちらはあえて魚卵に特化した料理が多いという。比較的庶民的なイクラやタラコなどでも、今や魚卵はちょっと贅沢な食材である。本店の立ち上げからスタッフとして関わる店長の濱野紗織さんに聞いた。
「“高級食材のエビカニをリーズナブルに楽しんでいただきたい”と、中目黒にある本店『Crab House Eni Seafood&Oyster』を出店しました。そして、2店舗目の『シーフードビストロ 魚卵House Eni』は、エビ、カニと同様にオーナーが好きな魚卵も加えた専門店にしました。3店舗目は中目黒にあり、新鮮な魚介類を使い和食に特化した『和えに』となっています」。
突然ですがすみません。あの〜、Eni(エニ)ってどういう意味なんですか?「あっ、ローマ字で表記したときのエビの“E”とカニの“ni”です!」とにこやかに答える濱野店長。なるほど、それで外観にエビとカニがいたのか!
まるでホイップクリーム⁉ ふわふわのタラコソースに悶絶!
夜は魚卵を含むさまざまなシーフード料理を提供し、一人飲みも多いそうだが、ランチタイムは生パスタがメインになっているという。
乾麺も好きだけど、筆者は特に生パスタというスペシャル感に弱い。乾麺にはない弾力、豊かな小麦の香り……。どのメニューにもトキメキまくりだが、休日限定のタラコとイクラのパスタ950円をオーダーした。
モッチモチで太めの生パスタに、バターやマヨネーズ、しょうゆなどを加えたオリジナルのタラコソースがたっぷり。タラコのツブツブが惜しみなく入っていてソースがふわふわしているのだ。まるで軽くホイップしたクリームみたいな感覚!
さらにイクラの塩気が旨味を後押しする。パスタをすくうとソースとともに大葉、海苔、バジルオイルの薬味たちが絡み合って、次々と口に運びたくなる。
テーブルにソースが飛び散るのも構わず、あっという間に完食。ふぅ、おいしかった。平日も食べたいがこのメニューは土日祝のみか……。
すると濱野さんは、「タラコとイクラのパスタはオープン当初からあるメニューで、今でもすごく人気があるんですよ。平日ランチのタラコとイカのパスタ850円とベースが同じなので、プラス350円でイクラをトッピングすれば同様のものが味わえます」と教えてくれた。
そうなのか! 平日に来た時はぜひそうしよう。
平日はビジネスパーソンや学生がひしめく飯田橋。休日のイベント時は全国各地から来訪する
店の周辺にはKDDIや大塚商会など大企業があり、平日は開店からまもなく、近隣のオフィスからランチを食べに来るビジネスパーソンがドッと押し寄せる。
「平日のランチはお得ですよ。パスタは650円からありますし、本日のサラダや、バゲット、フライドポテトなどのサイドメニューやドリンクは100円なので、いろいろつけても1000円以内で収まります。もっとパスタが食べたいなら、大盛100円、特盛200円もあります。それで13時以降になると、大盛無料、特盛100円です!」と、濱野店長。これは生パスタ好きとしては聞き逃せない!
続けて濱野店長はうれしそうに語ってくれた。「休日は、全国からコンサートやイベントで武道館や東京ドームへいらっしゃるお客様がみえます。イベントの帰りに寄ってくださる方もいるのですが、地方から来る方は、このすぐ近くのホテルメトロポリタンエドモントに宿泊されることもあるみたいです。東京に来るたびに寄ってくださる方もいるんですよ」。
ちなみに濱野店長が個人的に好きなのは、ホタルイカとエビのパスタ〜イクラとトビッコのせ〜2300円だそう。
「干しホタルイカを出汁に使い、上からイクラとトビッコがかかっているんですけど、すごくおいしいですよ。夜も提供しているメニューなのですが、夜だけスタッフが目の前でイクラとトビッコをおかけしています。また、イクラ、サーモン、トビッコ、カズノコなどを贅沢に8層にした魚卵屋さんの本気のミルフィーユなど、夜もよそでは食べられないオリジナルメニューがいっぱいです!」
リーズナブルにおいしくシーフードや魚卵を食べるなら専門店に限る。ほかのパスタランチも楽しみつつ、魚卵屋さんの本気のミルフィーユの“本気度”も自分の舌で確認してみたい。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢