中野にある“ビール党の楽園”は超隠れ家系!?
暑くなってくると、飲みたくなるお酒と言えば……やっぱりビールだろう。キンキンに冷えたジョッキにビールを注いでグイッと一気に飲むのは酒好きならではの楽しみ方と言えるが、そんなビールを「より奥深く楽しめる」と中野で評判になっているのが、その名もズバリな『中野ビール工房』。
中野では唯一、店内にビールの醸造所を携え、「工場出荷0日ビール」……つまり、店内で出来立てのクラフトビールが飲めるという、ビール党にとっては夢のようなお店である。
だが……ビール党にとっての“楽園”にたどり着くまでが一苦労。中野駅の北口を出て昭和新道と呼ばれる小路に入っていったが、住所の場所に着いてもそれらしきお店が見つからず。ちょうど小さなお店が乱立している通りだったのでその周辺をぐるぐると回ったところ、奥に進める路地があり、そこに入っていくと見えたのがビール工房の文字。ここがまさに中野で唯一のクラフトビールが楽しめる『中野ビール工房』である。
「いわゆる隠れ家っぽい感じの場所にあるから迷っちゃうという、お客さんも結構いるんですよ(笑)。最近はSNSで『#中野クラフトビール』とかで探してやってくる若いお客さんも増えてきましたよ」
こう話してくれたのは春原(すのはら)将士さん。2022年の5月でこの街に開業して8年になるというお店を取り仕切る若き店長である。
「クラフトビールって、前は『高いわりに味はイマイチ』みたいなイメージがあったと思いますが、最近になってそのイメージが変わってきたみたいで、地元の方はもちろん、ネットで探してきてくれる若いお客さんも来てくれるようになりました。気軽に楽しめるので、みなさんいろいろ飲み比べて楽しんでますね」
ビールと相性抜群のフレンチテイストなフードメニュー
『中野ビール工房』のウリは何といっても出来立てのクラフトビールが飲める点。季節により銘柄が変わるが、常に8種類は提供できるようにしているという豊富なラインナップが人気の秘訣。取材当日に提供可能なビールを見せてもらうと、IPAやペールエール、ヴァイツェンなどをベースに醸造したオリジナルビールがバランスよく提供されている。
その中でもとりわけ人気が高いのはフルーティーな香りが女性にウケているというキウイヴァイツェン、そして香ばしさが男性客から根強い支持を集めるというIPAや黒ビールだ。
また、『中野ビール工房』は多彩なクラフトビールだけでなく、ビールにマッチするおつまみメニューがおいしいと評判。フレンチ出身のシェフが考案したこだわりのメニューが楽しめる。
ここではビールの定番おつまみのポテトに加え、このお店ならではの人気メニューも併せてオーダーした。
フライドポテトやポテトサラダなど、通常の居酒屋でも定番メニューもフレンチ流のひと工夫が加えられることで見た目も味も格段にアップグレード。
ビールがグイグイと進むのも頷ける。そして冷たいビールを飲み過ぎてちょっと温かいものが食べたくなった時にうれしいのが角煮。トロトロに煮込まれた角煮の柔らかさとビール工房ならではの香ばしい味わいのソースが見事にマッチする。
気が付けば撮影用に提供してもらったビールはもちろん、おつまみもしっかり完食。プライベートで来ていたのなら、さらにビールが飲みたくなるほどの絶品料理ばかりだった。
クラフトビールになじみがない人にこそ楽しんでほしい
個性あふれる居酒屋や飲み屋が多い中野のなかでもオンリーワンの個性を貫き通している『中野ビール工房』。ビール好きがビールをトコトン楽しめるようにと時間制の飲み放題コースもリーズナブルな価格で用意している。
「お客さんに楽しんでもらいたい」というお店の思いがひしひしと伝わってくる。
「ちょうど、駅からこのお店までに来るのに飲み屋さんがたくさんあると思いますが、その中で唯一ビールを醸造して出している店なので、気軽に1杯軽く飲みに来る感じで来てくれたら本当にうれしいです。クラフトビールになじみがない方にこそぜひ飲んでもらえたらと思います」
ちなみに店内で提供されているオリジナルクラフトビールで、筆者が最も気になったのはこの日提供されるビールで最もアルコール度数の高い(6.8%)のサニーブライアン。「ハイアルコールかつ、さわやかさとコクが両立したペールエール」と紹介されているが……競馬好きならピンとくる名前に間違いない。それを春原さんに尋ねてみると……。
「バレちゃいましたか(笑)。実は僕も競馬が好きで、自分で醸造したビールの名前を付ける時に競走馬の名前をつけちゃいました。ホントはオルフェーヴルっていう馬が好きなので、その名前にしようと思ったのですが……まだまだ恐れ多くて。自分が思う究極のビールができた時にこそ名付けたいと思います」
もしかすると、近いうちにオルフェーヴルと名付けられたオリジナルビールが『中野ビール工房』で楽しめるかもしれない。
構成=フリート 取材・文・撮影=福嶌弘