鳥取県と岡山県の2県をまたぐ『とっとり・おかやま新橋館』
前編でもご紹介した通り『とっとり・おかやま新橋館』は、北と南でお隣同士の鳥取県と岡山県のアンテナショップ。2県が手を組んで運営しているのだ。
2県の特産品をたくさん扱う広い店内。入り口横にはイートインスペースもあり、両県のご当地ソフトクリームを買って食べられるイートインコーナーも。ちなみに、どちらの県産品かは、売場の棚の上の札と値札の色でわかるようになっている。
今回も県の広報担当者さんにご案内いただき、店内を一周する。入り口近くには魚や野菜などの生鮮食品が並び、隣の果物のコーナーは入れ替え中だった。「夏になると岡山県の名産、白桃が入荷し、店内が桃のいい香りになります。2県では栽培される果物の種類が異なるので、岡山の桃が終われば、鳥取の梨といったように切れ目なく旬の果物が楽しめます」と担当者さん。
旬になると、イートインコーナーでも旬のフルーツが味わえるスムージーなども登場するのだ。
果物の加工品コーナーにも岡山県の名産がズラリ。ジャムにゼリーに、コンポートなど、贈答用にも使われる商品も多いのだとか。
担当者さんがオススメするのは、純果実コンポートの清水白桃。デリケートで東京では出回りにくい完熟の清水白桃を丁寧にコンポートにしたもので、日持ちがする上に「あの美味しさが味わえる!」と人気なのだそう。
岡山県は日本酒づくりの原料となる酒米、雄町を作る県でもある。山田錦に並ぶ有名な酒米で、使用した日本酒はどっしりした味わいになる傾向があるのだとか。飲みごたえのあるお酒と言われると、いつもの1000円セットに加えたくなる。
乳製品や魚介の加工品など、食品コーナーを周り終わったところで、「きびだんご以外の有名なお菓子を教えて欲しい!」とお願いしてみる。
そこで教えてもらったのが、大手まんぢゅうだ。北海道産の小豆使用で中は餡子のみ。ほぼ餡子玉じゃん……と思ったが、なんとこの日は売り切れ!朝イチで買いに来る人も少なくない、人気商品なのだ。火、木、土、日曜日の週4日入荷するので確実に入手したければ、狙い撃ちするのがオススメ。
もうひとつ紹介してもらったのは、県民が愛するおやつ、シガーフライとコンガリサクサクだ。老舗企業の梶谷食品が手がけるお菓子で、特にシガーフライは発売から65年以上のロングセラー商品。子供の頃のおやつといったらコレ、大人のおつまみにもコレなのだそうだ。
忘れてはいけないのがデニムだ。岡山県は国産ジーンズ発祥の地であり、国内外から注目を集めるブランドがある。中でも内田縫製のデニムは、都内では『とっとり・おかやま新橋館』しかないことから、これを目当てに訪れる人も多いという。
お会計の横のワゴンに入っているのは、畳のフチに使う畳縁(たたみべり)。聞くと、岡山県が全国シェア80%を誇る伝統的な特産品なのだそうだ。
実は店内で最も数が売れているのも、この畳縁。好みの色柄を選んで、ハンドメイドのポーチやバッグなどを作る人が多いという。正直、意外な売れ筋商品だった。やっぱりアンテナショップでしか知れない情報もあるなぁ。
私の岡山県1000円セット
そんなこんなで、たっぷり買い込んでしまった。だって、美味しそうだったんだもの。最近、買い込みがエスカレートしている節さえある。
今回、岡山県を1000円以内で楽しむのに選んだのは?
こちら!
・燦然 雄町カップ 347円
・クルードスパゲティ式めん 194円
・ままかりの酢漬け 410円
しめて、951円。
これを宅飲み仕様に盛り付けると、こんな感じ。
ままかりもスパゲティも、食べきれないかも?と心配になるくらいのボリュームでお得感がある。
ままかりはニシン科の魚で、関東ではサッパとも呼ばれる。
まんま(飯)を借りるほどおいしいことがその名の由来と言われ、岡山県には酢漬けにした郷土料理がある。「お酒のおつまみにオススメ」と言われて購入を決めた。キュッと身がしまっていて、まろやかな酸味。サッパリ食べられ、雄町を使用した日本酒、燦然のカップ酒の存在感ある味わいとぴったりだ。酒も進むから「ままかりならぬ酒借り!」と思ったけど、同じことを言っている飲兵衛が山のようにいそう。
クルードスパゲティ式めんは、クラスの誰かのお弁当には必ず入っている定番商品なのだそう。県民がたまに無性に食べたくなるローカルグルメとして教えてもらった。
ソフト麺にナポリタンのように味付けする粉末がついていて、作り方はこの2つをフライパンで炒めるだけ。昔から愛されていそうなパッケージと、スパゲティ式というネーミングがなんだかニクい。
ピーマンやウインナーなどの具材を入れてもいいらしいが、シンプルに具なしでいただく。
麺はパスタでもないうどんでもないコシは弱くモチっと弾力があるソフト麺。ズルッとすすると、マイルドなナポリタンのような味わいが広がる。ひとくち食べて、この親しみ溢れる味わいはビールだ!と考え、独歩ビールを開ける。
1000円オーバー! はみ出し購入品
そう、独歩ビール買っちゃったのだ……。ここからは、1000円セット以外に買ってしまった、あれこれを披露しよう。
独歩ビールは日本酒なども作る宮下酒造が手がける地ビール。日本で地ビールがトレンドになり始めた頃に、中国地方で最初に立ち上げられたブランドだ。プシュッと開けて、爽快な飲み口を堪能する。
そのままの勢いで、シガーフライをサクサク。香ばしくてほの甘く、まぶされた塩も程良くて、なにもつけずに食べ続けられる。ノンストップの傍ら、ふとパッケージ後ろを見ると、意外とハイカロリーだった。そっと袋に輪ゴムをかける。
独歩ビール、シガーフライに加えて、津山ホルモンうどんも購入した。津山の名物で、現地にはホルモンうどんをメニューにラインナップしている店が50軒以上あるという。津山は食肉処理場があり、新鮮なホルモンが入手できることから、50年以上前からホルモンうどんが親しまれているそう。
ホルモンとキャベツ、玉ねぎ、うどんを炒めて、味噌と醤油ベースの特製タレで味付け。ぷるぷるの脂身の旨みと濃厚な味噌味がベストマッチ。お酒も進むし、スタミナもつきそう。自宅で用意するのが、玉ねぎとキャベツだけでこのクオリティとは、たまらん!!
あっぱれなグルメがいっぱいの岡山県
フレッシュな野菜に始まって、果物にお米。農作物が豊さに晴れの国の実力を感じ、教えてもらったローカルグルメはなんだか優しく懐かしい味わいだった。夏になったらクルードスパゲティ式めんを買いがてら、キンキンに冷えた桃のフローズンドリンクを飲みにこよう。
取材・文・撮影=福井 晶