店内に入ると驚くのはまずその広さ。無骨さを残したコンクリート剥き出しの壁と美しいヴィンテージインテリアのコントラストが際立つ空間です。

「海外でも日本でも見たことのないカフェになったと思います」と話すのは小田さん。自由を感じる開放感とやりたいことを表現できる余白を大事にしたと言います。

広い店内には、コーヒーラバーたちがスタッフと話しやすい焙煎機近くのカウンター席があったり、窓側にはワンちゃんもOKなベンチ席、大人数でゆったり座れるラウンジ席、パソコンを開くこともできる電源完備の席など、あらゆるシーンにあわせた席があるのも魅力。

海外のカフェでは1日のなかでどんなタイミングでも、1人でも誰かとでも行けるカフェが多く、気軽にふらっと立ち寄える開かれた空間を意識したそう。

実はかつて、コラージュアートの創作活動をし、展示会も開いたことがある小田さん。「異なる素材を組み合わせて作るコラージュのようなイメージで、インテリアを組み立てていきました」というように、さまざまな席を設けることで、多様な人が集い語り合える空間になっています。

統一感がありながらもそれぞれに個性と役割があるヴィンテージインテリアのなかで、小田さんと小坂田さんが惚れ込んだというのが、ドリップスタンドが置かれているメインカウンター。このカウンターを皮切りに全てのインテリアが決まっていったとのこと。

「ヴィンテージのものが好きなのはもちろんですが、全体的に“ありのまま、手を加えられていない状態”を大切にしたい」という想いが、店名の「Raw Sugar Roast」にも込められています。

「トレンドのためにコーヒーやっているわけじゃないからね」と話すのは、ヘッドロースターの小坂田さん。

キャラメルのように甘いコーヒーの香りが漂う店内では、ギーセン・15キロの焙煎機がフル稼働していました。

コーヒーは浅煎りのシングルオリジンから、クラシックな中煎りのブレンドまで幅広くラインアップし、ハンドドリップはGINAを使用。産地個性が楽しめる浅煎りコーヒーは約5種類、そして日本の喫茶文化にもインスパイアされているという中煎りのブレンドはその構成を長く研究し生まれた逸品です。

この日に提供されていたフードメニューの中から選んだのは、スモークサーモンとクリームチーズのベーグル。そのほか、ショコラテリーヌなどスイーツもライナップしていて、徐々に提供を開始するとのこと。

圧倒的な開放感と気分をぐっとあげてくれる音楽、そして味も人柄も信頼できるバリスタたち。「やっとオープンしたばかり。これからいろいろ試して調整していきたい」という小田さんの言葉のとおり、Raw Sugar Roastというキャンバスがこれからどのように育っていくのか楽しみです。

◆Raw Sugar Roast
住所:東京都世⽥⾕区宮坂3-9-4
営業時間:8:00-18:00
https://www.instagram.com/rawsugar_roast/

取材・文・撮影=CafeSnap