10位 マンモス公園(京島南公園)

マンモスな滑り台は墨東の象徴

いかにも下町的な木造長屋だらけの町「京島」にある公園で、大きな滑り台が有名。サマーズの歌にも登場する。高さ10m長さ12mの滑り台は、なかなかの迫力で、小さい子供はこの滑り台だけで十分スリリングなはず。年季の入った風情は、なんか生き物のようで、すぐにでも動き出しそうな迫力がある。近くにはキラキラ橘商店街という、下町情緒あふれる商店街もあり買い物が楽しい。コッペパンの『ハト屋』さんも超おすすめ。

9位 赤羽自然観察公園

市民による、市民のための公園

1999年開園の比較的緑のオアシス。もとは陸上自衛隊十条駐屯地の一部で、地下鉄南北線の車両基地予定地だったが、住民の反対運動で方針変更。谷状の地形に湧水が存在し、この湧水の保全・活用のため、「自然とのふれあい」をテーマに整備された。決して広くはないが、春は新緑、秋は紅葉が楽しめ、市民ボランティアによる自然観察教室も活発に開催。市民による市民のための、手づくり感あふれるオアシスだ。
住所:東京都北区赤羽西5-2-34/営業時間:8:00~17:30(10月~3月は、~16:00)/定休日:無/アクセス:JR赤羽駅から徒歩15分

8位 トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園

もう一つのムーミンパーク

西武新宿線飯能駅から南東へ3.7km。飯能でヤンソン(ムーミンの原作者)と言えば2019年オープンの「ムーミンバレーパーク」が有名だが、実はもう一つある。こちらのオープンは1997年。村山雄一という異色の建築家による建造物が入間川沿いに4棟立っている。当初は大人の事情で「トーベ・ヤンソン」を名乗れなかったようで、「あけぼの子供の森公園」という名前だった。しかし、どこからどう見てムーミン谷の世界。ちなみに村山は神秘主義者シュタイナーの影響を色濃く受けているという。それぞれの建物に入るとわかるが、ムーミンがモチーフといいながらも、息がつまるほど完成度の高い村山独自の世界(おそらく)が実現されており、私などは立ち止まると頭がクラクラするのであります。この完成度で入場無料というのも素晴らしい。

住所:埼玉県飯能市大字阿須893-1/営業時間:9:00〜17:00(※季節によって、開園時間は変更)/定休日:月(※月が祝日の場合、その翌平日)/アクセス:西武池袋線元加治駅から徒歩20分

7位 尾久の原公園

隅田川沿いのビオトープ

都内にビオトープ系の公園は多いが、ここはほどよく開放的で清潔なのがいい。もとは旭電化工業(現・ADEKA)の工場だったが、東京都に払い下げられ、ビオトープ公園となった。広さは東京ドームとほぼ同じ、トンボ池では全国有数の生息数という約30種類のトンボが確認されている。まあなにより、隅田川沿いにこれだけ広い原っぱが残っていたとは!

6位 タイヤ公園(西六郷公園)

ウルトラQの世界

約3000本の古タイヤを使って、タイヤで怪獣や遊具が象られているという不思議な公園。ゴジラのような怪獣は高さ8m全長20mという巨大なもの。ほかにもブランコや、タイヤに乗って滑り下りるアトラクションなど、ほぼすべてのものがタイヤで作られている。開園は1969年と古く、当初からいろんなメーカーに大田区が声をかけて作り上げたそう。巨大な団地の横に位置しており、夕方行くとなんだかウルトラQとかパラレルワールドとか、そういう気分になる。

5位 根岸森林公園

丘の上に残った競馬遺構

横浜の公園というと、「山下公園」と「港の見える丘公園」が有名。どちらも日本を代表するデート公園だと思うが、その近くにあまり有名でない根岸森林公園がある。でもこちらは先の二つ以上におすすめ。根岸の丘の上にある広大な公園は、実は明治時代の競馬場の跡地。端から端まで歩くともう一日終わった気がするぐらい疲れる。「旧一等馬見所」という建築家J・Hモーガンが造った観覧席も巨大な廃墟のようで迫力満点。近くにはユーミンが歌にしたレストラン『ドルフィン』があり、伝説のソーダ水もメニューに健在。この公園を起点に外交官の家、外人墓地、港の見える丘公園と散歩するのもおすすめです。

住所:神奈川県横浜市中区根岸台/営業時間:園内自由/アクセス:JR京浜東北線・根岸線根岸駅からバス6分の滝の上下車徒歩2分
住所:神奈川県横浜市中区根岸台1-3/営業時間:11:00~16:00(入館は~15:30)/定休日:月・火(祝の場合は翌平日)/アクセス:JR京浜東北線・根岸線根岸駅からバス6分の滝の上下車すぐ

4位 横十間川親水公園

水の都・東京を思う

万治2年(1659)に掘られた人工の川、横十軒川。その多くの部分を埋め立てて造られた総延長1970mの大規模親水公園。川の水位を人工的に調節する、いわゆるゼロメートル地帯にあり、水の都・東京に思いを馳せながら船に乗ってみよう。二つのボート乗り場や、水上アスレチックなどがあり、シャワーも完備されている。尾高ボート場では、毎週1回、和船の体験乗船会が行われ、櫓をこぐこともできる。

3位 稲荷山公園

アメリカを感じる公園

通称ハイドパーク。かつてこの地にアメリカ空軍のジョンソン基地があり、その基地内に造られた公園。米軍撤収後、狭山市に払い下げられた。米軍住宅地だった代々木公園と雰囲気は似ているが、さらに静かで高低差のある造りが、深い森の空気をたたえている。開放的な芝生広場も鬱蒼とした森の中を歩くジョギングコースも、非常に美しく見ごたえと歩きごたえ十分。ちなみ1970年代、公園周辺の米軍ハウスに若いクリエイターたちが移り住み、「アメリカ村」という一大コミューンを形成していた時代があった。その一軒に細野晴臣が移り住み、自宅録音したのが名盤『HOSONO HOUSE』。はっぴいえんど『風街ろまん』のジャケットもこの辺りで撮影された。

2位 清澄庭園

雨の日もしっとりいいんです

公園歩きは晴れの日が楽しいものだが、清澄庭園は違う。晴天時より雨の日の方が目に楽しいのだ。もとは豪商・紀伊國屋文左衛門の屋敷で、明治期に三菱の創業者・岩崎彌太郎が買収し、回遊式林泉庭園として整備したことに始まる。佐渡赤玉石、伊豆磯石、伊予青石、讃岐御影石といった全国の名石を配したところに特徴があり、これが雨の日の方が石に色が濃くなって美しいのである。また、驚くほど亀が多いのもここの特徴。歩いていると、ふと足元で亀が甲羅干ししていたり首を伸ばしていたりするので、注意が必要だ。清澄白河はロースタリ―カフェのメッカでもあるので、散策のついでにおいしいコーヒーをどうぞ。

住所:東京都江東区清澄3-3-9/営業時間:9:00〜16:30/定休日:無/アクセス:地下鉄大江戸線・半蔵門線清澄白河駅から徒歩3分

1位 国立科学博物館付属自然教育園

武蔵野とはこういうこと

ひとことで言うとジャングル。初めて見た人はびっくりするに違いない。東京ドーム4つ分の広大な土地が武蔵野の姿の今に伝えている。白金長者と呼ばれた豪族の屋敷に始まり、江戸期は松平家の下屋敷、明治期は陸軍の倉庫をへて白金御料地、戦後は国立科学博物館の管理下へ。園内は深い森とひょうたん池、湿地に分かれており、なるべくそのままという方針のもとに保存されている。たとえば、常緑樹と落葉樹を手入れをせずに放っておくと背の高い常緑樹のみが残るはずという仮説を立証するなど、いわばプロ仕様の公園。東京というところは、放っておくとこうなるんだなあという見本のような場所。

というわけで選んでみました10つの公園。いずれも地元の人達に愛されている公園ばかりです。「マイナー」などと書いてしまってすいません。ちょっと反省。

 

選定・文=武田憲人(散歩の達人統括編集長)