タバコ屋の素敵なデザインを記憶に残したい

商店の横にヒョッと設置された、人ひとり分くらいの幅の出窓。そこから顔を覗かせて客とやりとりをする。店内は見えないが、きっとコックピットのようになっているに違いない。

犬が店番をしているタバコ屋。2000年頃東長崎にて撮影。
犬が店番をしているタバコ屋。2000年頃東長崎にて撮影。

大抵店番はおばあちゃんであるが、たまに犬が出てくることもある。一体内部はどうなっているのだろう、と想像は膨らむばかりであった。

しかし時代を経るにつれ、タバコはコンビニで気軽に入手できるようになった。私自身は非喫煙者のため、タバコ屋に行く機会も持てない間に、街からはどんどんタバコ屋が姿を消していっているように思う。

おそらくタバコ以外のものも販売していたであろう商店だが、閉店してかなりの年数が経っていると思われる(恵比寿)。
おそらくタバコ以外のものも販売していたであろう商店だが、閉店してかなりの年数が経っていると思われる(恵比寿)。
こちらは珍しい独立型タバコ小屋。目黒駅近くにあったが、現存しない。
こちらは珍しい独立型タバコ小屋。目黒駅近くにあったが、現存しない。

こうしたタバコ屋の素敵なデザインを、ぜひ記録に残しておかねばならない。

「昭和のタバコ屋」にもさまざまある

出窓風のタバコ屋は、一般に「昭和のタバコ屋」などと言われる。しかし昭和といっても年代はさまざまだ。

古そうなタバコ屋出窓。ここ30年くらいは開いているのを見ていない気がする(高田馬場)。
古そうなタバコ屋出窓。ここ30年くらいは開いているのを見ていない気がする(高田馬場)。

雨戸が木でできている古い造りのものから、

広島・鞆の浦のタバコ屋。ショーケースが銀のシートで覆われている。
広島・鞆の浦のタバコ屋。ショーケースが銀のシートで覆われている。

昭和中期風のタイル張りのデザイン、

多磨霊園のタバコ屋。ポップな色遣いや丸いフォントが80年代風。
多磨霊園のタバコ屋。ポップな色遣いや丸いフォントが80年代風。

ポップな字体の80年代風のものまである。

番外編。こちらはタバコ屋ではないが、見事なほどの狭い窓口(中野坂上)。
番外編。こちらはタバコ屋ではないが、見事なほどの狭い窓口(中野坂上)。

狭いところ好きの私が心惹かれるのは、やはり窓の幅が狭い店である。狭ければ狭いほど、「店内はどうなっているのだろう……」と想像力をかき立てられる。窓が狭いということは、当然シャッターの幅も狭くなる。

仙川の酒店。開店時には真ん中のタバコ窓がどのようになっていたのか、気になる。
仙川の酒店。開店時には真ん中のタバコ窓がどのようになっていたのか、気になる。
高尾のタバコ窓口。小ぢんまりしていてかわいらしい。
高尾のタバコ窓口。小ぢんまりしていてかわいらしい。

このような幅狭シャッターは、タバコ屋の窓にしか使われないのではないだろうか。

昭和を感じるキャッチコピー

ところで、古いタバコ屋を見学しているうちに、次のような言葉が目に留まった。「おくりものに たばこ」。恐らくは専売公社時代のキャッチコピーだろうが、今では考えられないフレーズである。度重なる値上げにより、一箱600円近くとなっている現在の方が、高級感のある贈答品となりそうでもあるのだが……。

彦根のタバコ屋。正面はシャッターが下ろされており、側面のキャッチコピーのみが確認できた。
彦根のタバコ屋。正面はシャッターが下ろされており、側面のキャッチコピーのみが確認できた。
芦花公園のタバコ屋。ツタが這っている壁面も含めて味わい深い。
芦花公園のタバコ屋。ツタが這っている壁面も含めて味わい深い。
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ここまで、おもに閉店したタバコ屋を見てきたが、もちろん今現在でも出窓からの販売を続けているタバコ屋もある。今後もこうしたタバコ屋の出窓が残り続けることを祈りつつ、出窓が似合うおばあちゃんになれるよう、今から鍛錬を積んでおきたいと思う。

絵・写真・文=オギリマサホ