どうぶつ
目が合ったらついつい手が伸びる
今回、最も多く目にしたのは動物柄。キャラにしやすいのか、全体的にポップな仕上がりが多い。中でも、旭山動物園を描いたずZOOっと旭山は陸、海、山の3種類あり、全種手に取りたくなる。御代櫻は1972年に日本へ初めてパンダが来園した時に誕生した歴史あるカップ。十旭日は、絵本のようなラベルが魅力的だが、購入金額の一部が動物愛護団体に寄付されるという一面も。可愛い姿に油断して、買いすぎに注意だ。
①若鹿 上撰 青バンビカップ 舟木酒造[福井県]257円(180㎖)
②秋鹿 純米バンビカップ 秋鹿酒造[大阪府]418円(180㎖)
③十旭日(じゅうじあさひ) WAN WAN CUP 旭酒造[島根]616円(180㎖)
④十旭日 NYAN NYAN CUP 旭酒造[島根]616円(180㎖)
⑤志太泉(しだいずみ) にゃんカップ 志太泉酒造[静岡県]377円(180㎖)
⑥御代櫻(みよざくら) 純米カップ 御代桜醸造[岐阜県]330円(180㎖)
⑦ずZOOっと旭山 純米 髙砂酒造[北海道]418円(180㎖)
⑧玉櫻 純米 悠々燗々。 玉櫻酒造[島根県]374円(180㎖)
伝統・昔ばなし
描かれた柄で脳内全国行脚の旅へ
ラベルからさまざまな文化が見えるのもカップ酒の特徴。淡路島の都美人は、島の伝統文化である人形浄瑠璃がモチーフのラベル。歴史好きの観光客から人気が高いという。魚沼に伝わる雪男を描いた鶴齢 雪男は擦りガラスのカップが美しい。また、天の戸 のんびり純米酒カップには、なまはげに秋田犬、ババヘラアイス、竿燈まつりなど名物が並ぶ。絵柄を眺めていると、小旅行している気分だ。
①三年古酒 鬼ころし 七尾城カップ 布施酒造店[石川県]300円(180㎖)
②天の戸 のんびり純米酒カップ 浅舞酒造[秋田県]424円(180㎖)
③聚楽太閤(じゅらくたいこう) 上撰 曳山カップ 鳴滝酒造[佐賀]273円(180㎖)
④久寿玉(くすだま) 飛騨さるぼぼ ワンカップ 平瀬酒造店[岐阜県]319円(180㎖)
⑤鶴齢(かくれい) 雪男 純米酒カップ 青木酒造[新潟県]396円(180㎖)
⑥都美人 超上撰人形カップ 都美人酒造[兵庫県]275円(180㎖)
ボタニカル
シンプル。だが、それがいい
玉川カップは実に30年以上変わらぬデザインで、「カップ酒と言えばリンゴ柄」と言う人も少なくない。鶴齢はカップの形に注目。また、窓乃梅は江戸時代に酒蔵の窓から舞い込んできた梅の花がモチーフ。この梅が桶の酒に入り、芳醇な香りを生んだという風流な由来がある。現在では真っすぐなカップが主流だが、もとはこの形が最古のタイプだ。植物柄の質素な絵には、深い歴史が刻まれている。
①窓乃梅 上撰マドカップ 窓乃梅酒造[佐賀県]220円(180㎖)
②鶴齢 本醸造 青木酒造[新潟]283円(180㎖)
③玉川カップ 本醸造 カネタ玉田酒造店[青森]262円(180㎖)
ニュータイプ
キリっと凍結! 食べるか? 飲むか?
今やカップ酒は飲むだけではなく、食後のデザートにも。今回手に入れた加賀の雪酒と初雪盃 にごり酒の2つは、冷凍用のカップ酒だ。凍らした酒をスプーンですくえば、シャーベットのようにシャリシャリ。純米の甘みをぐっと感じられ、酒であることを忘れてしまいそうだ。そのまま食べてもいいが、時間が経ってとろとろに溶けた状態で飲むのもまた一興。冷凍庫に常備しておきたい。
①加賀の雪酒 純米酒 中村酒造[石川県]462円(180㎖)
②初雪盃 にごり酒 本醸造 協和酒造[愛媛県]440円(100㎖)
編集部のひとめぼれ
造り手の工夫がたまらない!
新潟県の萬寿鏡は仕掛けが面白い。世界地図をのぞけば、反対に描かれた新潟県が世界の中心に浮かぶデザイン。有田焼の古伊万里カップ酒NOMANNEの高級感に驚かされ、富山県出身の漫画家・堀 道広さんのイラストが描かれた有磯曙は和む。また、人生フルスイングはインパクト勝負かと思いきや、吟醸香しっかりでただ者じゃない。見て、飲んで、楽しんで、カップ酒のさらなる深みにハマりそう。
①人生フルスイング 純米吟醸 丹山酒造[京都府]400円(180㎖)
②開運 SLの旅カップ 土井酒造場[静岡県]268円(180㎖)
③繁桝 清酒 高橋商店[福岡県]235円(180㎖)
④有磯(ありいそ)曙 純米酒カップ酒 髙澤酒造場[富山県]363円(180㎖)
⑤石鎚(いしづち) 無濾過純米 槽搾りカップ 石鎚酒造[愛媛県]330円(180㎖)
⑥古伊万里カップ酒 NOMANNE 芙蓉手柄 古伊万里酒造[佐賀]1760円(180㎖)
⑦萬寿鏡 マスカガミカップ マスカガミ[新潟]308円(180㎖)
今回カップ酒を買ったお店
酒館 内藤商店[五反田]
店を“酒の図書館”と称し“館長”を名乗る東條辰夫さん。カップ酒はほぼ全ての都道府県を網羅。酒造に頼んで作ったオリジナルも。
『酒館 内藤商店』店舗詳細
まるごとにっぽん[浅草]
全国の名産品が集まるアンテナショップで、角打ちもあり。カップ酒は副店長の藤生安津子さんが惚れ込んだものを酒造から仕入れている。
『まるごとにっぽん』店舗詳細
取材・文=高橋健太(teamまめ) 撮影=小野広幸
『散歩の達人』2022年2月号より