気取らずのんびりした雰囲気の、どこか懐かしい “町カフェ”
コンビニを営んでいた店主の広瀬泰子さんがこのカフェをはじめて12年になる。オープンは朝10時(コロナ禍前までは9時)だが、毎朝8時には店に入って仕込みをする。「毎日が楽しい」と明るく笑う広瀬さんは、入れ替わり立ち替わり訪れるお客さんとも気さくに会話を交わす。
仲の良さそうな老夫婦や年配の女性の2人連れ、1人でふらりと入ってきた老紳士。お客さんの年齢層はちょっと高めだが、お店の雰囲気はのんびりと和やかで心地よい。「近くの整形外科帰りの年配の方がよくランチを食べに来てくれるんですよ」と広瀬さん。オープン当初から禁煙で、赤ちゃんや小さな子供連れのお母さんたちの集いの場にもなっている。
もともとここは広瀬さんのご両親の土地。生まれも育ちも西船橋の店主が営むカフェは、地元の人々に愛されるちょっと懐かしい喫茶店の風情もあり、気取らずにくつろげる。昭和を感じる親しみやすい町中華がブームの昨今、ならばここは町中華ならぬ町カフェだ。
アレンジコーヒーやケーキ、レモンスカッシュ、みつまめまで!
『Cue’s cafe』の魅力は、お店の雰囲気だけじゃない。その豊富なメニューにも驚かされる。アレンジ・デザートコーヒーだけでも13種類もある。カフェラテやカフェオレ、カプチーノなどの定番はもちろん、カフェコンバンナ、プディングラテ、カフェモンテカルロなども並ぶ。どれもエスプレッソベースのアレンジコーヒーなのだが、なんともそそられるネーミングだ。
また、昭和に子供時代を過ごした方には懐かしい喫茶店の定番、レモンスカッシュもちゃんとある。ココアにマシュマロを浮かべた憧れのましまろココアもあって、メニューを見ているだけでも楽しい。
銀座の老舗カフェ『パウリスタ』の森のコーヒーをリーズナブルに飲める!
日本のコーヒー文化の発祥ともいわれる銀座『カフェパウリスタ』(日東珈琲)の農薬・化学肥料不使用コーヒー「森のコーヒー」が、『Cue’s cafe』では418円で飲める。「森のコーヒーを日東珈琲さんから仕入れて、それをうちではお安く出しています。だから銀座で飲んできた方に、ええ、こんなに安く飲めるのって言われましたよ。でも、あっちは銀座ですからね(笑)」と広瀬さん。これは注文必至でしょう。
そしてスイーツは、人気の手作りチーズケーキをチョイス。一皿にニューヨークチーズケーキとベイクドチーズケーキの2種類が盛り合わせてある。添えられた生クリームは甘すぎず、濃厚なチーズケーキのアクセントにちょうどいい。
「お腹いっぱいになるでしょ」と広瀬さんにいわれた通り、完食するころにはしっかりお腹が満たされた。チーズケーキと一緒に、森のコーヒーも飲み干した。大満足。
今回は、ちょうど3時のお茶の時間に訪れ、お話を伺いながらゆったりとした時間を過ごさせていただいた。機会があれば、次回はぜひランチを食べにまた来たいと思う。
ちなみに『Cue’s cafe』の店名の由来は、イタリア語のカルテットと、英語のテイクキューを合わせた造語なのだとか。4人姉弟の広瀬さん姉弟が四重奏を奏でるように助け合い、人と人とを繋ぐきっかけ作りの場になればという想いが込められているのだそうだ。
取材・文・撮影=京澤洋子(アート・サプライ)