出合ったことのないかわいさとフレーバーのいちご団子
開店9時前から並ぶお客さんのお目当ては、店頭のショーケースに並ぶたくさんの種類のカラフルな団子たち。どれもまるで魔法をかけられたかのようにいちごとあんでかわいくトッピングされ、見ているだけで心がときめく。今まで地味だった女の子を周りが総力をあげて変身させちゃったかのような……?団子ってここまで進化するんですね。
値段はすべて300円と分かりやすい上、「スイートポテトミックス」「いちご抹茶」「キャラメルミルクほうじ茶」など他ではお目にかからないようなフレーバーばかり。どれにしようか悩む時間も楽しみのひとつということだろう。
店長の山田さんが教えてくれた。「初めは4〜5種類だけでしたが、いつの間にか増えましたね。全部で10種類あるうちの1種類は日替わりなので、その日の作り手が気分に合わせて作っています」。そんな遊びゴコロがあるのも素敵だ。
筆者もさっそくいただくことにした。ケーキ屋さんにいるような気分でショーケースから選んだのはいちご紅白団子300円。
折りしも取材に伺ったのは年末で、これからちょうど新年を迎えようというタイミングであった。これは紅白で縁起を担いでおかないとね。見た目の可愛らしさはもちろんのこと、トッピングのいちごあんとミルクあんのやさしい甘さのハーモニーがこれまでのトラディショナルな団子のイメージを覆す。
さてこちらはいちご四色団子300円だ。
カラフルな4種類のあんはどれも違ったフレーバー。あんは全部で9種類あるそうで「キャラメルあん」「ほうじ茶あん」など、どれもここでしか味わえないオリジナルなのだ。
ちなみに四色だんごのうちのひとつは「マンゴーあん」。今まで食べたことも聞いたこともない。一口かじってみると、これがしっかりマンゴー味なのだ。何味なのか考えながら食べると、よりいっそう気持ちも盛り上がってオススメです。
インスタ発信で全国からお客さんが来店
『浅草そらつき』はもともと2018年にオープンした「いちごドラ焼き専門店」である。『そらつき』は本店である『築地そらつき』のほか、浅草と鎌倉に店を展開している。それぞれが何かに特化した店で『浅草そらつき』は「いちごドラ焼き専門店」というわけだ。
新型コロナウィルスの拡大で客足が落ちたのを機に、『浅草そらつき』のメイン商品をもうひとつつくろうと生まれたのが「いちご団子」だ。片手で気軽に食べられる上、浅草で団子を扱っている店が案外少ないのがその理由だ。
「毎日インスタグラムにあげていたら、いつの間にか口コミで話題になりました。地方からのお客さんもインスタ経由で来てくれる人が多いですね」と山田さん。全国から人が集まる観光地・浅草という立地だからこその強みかもしれない。インスタ恐るべし!
ちなみに今ではいちご団子がすっかり有名になってしまったが、店頭のショーケースには4種類のいちごドラ焼きも一緒に並んでいるので、ぜひそちらもチェックしてほしい。いちごドラ焼きというからには、もちろんどこかにいちごが入っているわけです。しかも丸ごと。思いっきりかぶりついちゃってください。
300円の団子に込めた想いとは
店頭に並ぶ団子は、どれも食べるのがもったいくらいのかわいさだ。山田さんをはじめとするスタッフにとって、いちご団子を作るのはとても繊細で気をつかう作業。でもお客さんの喜ぶ顔を見るため、一つ一つ丁寧に仕上げてゆく。
「わざわざ遠くから買いに来て、おいしいと食べてくれるのは本当にありがたいです」と山田さん。「1本300円という値段ですが、それを食べてどう感じるかは人それぞれ。たかが300円、されど300円です。だからこそ『おいしかった』だけで終わらず、旅のいい思い出として皆さんの心に残ってくれたらうれしい。そして『また行きたい!』と思ってほかの人にも薦めてもらえるような店でありたいですね」
構成=フリート 取材・文・撮影=千葉深雪