◆散歩コース◆

体力度:★★☆
難易度:★★☆

  • 登山シーズン 4月~6月、9月~11月
  • 最高地点 1180m(大嶽神社)
  • 歩行開始地点 831m(御岳山駅)
  • 歩行時間 5時間30分
  • 歩行距離 約11.5km
スタート
御岳山駅
ケーブルカーの駅から舗装路を宿坊のある集落へ。売店が並ぶ参道を抜けて石段を上がれば神社のある山頂。

御岳山
石段の途中から長尾平方面への近道を通り長尾平分岐へ。長尾平の展望所へは往復10分程度。

長尾平分岐
分岐から下っていくと七代の滝。鉄の急階段を上がれば天狗岩へ。岩石園を抜ければ綾広の滝。途中にトイレ。

綾広の滝
サルギ尾根の芥場峠まで上がって右折、すぐ鍋割山分岐から左折。大嶽神社手前では岩場も出てくる。

大嶽神社
神社から大岳山の巻き道に入り、馬頭刈尾根へと向かう。平坦な道だが、富士見台の先が、ちょっと荒れた道。

つづら岩
ロッククライミングの練習場のつづら岩から急坂を下る。平坦になると静かな綾滝が見えてくる。

天狗滝
轟音が聴こえてきたら天狗滝。すぐ下に小天狗滝もある。少し下ると舗装の林道へ出る。バス停には20分。

ゴール
千足バス停


アクセス:
[行き]新宿駅からJR中央線・青梅線で御嶽駅、御嶽駅から西東京バス「ケーブル下バス停/滝本駅」へ。滝本駅から御岳山ケーブルカーで御岳山駅、約1時間45分。
[帰り]千足バス停から西東京バス「武蔵五日市駅」へ。武蔵五日市駅からJR五日市線・青梅線で立川駅、中央線に乗り換え新宿駅、約1時間50分。


御岳山ケーブルカーを利用しない場合はプラス1時間はみたい。ケーブルの待ち時間はあるが、乗れば6分。千足からのバス便は少ないので、払沢の滝まで歩いたほうが便利。

御岳山や大岳山周辺には滝が多い。さらに御岳山の先には、ゴルジュ(V字谷)とまでは言えないが、岩が狭まった渓谷がある。今はロックガーデンというが、古い言い方では岩石園。こちらのほうがなんか力強いので、岩石園と呼ぼう。

ま、それはいいとして、コースは御岳山上にある御師(おし)の集落を抜け、御嶽神社に参拝。それからまず七代(ななよ) の滝へ。岩石園を通って綾広(あやひろ)の滝、大嶽神社から馬頭刈(まずかり)尾根を歩いて、檜原村の滝へ向かうという滝三昧のコースを取ることにする。

スタートはケーブル下バス停から少しだけ歩いてケーブルカーを利用する。徒歩で参道を上がるのも選択肢だが、今回はパス。御岳山駅そばの展望台からの都心部の眺めがいいはずだが、取材が春だったせいか、靄もやがかかっていていまひとつ。

集落を抜け、御岳山山頂へ

宿坊が二十数軒あるという集落を抜けて、まずは御嶽神社に安全を祈願しに立ち寄る。眺めはさすがに、昔は山城があったというだけに悪くはない。ただし本音を言えば近くに見える日の出山のほうが眺めはいい。

御岳山山頂周辺にある山上集落。宿坊などがある。
御岳山山頂周辺にある山上集落。宿坊などがある。
武蔵御嶽神社
武蔵御嶽神社

神社から近道を通って長尾平分岐へ。余裕のある人は長尾平まで足を延ばせば展望を楽しめる。今回は滝がメインなのでパスして、分岐からまっすぐ七代の滝へ下りて行く。見える部分の落差は数メートルという小さな滝だが、苔むす岩肌を流れ落ちる様子は味わい深い。

全7段で落ちる七代の滝。全体では50mの落差があるが、見える部分は数メートルほど。
全7段で落ちる七代の滝。全体では50mの落差があるが、見える部分は数メートルほど。

滝から急な鉄階段を上がって天狗岩へ。ここから岩石園のはじまり。1935(昭和10)年、当時の東京府が綾広の滝までの1・5㎞の区間を整備し遊歩道に。「東京の奥入瀬」とも言うらしいが、それはやや大げさだろう。でもゴルジュっぽい景観は、なかなかのものだ。

岩石園(ロックガーデン)は御岳沢沿いの遊歩道で、全長1.5km。1935年に整備された。
岩石園(ロックガーデン)は御岳沢沿いの遊歩道で、全長1.5km。1935年に整備された。
七代の滝から鉄の階段を上がっていくと天狗岩がある。岩の上に登れるが、落ちないように。
七代の滝から鉄の階段を上がっていくと天狗岩がある。岩の上に登れるが、落ちないように。

禊の神事が行われている、綾広の滝へ

岩石園を抜ければ紙垂(しで)が下がった鳥居のある厳粛な綾広の滝。今も滝行が行われているだけあって、どこか神聖な雰囲気がする。

落差10mの綾広の滝。禊の神事が行われている。
落差10mの綾広の滝。禊の神事が行われている。

芥場(あくば) 峠へ上がり、大嶽神社方面へ。最初は楽ちん、徐々に勾配が増し、後半部は岩場になり、クサリ場なども。注意して先へ。大岳山には行かずに大嶽神社から左手のルートをとって馬頭刈尾根へと入る。

大嶽神社
大嶽神社

アドバイス

大嶽神社の手前に岩場やクサリ場が何箇所かあるので慎重に通過したい。馬頭刈尾根の、つづら岩から下りる最初の部分がかなりの急坂。クサリやロープはないので、そのつもりで。

平坦な尾根道を歩いて、つづら岩へ。ここから急坂を下って行くと、さらさらと落ちる音なしの滝、糸を引いたような綾滝だ。さらに下って行くと「ゴーッ」という轟音。落差38mもある豪快な天狗滝。すぐその下方には小天狗滝もある。

落差21mの綾滝。音もなく静かに落ちる様子が綾織物を垂れ下げたように見える。
落差21mの綾滝。音もなく静かに落ちる様子が綾織物を垂れ下げたように見える。
コース上、一番大きな天狗滝。巨大な岩壁を落ちる滝は落差38mもある。
コース上、一番大きな天狗滝。巨大な岩壁を落ちる滝は落差38mもある。

渓谷と滝好きにこたえられない名コース。近くには払沢(ほっさわ)の滝まであるのが、さらにいい。

山歩きメモ

大嶽神社から大岳山に登る際は、岩場に注意したい。急なところもある。往復20分程度かかる。つづら岩から天狗滝方面に下りずに、そのまま馬頭刈尾根を歩いて瀬音の湯まで行く場合は、つづら岩から3時間弱とみたい。

武蔵御嶽神社と大嶽神社

講で賑わった御師の集落が残る御嶽神社

大嶽神社。
大嶽神社。
武蔵御嶽神社。
武蔵御嶽神社。
武蔵御嶽神社の狛狼。
武蔵御嶽神社の狛狼。

昔から山岳信仰の場として知られる武蔵御嶽神社。江戸期に入ると講が栄えて山上には御師の集落が形成された。一方、大岳山の山頂直下にある大嶽神社は檜原村の三都郷(みつご)に里宮があり、こちらが奥宮になる。

払沢の滝

秋川源流部に落ちる名瀑に寄ってみたい

千足バス停から歩けば約30分で行ける滝。全4段で落差は62mもある。見えるのは最下段だけで、およそ23m。東京都では「日本の滝百選」に選ばれた唯一の名瀑。水量、豪快さ、滝の周囲の雰囲気がよい。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より