5つ星ホテルで修業を積んだシェフが作るスパイスカレー

『Spice Box』を営むオーナーシェフ・斗内(とない)暢明さんは、スパイスの貿易地であり、欧州ではリゾートとして有名な南インド・ケララ州の5つ星ホテル「Casino Hotel(カジノ ホテル)」で修業を積んだ。『Spice Box』のメニューはどれも化学調味料や添加物を使わないという。体に優しい料理を食べられるのがうれしい。

せわしないビジネスパーソンの貴重なランチタイムならお得な2種のカレーセットで決まり。チキンカレー甘口・辛口、野菜とダル(豆)のカレー、フィッシュカレー、本日のカレーのうち、好きなカレーを2種類選べる。

お得な2種のカレーセット1500円。サラダとミニラッシーつき。選択するカレーによって追加料金あり。今回はチキンカレー辛口と本日のカレーを選択。

本日のカレーは、Wペッパーチキンキーマwith禁断のタルタルソース。粗くひいたチキンの食感と旨味、まろやかでコクのあるタルタルソース、スパイスの香りと辛さ。これらが奇跡のバランスで一体化し、ハーモニーを奏でる。さわやかなコリアンダーもいいアクセント。

チキンキーマ、タルタルソース、そしてスパイスたっぷりのルーをご飯にのせて……。まさに禁断の組み合わせ。
やわらかなチキンがホロホロと崩れるチキンカレーも美味。『Spice Box』のカレーは全種類試したい。

チキンカレーはほんのりと甘さを感じ、スパイスの辛さが徐々にやってくる。体の中から温まってきて汗がにじむが、嫌な感じはしない。スパイスの力だろうか、食後はぽかぽかとしてリラックス気分。ランチタイムに食べたら、午後の仕事も頑張れるだろうな。

ご近所さんはもちろん遠方のスパイスマニアも大満足

「昼は近所で働く方がランチに来て、夜は同僚や彼女なんかとディナーに来てくれたら、なんて思っていたんです」。そう教えてくれた斗内さん。店内は清潔感があり、内装もほどよくおしゃれで居心地がいい。しかも抜群においしいとくれば「いいお店知ってるじゃん!」と喜ばれること間違いなし。

スパイスが飾られる棚。こういうのって写真に撮りたくなりますよね。

「お連れ様といらっしゃるリピーターの方も多いのですが、遠方からも “スパイスマニア”の方がたくさん来てくださるのは意外でした」。

神田で働く多忙なビジネスパーソン、そして満足のいくスパイスを探し求めてやってくるスパイスマニア。この2タイプのお客さんをがっちりつかんでいることからも『Spice Box』の評判は確かなものだといえる。

複雑な味と香りの組み合わせにシェフのセンスが光る

斗内さんは大学を卒業してからフレンチレストランでの勤務を経て、洋菓子メーカー企業に12年ほど勤めた。長年の企業勤めは斗内さんにどんな影響を与えたのだろうか。

「洋菓子の開発と営業をやっていてわかったことは“おいしい”組み合わせは世の中にあふれていること。でも“すごく”おいしい組み合わせは、なかなかないということ」。

ひとつまみ、ひとさじ、ひと手間が違うだけで “すごく”おいしくなると斗内さんは言う。

「甘い材料と甘い材料を組み合わせると甘くておいしいですよね。でも、臭い香料をほんの少しだけ入れてあげると “すごく”おいしくなる。不思議ですよね。そういった“すごくおいしい組み合わせ”の見つけ方を会社員時代に磨きました」。スパイスやハーブの組み合わせ方は無限大。“すごくおいしい組み合わせ”を見つけるセンスが斗内さんの強みだ。

子どもの頃から自分の店を持つのが夢だった斗内さん(写真中央)。

さぁ、そろそろ会社を辞めて店を出そう、何の店をやろうかと考えはじめたころ、斗内さんはあることに気づいた。

「雑誌にあったスパイスカレーのレシピを参考に作ってみて、これを研究すれば店を出せるなと確信したのですが……。自分には何もないと気づいてしまったんです。有名店で修業を積んだわけでもない、名高い師匠に弟子入りしていたわけでもない。だからこそ、思い切って会社を辞めてインドまで飛び出せたんだと思います」。

南インドでは高級ホテルの料理と一般家庭の料理を覚えたそう。両方の良さを取り入れ、日本になじむ味にアレンジして『Spice Box』のメニューが完成。

徹底した探究心によって生み出されるレシピは、斗内さんのセンスが光るオリジナルの組み合わせ。スパイスの味や香りの層が複雑に重なった、ここだけのカレーを食べに『Spice Box』へ足を運んでみてはいかがだろう。

住所:東京都千代田区内神田1-15-12第二斉木ビル1F/営業時間:ランチ:11:00〜13:45LO・18:00〜21:00LO( 土は~20:30LO)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄新宿線小川町駅から徒歩3分

構成=フリート 取材・文・撮影=宇野美香子