◼︎見た目も味も芸術なフレンチ

数日前、母が還暦を迎えたこともあり、何かプレゼントをしたくて
勝手に「大人の街歩き」を企画していた。
もちろん娘の私も若くないので、活動時間は長くない。
予定は昼からにして、夕方頃までの所要時間を想定したコースを組んだ。
まずは「舌で味わう芸術」からだ。気になっていたフレンチレストランのランチを予約してみた。

伺ったのは「キエチュード」さん。(東京都台東区東上野3−35−1)
JR上野駅から10分ほど歩いた場所にある。フレンチというとちょっと構えてしまう感じが
あるのだが、(私だけかしら)外観や店内はシックでありながら、どこか落ち着く
カジュアルさを兼ね備えていた。ビシッと決めた服装ではなくていつもより少し
おしゃれをして、「ちょっとフレンチ食べに行かない?」と気軽に
友人や恋人や家族を誘えるような雰囲気だ。

この日のコースは前菜〜メイン〜デザートまで、トータル5品。
季節の野菜や食材を使ったお料理を、お手頃な価格でいただける構成になっている。
特に印象に残ったのが、オニオングラタンスープ。カジキマグロと黒舞茸が入っており
魚とキノコの旨みがオニオンの甘味と調和してコクがすごい。
器の周りに石があしらわれているのも可愛らしい。
メインの牛ハラミ肉のローストも赤ワインソースですこしほろ苦く大人な味になっている。

そしてデザートの栗のフォンダンが絶品だった。フォンダン=ショコラという
カチカチに凝り固まった概念を覆してくださった。
ケーキを割ると、とろ〜っと栗のソースが出てくる。
添えてあるバニラアイスと一緒に食べると
フォンダンの熱でアイスが溶けて、口の中に幸せが溢れ出す。

事前にお願いしたらプレートにしてくださり、素敵なデコレーションも
してくださった。母は還暦にして生まれて初めてのガチなサプライズに
固まっていた。笑
ごちそうさまでした。

◼︎印象派の代表に想いを馳せるなど

キエチュードさんから腹ごなしに歩いて15分ほどだろうか、
上野公園内を抜けてやってきたのは国立西洋美術館。(東京都台東区上野公園7-7)
時刻は14時前頃だった。

続いては「目で楽しむ芸術」だ。
芸術にはさほど詳しくないが、一度は耳にしたことがある「モネ」の名前。
丁度テレビでCMも流れていて、この機会に一度見てみようということで来てみた。
今回の目玉はモネが晩年描き続けたという庭の絵、とりわけ水面に浮かんだ「睡蓮」の絵だ。
睡蓮シリーズがこの展覧会では20点以上見ることができる。

日曜の昼ということで当日券はなんと60分待ち(!)と書いており少し怯んだが、
実際に中には30分強ほどで入ることができた。

展覧会は、見応えたっぷりだった。光に魅せられその光を通じた水面や花、風景を
ひたすらに描き続ける人生だったようだが最後の方は眼の病気を患っていたという。
たしかにタッチの荒々しさや、対象の解像度が弱っていく様子などが絵から見てとれ
それでもなお自分の庭を描きつづけるモネに想いを馳せた。

撮影可能な部屋もあり、睡蓮の絵画でぐるっと覆われているので没入感満載だ。
特に自分が気に入った睡蓮の絵はこちら。
どの睡蓮の絵が好きか、一緒に来た人と話しながら鑑賞するのも楽しいと思う。


外にでるともう薄暗くなっていた。
グッズ売り場も相当な人気で、閉館が17:30ということもあり列が打ち切りに
なっていて見ることはできなかった。残念だったが、常設の方のグッズショップで
売られていたモネの今治タオルを母とお揃いで購入し、満足。


半日かけて、存分にアートに浸ることができた。
上野=パンダのイメージで止まっていた母と私にとって、
たくさんの発見があった「大人の街歩き」なのでした。