江戸城入城を許された神幸祭
永田町にある日枝神社は、鎌倉時代に江戸氏が川越に山王宮を祀ったことが始まり。文明年間(1469~1487)には、太田道灌が江戸城築城にあたり川越日枝神社を江戸城内に勧請し、江戸城の鎮守とした。そして徳川家康は日枝神社を「徳川家の産土神(うぶすながみ)」として厚く崇敬した。その後、二代将軍徳川秀忠の江戸城大改築の際に城外に遷座し、万治2年(1659)に現在の地に移転した。
山王祭のメイン行事である神幸祭が行われるようになったのは、現存する歴史書によると徳川秀忠のころではないかといわれている。三代将軍徳川家光のときから神輿が江戸城に入ることが許され、以降歴代の将軍が上覧するようになった。神田明神の神田祭とともに、江戸幕府の公式祭礼、いわゆる「天下祭」として盛大を極めた。神田祭と一年ごとに交互に本祭を斎行するという慣例は江戸時代から続いていて、まさに2026年は本祭にあたり、12日(金)には歴史ある神幸祭が行われる。
「神幸祭では、約500人が昔ながらの装束に身を包み、300~400mほどの行列をつくって、氏子区域である都心を朝から夕方まで練り歩きます」と教えてくれたのは日枝神社のセレストさん。朝8時に日枝神社を出発した一行は、麹町・四ツ谷~国立劇場(元山王)~皇居坂下門前~行幸通り~日本橋茅場町~京橋~銀座~新橋の順路で一日かけて練り歩く。途中、皇居坂下門前や御旅所のある日本橋茅場町などでは厳粛な神事も執り行われる。
巨大な高層ビル群が立ち並ぶなか装束に身を包んだ行列が突如として現れ、まるでタイムトリップしてきたかのような不思議な感覚が味わえるだろう。「皇居や東京駅丸の内駅舎、銀座和光前の交差点などは人気の撮影スポットです」(セレストさん)。また行列には2基の鳳輦(ほうれん)と1基の宮神輿が巡行し、かつて江戸城内への入城を許された「天下祭」の格式を現代に伝える。宮入りは18時ごろを予定しているので時間にして約10時間、距離にして約23kmの壮大な祭礼行列を目にすることができる。
期間中、多彩な祭事や神事がいっぱい!
神幸祭では厳かな雰囲気でしずしずと歩くのに対し、13日(土)・14日(日)には町会神輿が威勢の良い掛け声をあげてにぎやかに練り歩く。13日(土)は麹町・番町・九段地域などからなる上町の連合宮入りが行われ、日枝神社前に集まった神輿が男坂の52段の石段を一気に駆け上がる様子は圧巻だ。また14日(日)は京橋・日本橋地域などからなる下町の連合渡御が行われ、最後にいくつかの神輿が日本橋高島屋のエントランスに入る表敬訪問が見どころ。粋でいなせな江戸の祭りを感じることができる。
ほかにも期間中、13日(土)~15日(月)には山王パークタワー公開空地でひと足早い盆踊り大会「山王音頭と民踊大会(納涼大会)」や、16日(火)には「和菓子の日」にちなんで神前に和菓子をお供えする「山王嘉祥(かしょう)祭」など、さまざまな行事が目白押しだ。「メインは12日の神幸祭ですが、境内ではお囃子や神楽などの奉納行事も行っておりますので、ぜひこの機会に神社に足を運んでいただければ」とセレストさん。神幸祭をはじめ多彩な祭事や神事に参加しながら、「天下祭」と名を馳せた山王祭の魅力に触れてみよう。
開催概要
「山王祭」
開催期間:2026年6月7日(日)~17日(水)
開催時間:行事による
会場:日枝神社(東京都千代田区永田町2-10-5)
アクセス:地下鉄千代田線赤坂駅、地下鉄南北線・銀座線溜池山王駅から徒歩3分
【問い合わせ先】
日枝神社☎03-3581-2471
URL:https://www.tenkamatsuri.jp/
取材・文=香取麻衣子 ※写真は主催者提供






