施設や展示品が伝える100年の変遷

武蔵野郷土館時代の光華殿 『江戸東京たてもの園』蔵。
武蔵野郷土館時代の光華殿 『江戸東京たてもの園』蔵。

『江戸東京たてもの園』の開園にともなって園内に移築された建物たちは、建てられてから移築されるまでの数十年から百年余の長きにわたり、それぞれの地域でほぼ同じ機能を果たし、景観の一部であり続けた。社会がめまぐるしく変化しても、個々の建物をとりまく周囲の景観はゆるやかな時間の流れの中にあったようでもある。

他方、『江戸東京たてもの園』そして小金井公園の地は、時代の要請により独特な役割が期待され変貌をとげた場所だった。園内に移築された建物にも、機能の変更や改称など移り変わりがあり、その変遷には昭和の時代ならではの背景があったという。

展示担当者は「『江戸東京たてもの園』にかかわりのある資料から昭和100年を振り返る展覧会です。移築されて現在はビジターセンターとなっている式殿では、かつて初代神武天皇即位から二千六百年を祝う式典が行われていました。本展ではその関連資料も多数展示されます。また、高度経済成長の時代に『江戸東京たてもの園』の前身施設である「武蔵野郷土館」が行った発掘調査で出土した、縄文時代の丸木舟や中世の大甕(おおみか)なども展示されます。丸木舟は「武蔵野郷土館」の代表的な展示品でした。これらから“激動の昭和”を感じていただけましたら幸いです」と見どころを語る。

建築物や施設の変遷を手掛かりに、この地が歩んだ“昭和”という時代が浮かび上がる。

「ビジターセンター」外観 令和5年度改修工事終了後 『江戸東京たてもの園』蔵。
「ビジターセンター」外観 令和5年度改修工事終了後 『江戸東京たてもの園』蔵。

全4章にわたって『江戸東京たてもの園』の歩みをたどる

紀元二千六百年記念スタンプ用絵葉書 地號 御式場『江戸東京博物館』蔵。
紀元二千六百年記念スタンプ用絵葉書 地號 御式場『江戸東京博物館』蔵。

100年に及ぶ歩みを4章に分けて紹介する本展。第1章「紀元二千六百年記念事業―東京緑地計画と光華殿― 」では、昭和15年(1940)に宮城前広場(現・皇居前広場)で行なわれた『紀元二千六百年式典』が紹介される。そのために仮設された式殿(後の「光華殿」)が現在は園内に移築され、ビジターセンターとして使用されていることに触れながら、当時の絵はがきや胸章などの展示物を通して振り返る。また、第2章「戦後 ―東宮小金井御仮寓所と学習院―」では小金井公園内にある「皇太子殿下の御仮寓所の跡」が紹介される。

第3章「高度経済成長 ―小金井公園と武蔵野郷土館―」では、『江戸東京たてもの園』の前身施設である「武蔵野郷土館」が1991年に閉館するまでの役割に迫り、第4章「平成から令和へ ―江戸東京たてもの園―」では、現在の『江戸東京たてもの園』の近年の役割に焦点を当て、その存在意義を検証する。

小金井緑地 絵葉書 競技 『江戸東京博物館』蔵。
小金井緑地 絵葉書 競技 『江戸東京博物館』蔵。
野毛町大塚出土 片口蓋付常滑壷 『江戸東京たてもの園』蔵。
野毛町大塚出土 片口蓋付常滑壷 『江戸東京たてもの園』蔵。

ミュージアムトークも開催

3月28日(土)・5月23日(土)各日14時30分~、学芸員・齋藤慎一氏による特別展「昭和100 年と江戸東京たてもの園」のみどころを語る「ミュージアムトーク」(手話通訳付き)が開催。参加自由。

開催概要

「昭和100年と江戸東京たてもの園」

開催期間:2026年3月20日(金・祝)~6月21日(日)
開催時間:9:30~17:30 (入園は17:00まで)
休園日:月(祝の場合は翌平日休。ただし3月30日は開園)
会場:江戸東京たてもの園(東京都小金井市桜町3-7-1 都立小金井公園内)
アクセス:JR中央線武蔵小金井駅からバス5分 、JR中央線東小金井駅からバス6分
観覧料:一般400円、65歳以上200円、大学生320円、高校生200円
※中学生以下は無料。
※障害者手帳をお持ちの人と付き添い2名まで無料。

【問い合わせ先】
江戸東京たてもの園☏042-388-3300
公式HP https://www.tatemonoen.jp/special/2026/20260320.php

 

取材・文=前田真紀 画像提供=江戸東京たてもの園