「かわいい」があふれる、蘆雪による子犬の絵が一堂に

《唐子遊図襖》個人蔵 前期・後期展示。
《唐子遊図襖》個人蔵 前期・後期展示。

江戸時代中期の画家、長沢蘆雪。美術の魅力や価値が時代によって移り変わる中、蘆雪の作品は明治時代までは評価が安定しなかった。しかし、たくさんのキャラクターや動物が人気を集める現代、その魅力が改めて脚光を浴びるようになった。その着眼点が「かわいい」。子犬や動物、子供たちを描いた愛おしさあふれる作品が人気を呼んでいる。

そうした蘆雪の作品の根っこには、禅の思想や、命あるものを慈しむ仏教の教えも潜んでいる。それら「かわいい」が詰まった作品に加え、風景や人物、ファンタスティックな世界など、多彩な蘆雪の絵画が集結する本展。蘆雪のさまざまな創作を振り返りつつ、「21世紀の蘆雪」が楽しめる内容になっている。

《四睡図》(部分)『本間美術館』 後期展示。
《四睡図》(部分)『本間美術館』 後期展示。

前期の子犬、後期の虎、それぞれの見どころに注目

《狗児図扇面》『本間美術館』 前期展示。
《狗児図扇面》『本間美術館』 前期展示。

前期後期で大幅な展示替えが行われ、それぞれに見どころがある本展。

前期では「子犬の絵の歴史と蘆雪」に着目。子犬たちの愛らしく、愉快で、ときに頼りないような描写はどんな歴史の上に生まれたのかに迫る。また江戸初期に活躍した、俵屋宗達(たわらやそうたつ)や円山応挙(まるやまおうきょ)らの作品とともに、蘆雪の子犬の愛らしさを堪能できる構成に。

後期では代表作として名高い、和歌山県・無量寺の竜と虎の襖絵『竜虎図襖』が登場。蘆雪がさまざまな作品で追究した「雲を呼び雨を降らせる竜」の一作であり、禅の世界から生まれた虎の一作でもある傑作。無量寺の竜と虎を考え、その面白さを深掘りしていく。

長沢蘆雪《虎図襖》(部分)江戸時代中期(18世紀)無量寺『串本応挙芦雪館』(重要文化財)。
長沢蘆雪《虎図襖》(部分)江戸時代中期(18世紀)無量寺『串本応挙芦雪館』(重要文化財)。

関連イベントも開催

展覧会講座「長沢蘆雪と春の江戸絵画まつり」

5月3日(日)14時~、学芸員・金子信久氏による展覧会講座「長沢蘆雪と春の江戸絵画まつり」が『府中市生涯学習センター』講堂にて開催される。参加費無料、予約不要。

開催概要

「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」

開催期間:2026年3月14日(土)~5月10日(日)
前期:2026年3月14日(土)~4月12日(日)
後期:2026年4月14日(火)~5月10日(日)
開催時間:10:00~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(ただし5月4日は開館)
会場:府中市美術館 2階企画展示室(東京都府中市浅間町1-3)
アクセス:京王電鉄京王線東府中駅から徒歩17分
入場料:一般800円、高校・大学生400円、小・中学生200円
※障がい者手帳を持参で本人と付き添い1名無料。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakutenkaisai/2025_nagasawa_rosetsu.html

 

取材・文=前田真紀 画像提供=府中市美術館