レジェンドから日本初紹介作家まで11作家が登場
“アール・ブリュット”とは、1940 年代にフランスの芸術家ジャン・デュビュッフェによって提唱された言葉で、今日では広く専門的な美術の教育を受けていない人などによる、独自の発想や表現方法が注目されるアートのことを指す。
『東京都渋谷公園通りギャラリー』の展覧会シリーズ「アール・ブリュット ゼン&ナウ」は、国内外のアール・ブリュット/アウトサイダー・アートの動向において、長く活動を続ける作家と近年発表の場を広げつつある作家を紹介。その第4弾となる本展では、英国の多世代・多様なアール・ブリュット作品が集結する。
ゲスト・キュレーターに、英国を拠点にアール・ブリュット/アウトサイダー・アート分野のキュレーターやギャラリストとして活躍するジェニファー・ギルバート氏を迎え、幅広い世代の11 名の英国アーティストによる多様な作品世界が紹介される。
展覧会担当者は、「マッジ・ギルをはじめとした英国アール・ブリュット分野のレジェンド作家のほか、日本初紹介となる新進気鋭作家の作品が多数来日。英国人キュレーターがいま注目する幅広い世代のアーティストを一挙に紹介します。白黒の作品とカラフルな作品を集めた印象の異なる2つの展示室のほか、アーティストの撮りおろしインタビュー映像の展示も見どころです」と語る。
2つの部屋が誘う、それぞれの作品世界へ

展示構成は、白黒の作品とカラフルな作品、それぞれ2つの展示室に分けて紹介。白黒の作品が並ぶクラシカルな雰囲気の部屋では、女性がモチーフの作品のほか、優美で有機的な形や線が印象的な作品が展示される。一方カラフルでポップな印象を受ける部屋では、不思議な生き物や、どこか懐かしいカメラなど、多彩なモチーフの作品が並ぶ。異なる印象の部屋が生み出すそれぞれの作品世界から、想像力を掻き立てられそうだ。

6月21日(土)・22日(日)、ゲスト・キュレーターによるイベントが開催
6月21日(土)15時~16時30分、来日したゲスト・キュレーターのジェニファー・ギルバート氏によるオープニングトーク(日英同時通訳、手話通訳付き)が開催される。ギルバート氏自身が英国でのアール・ブリュット分野の状況やギルバート氏の行う作家支援活動について語る。
6月22日(日)14~15時、ゲスト・キュレーターのジェニファー・ギルバート氏によるギャラリーツアー(日英逐次通訳、手話通訳付き)が開催される。
また、交流スペースでは展示作家本人が自らを語るインタビュー動画や作家が活動する英国のアート・スタジオがパネルで紹介されるので注目したい。
開催概要
「未知なる世界と出会う ―英国アール・ブリュット作家の現在(いま)」
開催期間:2025年6月21 日(土)~8月31日(日)
開催時間:11:00~19:00(入館は閉館30分前まで)※8月15・22・29日の金曜は21:00まで開館
休館日:月 (ただし7月21日・8月11日は開館)・7月22日・8月12日
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室1・2、交流スペース(東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区立勤労福祉会館1F)
アクセス:JR・私鉄・地下鉄渋谷駅から徒歩5~8分
入場料:無料
【問い合わせ先】
公式HP https://inclusion-art.jp/s/unveiled
取材・文=前田真紀 画像提供=東京都渋谷公園通りギャラリー