江戸の一大イベントだった三社祭

浅草寺の草創にかかわった3人の神様を祀っていることから、地元では「三社様」と親しみを込めて呼ばれる浅草神社。その祭礼である「三社祭」の起源は鎌倉時代までさかのぼり、正和元年(1312)に神輿を船に載せて隅田川を渡御した「船祭」が始まりといわれている。江戸時代には大祭前夜に神輿を観音本堂の外陣に安置するなど浅草寺と一体となって祭りが行われていたが、明治時代の神仏分離令が出されて以降、浅草神社の祭礼として行われるようになった。2025年は5月16日(金)~18日(日)の3日間、見ごたえのある行事が行われ、浅草の街は祭りモード全開で盛り上がる。

5月16日(金)の見どころのひとつが、祭りの始まりを告げる大行列だ。13時からお囃子屋台や鳶頭木遣り(とびがしらきやり)、芸妓連の手古舞や組踊りなど、華やかな衣装を着た人々が行列を作って浅草の街を練り歩く。行列が神社に到着すると、14時20分から社殿で、15時からは神楽殿でびんざさら舞が奉納される。びんざさら舞は田植え行事が芸能化されたもので、「びんざさら」と呼ばれる楽器で音を奏でながら紅白の紙を散らして籾(もみ)撒きの様子を再現する。五穀豊穣や悪霊退散を願う伝統的な舞で、東京都無形民俗文化財に指定されている。

薄い板を百枚前後重ねた「びんざさら」で音を奏でながら優雅な舞を披露する。
薄い板を百枚前後重ねた「びんざさら」で音を奏でながら優雅な舞を披露する。

威勢のいい掛け声が飛び交う迫力満点の神輿渡御

5月17日(土)には浅草神社の氏子44カ町による約100基の町内神輿の連合渡御が行われる。12時から浅草寺本堂裏広場に集合し、1基ずつお祓いを受けてから町内を練り歩く。江戸っ子たちの力強い掛け声と神輿を上下左右に荒々しく揺さぶる「魂(たま)振り」がなんといっても特徴で、圧巻の迫力を味わえる。

ラストを締めくくる5月18日(日)には、3基の本社神輿がいよいよ登場! 朝7時に宮出しが行われ、神社に祀られている3人の神様を「一之宮」「二之宮」「三之宮」にそれぞれ乗せて3方面に分かれて担ぎ出していく。神輿は荒く担ぐほど霊力が高まるとされていて、前日に増して威勢よく担がれる姿を見ることができる。宮入りは19~20時ごろで、ここで熱気と興奮が最高潮に達する。下町風情たっぷりの浅草の街が担ぎ手と観衆の熱気に包まれる3日間、その盛り上がりを現地で体感してみては。

お囃子が鳴り響く境内に本社神輿が担ぎ込まれる宮入りは勇壮かつ神秘的。
お囃子が鳴り響く境内に本社神輿が担ぎ込まれる宮入りは勇壮かつ神秘的。

開催概要

「三社祭」

開催期間:2025年5月16日(金)~18日(日)
開催時間: 町内神輿連合渡御は5月17日(土)12:00~、本社神輿宮出しは18日(日)の7:00ごろ、本社神輿宮入りは18日(日)19:00~20:00ごろ
会場:浅草神社(東京都台東区浅草2-3-1)
アクセス:私鉄・地下鉄浅草駅から徒歩7分

【問い合わせ先】
浅草神社☎03-3844-1575
URL:https://www.asakusajinja.jp/

 

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供