“造形”をキーワードに芸術活動の全貌に迫る

Photo: Risaku Suzuki。
Photo: Risaku Suzuki。

1982年、パリ・ビエンナーレに招聘以来、数多くの国際展に出品してきた岡﨑乾二郎氏。総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作をはじめ、「なかつくに公園」(広島県庄原市)などのランドスケープデザイン、「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」(日本館ディレクター)など、常に先鋭的な芸術活動を展開してきた。

広報担当者は、「日本を代表する造形作家・批評家であるとともに建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発など幅広い表現領域でも革新的な仕事を手がけ、その全貌の把握が困難であった岡﨑の仕事を、その根底に一貫する造形という主題から総覧する大規模個展です。近年国際的な評価も高まるこの作家が大きく転回した2021年以降の新作・近作約100点を中心として、過去の代表作を網羅しつつ、その仕事の全貌を展望します」と見どころを語る。

《Examine The Tone And Reasoning Too; Consider The face, How It Changes Hue/聆⾳察理,鑒貌辨⾊》2024 桶田コレクション蔵 Photo: Shu Nakagawa。
《Examine The Tone And Reasoning Too; Consider The face, How It Changes Hue/聆⾳察理,鑒貌辨⾊》2024 桶田コレクション蔵 Photo: Shu Nakagawa。

2021年以降に制作された新作群が一堂に

展覧会タイトルは、「而今而後(これから先、ずっと先も)」という『論語』の一節から取られたもの。2021年以降、岡﨑氏は社会的な情勢と個人的経験の2つの変化のなかで、思考を位置づける時空の枠組みについて大きな転回を迎えたと言う。本展は岡﨑氏が2021年以降の旺盛な活動期に入ってからの新作・近作約100点が発表されているのが大きな見どころとなっている。

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《"What secrets lie within!" Moon pearls crowned garden walls. "Look how shadows dance!" Hark, Wind whispered phantom tales. "Stars sang memories deep. " "Time weaves silver dreams!" she shouted joyfully, "He lives!" And from the mountains the echo came back upon her, "he lives!" "Is the spring coming?" Dawn mist cloaked emerald hills. "Do you have a garden?" Roses climbed ancient walls. "What makes the grass grow?" Rain whispered to the earth. "Where do old tales rest?" Time slept in shadows where moorland flowers bloom and fade.》2024 Photo: Shu Nakagawa。
《あかさかみつけ》1981『高松市美術館』蔵 Photo: Shu Nakagawa。
《あかさかみつけ》1981『高松市美術館』蔵 Photo: Shu Nakagawa。

開催概要

「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展

開催期間:2025年4月29日(火・祝)~7月21日(月・祝)
開催時間:10:00~18:00※入館は閉館30分前まで。
休館日:月(ただし5月5日・7月21日は開館。月が祝・休の場合は開館、翌休)、5月7日(水)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般2000円、学生・65歳以上1400円、中学生・高校生800円
※小学生以下無料。

【問い合わせ先】
東京都現代美術館☏03-5245-4111(代表)
公式HP  https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/kenjiro/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館