どこか温もりを感じる昭和30年代の東京へタイムスリップ

東京駅前丸ノ内ビル街の日曜日 (C)堀潔。
東京駅前丸ノ内ビル街の日曜日 (C)堀潔。

昭和7年(1932)生まれの元広告ディレクター・青柳安彦の写真と、明治・大正・昭和の移り変わる東京の姿を数多く水彩画に残した画家・堀潔の絵。両者の作品を合わせて紹介することで、昭和30年代の東京のまちを浮かび上がらせようと試みる本展。

担当者の芦崎さんは「永井荷風の『日和下駄』や野田宇太郎の『新東京文学散歩』などに触発されて記録された昭和30年代のモノクロ写真と、鮮やかな色で彩られた水彩画を比較し、過去から現在の東京の移り変わりを振り返ります」と見どころを語る。

昭和30年代の東京のまちを写真に収めた青柳は、150点以上の写真を本館へ寄贈している。

また、正確な考証に基づき描かれている堀の絵は、多彩な色彩と詩情にあふれ、時代を色濃く写し出している。40点以上の2人の作品とともに昭和20年代の地図がて示され、当時の情景が目の前によみがえる。

銀座五丁目松坂屋前から四丁目方向(撮影=青柳安彦)。
銀座五丁目松坂屋前から四丁目方向(撮影=青柳安彦)。
東京駅乗車口(撮影=青柳安彦)。
東京駅乗車口(撮影=青柳安彦)。
淡路町交差点付近からニコライ堂(撮影=青柳安彦)。
淡路町交差点付近からニコライ堂(撮影=青柳安彦)。

広がる! 永井荷風の『日和下駄』と野田宇太郎の『新東京文学散歩』の世界

青柳が東京のまちを写しだすきっかけとなった永井荷風の『日和下駄』と野田宇太郎の『新東京文学散歩』とはどのようなものなのか。永井荷風、野田宇太郎、堀潔が作品に込めた思いやキーワードを探りつつ、写真と絵画の撮影・描画ポイントを地図で紹介しているのも見どころのひとつ。

『新東京文学散歩』を参考に、エリアに分けて展示された写真と絵画が、当時の街の魅力を存分に伝えている。写し出されたポイントや、描かれた場所が現在どうなっているのか、地図を片手に歩きたくなる。

服部時計店(銀座四丁目)。(C)堀潔。
服部時計店(銀座四丁目)。(C)堀潔。
お茶の水橋とニコライ堂。(C)堀潔。
お茶の水橋とニコライ堂。(C)堀潔。

関連イベントも開催

担当学芸員による「ギャラリートーク」

1月25日、2月8・22日、3月8・22日、4月5日(いずれも土曜)に13時から30分程度、担当学芸員による「ギャラリートーク」が開催される。予約は不要。

3月15日(土)所蔵資料展関連講座 「作家と新宿一九六〇年前後」

3月15日(土)14~16時、二松学舎大学文学部都市文化デザイン学科教授の五井信氏を講師に迎え、所蔵資料展関連講座「作家と新宿一九六〇年前後」を『新宿歴史博物館』 2階講堂で開催。定員90名(多数の場合抽選)、料金1000円。申し込み受け付け中。

開催概要

「写真と絵画でみる昭和30年代の東京風景」

開催期間:2025年1月11日(土)~4月13日(日)
開催時間:9:30~17:30(入館は~17:00)
休館日:1月14日(火)・27日(月)、2月10日(月)・25日(火)、3月10日(月)・24日(月)
会場:新宿歴史博物館 地下1階企画展示室(東京都新宿区四谷三栄町12-16)
アクセス:地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩8分、地下鉄新宿線曙橋駅から徒歩8分
入場料:無料

【問い合わせ先】
新宿歴史博物館☏ 03-3359-2131
公式HP  https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/special-exhibition-room/109887/

取材・文=前田真紀 画像提供=新宿区立新宿歴史博物館