生き生きとした鷹を描いた美術作品が勢ぞろい
訓練した猛禽類を野に放ち、獲物を捕らえる狩猟法、鷹狩。古来、鷹は権力の象徴とされ、その鷹を操る鷹狩を天皇や貴族、武家は好んで行っていたという。
江戸時代、将軍や大名が鷹狩を行う鷹場があった現在の埼玉県を含む武蔵国。鷹狩は、鷹匠などの鷹場役人による管理・運営によって各地で組織的に行われた。鷹場に指定された村々に住む人々は、暮らしの中でさまざまな規制や負担を強いられ、鷹狩の際にも獲物を追い立てるために動員されたという。
本展では、日本では古くから美術作品に多く描かれてきた、鷹狩で活躍した鷹を描いた美術作品を紹介。絵師による鷹図だけでなく、武将が自ら筆を執り制作に関与した作品や権力の象徴として鷹の姿を描いたもの、江戸時代の鷹狩の様子を物語るものなどに注目する。
鷹がいかに人々に親しまれ、敬意をもって扱われてきたのかが伝わってくる興味深い構成になっている。
鷹がよく描かれた3つの画題から文化と歴史を深堀!
鷹を主題とする絵画の画題は主に3つ。止まり木である架(ほこ)の上に佇む鷹の姿を描いた「架鷹図」がそのひとつ。また猛禽類が獲物を襲い捕らえようとする様子を描いた「鷙鳥図(しちょうず)」、鷹狩の情景を描いた「鷹狩図」が主な画題となる。画題が同じ作品であっても、異なる表現で鷹の姿がそれぞれ生き生きと描かれ、絵から当時の様子をうかがい知ることができる。
鷹匠の実演も! 鷹の魅力に迫る関連イベントを開催
10月27日(日)放鷹実演「鷹のおでまし」
講師に岩槻鷹匠会を迎え、現役の鷹匠が鷹を飛ばす実演を行う「鷹匠のおでまし」が10月27日(日)13時~『埼玉県立歴史と民俗の博物館』中庭で開催。事前申し込み不要、荒天中止。
11月9日(土)特別記念講演会「鷹の美術-空を翔る芸術の魅力-」
筑波大学芸術系准教授水野裕史氏を講師に迎え、鷹の美術、鷹と武家との関わりについての講演「鷹の美術-空を翔る芸術の魅力-」が11月9日(土)14時~15時30分に『埼玉県立歴史と民俗の博物館』講堂で開催。HPから事前申し込みを。
11月17日(日)ギャラリートーク「鳥博士のおでまし」
講師に埼玉県立自然の博物館学芸員本田里奈氏を迎え、動物学専門の学芸員と本展担当者が展示作品の鳥について語るギャラリートーク「鳥博士のおでまし」が11月17日(日)13時30分~14時・14時30分~15時『埼玉県立歴史と民俗の博物館』特別展示室で開催。事前申し込み不要。
開催概要
「鷹のおでまし―鷹狩の美術―」
開催期間:2024年10月12日(土)~11月24日(日)
開催時間:9:00~16:30(入館は~16:00)
休館日:月(10月14日・11月4日は開館)
会場:埼玉県立歴史と民俗の博物館(埼玉県さいたま市大宮区高鼻町4-219)
アクセス:東武鉄道アーバンパークライン(野田線)大宮公園駅から徒歩5分
入場料:一般600円、高校・大学生300円、中学生、障害者手帳をお持ちの方(介添え者1名)無料
【問い合わせ先】
埼玉県立歴史と民俗の博物館☏048-645-8171
公式HP https://saitama-rekimin.spec.ed.jp/tokubetsu-takagari
取材・文=前田真紀 画像提供=埼玉県立歴史と民俗の博物館