ブラジルのサンバが浅草を席巻

浅草寺をはじめ、仲見世通りや雷門など古き良き江戸情緒が味わえる浅草は、海外からも多くの観光客が訪れる人気の観光地。そんな浅草でサンバカーニバルが始まったのは今から40年以上前のこと。今ではすっかり浅草のサンバは名の知れるところだが、地球のほぼ裏側にあるブラジルからどのような経緯でこの街にサンバがやってきたのだろうか。

浅草では明治時代、日本初の映画館や、日本で初めてエレベーターを取り付けた「凌雲閣」、水族館やサーカスなど、他の街にはない新たな文化がどんどん取り入れられた。また、大正時代には浅草オペラや安来節など、幅広いジャンルの音楽劇や演芸ブームが生まれた。新しいもの好きで、普段から娯楽として歌や踊りを楽しむ。そんな浅草っ子の気質に合うのではと、昭和30年代後半から40年代にかけてお祭りにブラジルのサンバカーニバルを取り入れる声が挙がった。

「浅草喜劇俳優だった故・伴順三郎氏が当時の台東区長に、浅草の新しいイメージとしてブラジルのサンバカーニバルをやってみようと提案したのがきっかけです」(浅草サンバカーニバル実行委員会)。こうして1981年、地元商店主による運営で浅草サンバカーニバルが誕生した。

開催当初は仮装コンテストの様相が強かったが、年々本場ブラジルのサンバを追求するチームが増えていき、現在では北半球最大級といっても過言ではないハイレベルなサンバカーニバルとして知られるようになった。

パレードの裏で行われる真剣勝負

当日は馬道通りから雷門通までの約800mを、全国から集まった実力派のチームが見事なパフォーマンスで魅了する。「“動くオペラ”とも称されるパレードは、サンバのリズムを奏でるバテリア(打楽器)隊の熱気、躍動感たっぷりに踊るダンサー、カーニバルを盛り上げる歌、各チームのテーマに沿って装飾されたアレゴリア(山車)など見どころが盛りだくさんです!」(浅草サンバ実行委員会)。

2024年は立ち見での観覧のみ。沿道から熱いパフォーマンスを楽しもう。

ド派手に装飾されたアレゴリアも見どころのひとつ。
ド派手に装飾されたアレゴリアも見どころのひとつ。

そして、コロナ以降はイベントを縮小して行ってきたが、今年はいよいよ5年ぶりにパレードコンテストが復活! S1リーグが8チーム、S2リーグが7チーム参加し、盛大なパレードの裏では真剣勝負が行われている。

150~300人で構成されアレゴリアの出場もある、より本場のリオのカーニバルに近い「S1」と、150人以下で構成されアレゴリアは出場しない「S2」の2リーグに分けられ、テーマの表現や衣装、演奏、ダンスなどの採点方式によって優勝を競い合う。S1の最下位はS2へ降格し、S2のトップはS1へ昇格することもあり、なかなかシビア。各チームがしのぎを削って見せる全力のパフォーマンスを堪能しよう。

華やかな衣装と情熱的なダンスに魅了されること間違いなし!
華やかな衣装と情熱的なダンスに魅了されること間違いなし!

開催概要

「第39回浅草サンバカーニバル パレードコンテスト」

開催日:2024年9月15日(日)
開催時間:12:00~17:00
会場:馬道通り~雷門通り(東京都台東区浅草)
アクセス:地下鉄・私鉄浅草駅すぐ

【問い合わせ先】
浅草サンバカーニバル事務局 official@asakusa-samba.org
公式HP:https://www.asakusa-samba.org/

 

取材・文=香取麻衣子 ※画像は浅草サンバカーニバル実行委員会提供