家具約50点と関連資料を3章に分けて紹介

1950年代から70年代にかけて活動したデンマークの家具デザイナー、ポール・ケアホルム。

当時では珍しい、石や金属などの硬質な素材を取り合わせた厳格なデザインで、それでいて冷たい印象を与えずに心地よい緊張感をもたらすのがケアホルムの家具の特徴だ。

《PK22》のフレームを検証するポール・ケアホルム 1957年頃 Photo courtesy of FRITS HANSEN。
《PK22》のフレームを検証するポール・ケアホルム 1957年頃 Photo courtesy of FRITS HANSEN。

「展示では作品一つ一つの構造やディテールに焦点を当てるとともに、収集家である織田氏の視線を通して浮かび上がるケアホルムデザインの美に迫ります。織田氏が語り伝える言葉や、グラフィックデザイナー・イラストレーターとしての一面も持つ氏が描いたケアホルム家具のイラストなどもあわせて紹介し、来場者のケアホルム体験が深められるよう趣向を凝らしています。会場では、実際にケアホルムデザインの椅子に座って体験できるコーナーもあります」と、広報担当者杉本さんは見どころを語る。

この展覧会では、家具約50点と関連資料を3章に分けて紹介。ケアホルムのデザイン哲学と洗練された家具の造形美を、パリで活躍する気鋭の建築家・田根剛氏(ATTA)による構成で生み出している。

 

第1章 ORIGINS 木工と工業デザインの出会い

この章では、ケアホルムの足跡を辿り、デザイナーとしての背景を紹介。後の代表作につながるプロトタイプを生み出した軌跡を、年譜や写真などの資料展示によって紹介していく。

ポール・ケアホルム 1953年 Photo courtesy of FRITS HANSEN。
ポール・ケアホルム 1953年 Photo courtesy of FRITS HANSEN。

第2章 DESIGNS 1951-1980 家具の建築家

メインとなるこの章では、ケアホルムがデザインを手がけた椅子や家具など代表的な作品を約50点を厳選して展示。デンマーク家具の正統を受け継ぎつつも、いかに素材の選定や構造のディテールづくりに挑戦したのか。建築空間との関係を意識しながら、いかに今日にも通ずる革新的な家具をデザインしたのかを見つめていく。

ポール・ケアホルム ≪PK 0≫ 1952年 成型合板(塗装) 織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲。
ポール・ケアホルム ≪PK 0≫ 1952年 成型合板(塗装) 織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲。
ポール・ケアホルム ≪PK 24≫ 1965年 ステンレス、籐、革 織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲。
ポール・ケアホルム ≪PK 24≫ 1965年 ステンレス、籐、革 織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲。

第3章 EXPERIENCES 愛され続ける名作

最終章では、ケアホルムがデザインした家具の図面や関連写真などの資料を一堂に紹介。

現代生活や日本建築においてどのように受容されてきたのか写真資料や書籍などを通して示しながら、多角的にその活動を体験できる構成が興味深い。

ポール・ケアホルム ≪PK 9≫ 1960年 スチール、革 織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲 。
ポール・ケアホルム ≪PK 9≫ 1960年 スチール、革 織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲 。

開催概要

「<織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠> ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム」

開催期間:2024年6月29日(土)~9月16日(月・祝)
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30、)※7月5日(金)、8月2日(金)、9月6日(金)、13日(金)、14日(土)は~20:00(入館は~19:30)
休館日:水(ただし9月11日は開館)、8月13日~16日
会場:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1パナソニック東京汐留ビル4F)
アクセス:地下鉄大江戸線汐留駅から徒歩5分、地下鉄・ゆりかもめ新橋駅から徒歩6分、JR新橋駅から徒歩8分
入館料:一般1200円、65歳以上1100円、大学生・高校生700円、中学生以下無料。
※7月20日(土)以降の土・日・祝は日時指定予約制。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル 050₋5541₋8600
公式HP https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/24/240629/

取材・文=前田真紀