人は風景を「記号的」に見ている。そして、その見方は時代や産業に左右される……『電線絵画展 ─小林清親から山口晃まで』でわかること
みなさんは「電線」や「電柱」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。「古い商店街や住宅地でよく見るもの」、「何だか懐かしいもの」「景観を汚すもの」、「青空をバックに写真に撮ると意外とフォルムがカッコいい」、「街のインフラ」……。人によってそのイメージはさまざまだろう。そんな電線・電柱を考えるにあたって、非常に興味深い展覧会『電線絵画展 ─小林清親から山口晃まで』(以下、『電線絵画展』)が練馬区立美術館で4月18日(日)まで開催中だ。同展の作品を見ていくと、風景の見方が時代や産業の変化に左右されることや、私達が知らずしらずのうちに風景を「記号的」に見ていることもよく分かる。そして電線・電柱の「懐かしい」「汚らしい」「カッコいい・美しい」という多様なイメージの源泉の謎にも近づけるはずだ。本記事では、筆者が展覧会に実際に足を運びつつ、同展を企画した学芸員の加藤陽介さんにお話を伺ってきた。※記事トップ・サムネイル画像は、『電線絵画展』に展示されている小林清親《従箱根山中冨嶽眺望》(1880・明治13年)