自家製粉の珍しきそばとスイーツで堪能『一休庵』

手打ち十割玉子だれそば1200 円は、そばつゆを好みで加えて。白身と黄身がよく絡む。
手打ち十割玉子だれそば1200 円は、そばつゆを好みで加えて。白身と黄身がよく絡む。

懐石料理の腕を磨いた3代目店主、内野和彦さんが心がけるのは「素材の味」。かつて北海道で自家栽培した経験から、十割そばは自家製粉の粗めの粉に細かく碾いたそば粉をつなぎにして手打ち。コシがしっかりあり、香りが鼻び 腔くうを抜けていく。本かつお節に宗田がつお、さば節を加えたそばつゆも風味豊かだ。せいろもいいが、稀有な玉子だれもいい。「月見の改良版」と笑うが、2個入った温泉玉子&つゆがそばにまったりと絡んでまろやか。そば粉や実を加えた手作りおやつも秀逸。そば茶と味わえば、そばの甘みが口中でふくらむ。

内野さん。
内野さん。
深大寺散策のお供に団子やそばまんじゅうを。みやげにもいい。<br> 写真は 【自家製そばだんご】(2本)240円 そばの実も入ってモッチモチ
深大寺散策のお供に団子やそばまんじゅうを。みやげにもいい。
写真は 【自家製そばだんご】(2本)240円 そばの実も入ってモッチモチ

『一休庵』店舗詳細

住所:調布市深大寺元町5-11-2/営業時間:11:00~ 15:00ごろ(土・日・祝は~15:30、そばがなくなり次第終了)/定休日:月(祝は営業)/アクセス:京王線調布駅から京王バス「深大寺」行き8分の終点下車1分

そば前から甘味までじっくり味わいたい『深大寺そば きよし』

鴨せいろ1450 円は、鴨が別皿で登場。しっとりした舌触りに唸る。他に季節限定そばも用意。春は桜えびのぱらぱら天ぷら付き桜そば。
鴨せいろ1450 円は、鴨が別皿で登場。しっとりした舌触りに唸る。他に季節限定そばも用意。春は桜えびのぱらぱら天ぷら付き桜そば。

初代の孫にあたる店長の和地弘樹さんが、京懐石の職人と手を携え、4年前にリニューアル。北海道産石臼碾きの一番粉で細めの二八を手打ちする。そばつゆの出汁は本かつお節のみ。かえしと合わせてから寝かせ、味をグッと引き締めている。花のように別皿に盛った鴨せいろなら、鴨をアテにして飲むのもいいが、そばつゆで味わえば鴨脂が旨味を深め、そばの香りを引き立てる。キスやハゼもお目見えする江戸前天ぷら、ニシンにもファン多く、長尻必至。

そば打ち修業中の和地さん。
そば打ち修業中の和地さん。
【黒糖そば団子】300円 小粒ながらむっちり食感
【黒糖そば団子】300円 小粒ながらむっちり食感

『深大寺そば きよし』店舗詳細

住所:調布市深大寺元町5-12-2/営業時間:11:00~18:00/定休日:月・火(祝は営業)/アクセス:京王線調布駅から京王バス「深大寺」行き8分の終点下車すぐ

行列になるほどの人気店『湧水』

行列になるほどの人気店だが、15時を過ぎればゆるりと過ごせる。
行列になるほどの人気店だが、15時を過ぎればゆるりと過ごせる。

「そばはシンプル。だからこそ、奥深い」と、2代目の児玉友輔さんは、そば屋から専業そば農家に転身した『赤城深山ファーム』に惚れて九割を用いる。碾き具合を変えた粉が配合され、「このそばは、うちのそばつゆによく合うんです」。祖母が始めた『深水庵』の味を継承する辛めのつゆにつければ、コシ強く、喉越しつるり、香味ふわっ。また食後にうれしいのが、そば湯を用いたそばようかん。そばの甘皮粉入りとの2層であんこをサンドし、舌が喜ぶ。

湧水天もり1500円は、九割の手打ちそばと、薄衣をまとうサクッと軽い天ぷら。天つゆ付き。
湧水天もり1500円は、九割の手打ちそばと、薄衣をまとうサクッと軽い天ぷら。天つゆ付き。
【そばようかん】360円 ひんやりプルプル甘さ控えめ
【そばようかん】360円 ひんやりプルプル甘さ控えめ

『湧水』店舗詳細

住所:調布市深大寺元町5-9-1/営業時間:10:30~18:00(17:00ごろに閉店する場合あり。土・日・祝は~19:00ごろ)/定休日:木(祝は営業)/アクセス:京王線調布駅から京王バス「深大寺」行き8分の終点下車3分

そば粉を使った料理も揃う『松葉茶屋』

天ざるそば1530円。
天ざるそば1530円。

神代植物公園にほど近く、高い木々に囲まれた抜群のロケーション。三代目・石川和之さんは、池波正太郎の小説に出てくる江戸のそば屋の世界観に憧れ、そば前を強化するように。約200年前に普及し、今では稀少な「江戸甘味噌」を用いるそば味噌、そばがき、そば揚げ餅など、そば粉を使った料理が揃う。そばは細打ちの江戸風。丁寧に殻を取ったむき実を挽く、青みがかった色味が涼やかだ。

樹齢推定200年、店の神木の前で。
樹齢推定200年、店の神木の前で。

『松葉茶屋』店舗詳細

住所:調布市深大寺元町5-11-3/営業時間:10:00~17:00/定休日:月休(祝は営業、平日の翌火休)/アクセス:京王線調布駅から「深大寺」行きバスで終点下車徒歩5分

オツなつまみと升酒でよい気分『そばごちそう門前』

深大寺の歴史にも詳しい浅田修平さんと知恵子さん。
深大寺の歴史にも詳しい浅田修平さんと知恵子さん。

左党ならずともぜひ味わいたいのは、東京の地酒、澤之井原酒の升酒700円。小さなつまみ付き、という粋な計らいだ。酒飲み心をそそるアテもとりどり。それもそのはず、名物の門前そば1050円の具から派生した椎茸のつけ焼き、岩手産南蛮味噌を和えたモツなどは、酒を嗜むお客のリクエストから生まれた。締めには、北海道の契約農家から取るソバで打つ一枚を。つゆをそば湯で割れば、カツオのみのダシがふくよかに広がる。

椎茸のつけ焼き320円。そば粉入りニラのうす焼き、モツの南蛮味噌各420円。とろろそば1050円。
椎茸のつけ焼き320円。そば粉入りニラのうす焼き、モツの南蛮味噌各420円。とろろそば1050円。
座敷席もあり。
座敷席もあり。

『そばごちそう門前』店舗詳細

住所:調布市深大寺元町5-13-5/営業時間:10:00~16:00/定休日:月/アクセス:京王線調布駅から「深大寺」行きバスで終点下車徒歩1分

(クレジット)
取材・文=沼由美子、佐藤さゆり(teamまめ) 構成=前田真紀 撮影=オカダタカオ