【古書】りんてん舎

日常からひとつ駒を進めるような本を

店主の藤田さんは、荻窪にあった「ささま書店」で修業したのち独立。

2019年3月オープン。詩や短歌、俳句を核として海外文学や人文思想などの分野に力を入れている。店主の藤田裕介さんは20代のころ自分の枠組みにないものが読みたいと古書店を巡るようになり、尾形亀之助の詩に出会った。「詩を読むことは日常生活とは別の生を歩むことで、よい詩を読むとひとつ駒を進めたような感じがします」とその魅力を語る。
棚の本の並びは、ゆるやかにジャンル分けがされているが、ときにその流れを断ち切るような一冊が潜んでいて油断ならない。日々の生活に思いがけない刺激と転換をもたらす本が、きっと見つかる。

ジャンルごとに丁寧に選ばれた本が並ぶ。
【店長のいちおし】アメリカの美術家ジョゼフ・コーネルの作品集、詩に親しむきっかけとなった尾形亀之助の詩集『色ガラスの街』、三鷹に縁が深い太宰治の『斜陽』(1948年発行)。
終日やわらかい光が入る絵本の棚の一角。
ジャズやブラジル音楽などのCDやレコードもある。

『りんてん舎』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市西久保2-3-16-101/営業時間:12:00~20:00/定休日:火/アクセス:JR中央線三鷹駅から徒歩8分

【古書】水中書店

雑念を払ってひたすら本を選ぶ空間

通販に頼らず店で売ることにこだわりたい、と今野さん。

開店時から力をそそぐ詩、短歌、俳句の品揃えは今や棚7本分。「他のジャンルにはないエネルギーがあります」と店主の今野真さんは話す。とはいえ詩歌専門というわけではなく、文芸、芸術から絵本や漫画まで、日々の生活に寄り添う本が程よく並ぶ。どの書棚も本の背がぴしっと揃い、抜き差ししやすいように余裕があり、選ぶことに集中できる。本を大切に扱う店主の思いが随所に光っている。

【店長のいちおし】トリン・T・ミンハの評論集『月が赤く満ちる時』、炭鉱で働いていた女性を取材したルポ『まっくら』、ロシア文学者による書評集『ロシア読書ノート』。
文庫や新書の存在を際立たせる赤い什器。思わぬ出合いを生む。
詩集や句集は装丁も美しい。

『水中書店』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市中町1-23-14-102/営業時間:11:00~21:00/定休日:火/アクセス:JR中央線三鷹駅から徒歩4分

【古書】おへそ書房

日々、読む本を求めて立ち寄る街の書店

絵本のラインナップが充実。じっくり選べる椅子もあり。

駅から続く商店街にあって、人通りが絶えない。店頭に並ぶ本を物色する人、店内に入ってじっくり選ぶ人、さまざまな年齢の人たちが生活の一部として思い思いに本を楽しんでいる。開店時は店主の小宮健太郎さんの蔵書から始まったが、お客さんからの買い取りだけでよい本が揃うようになり、「今はどんどん自分を消していきたい」という。店主でさえ与(あずか)り知らないところで本が回り、流れていく。

【店長のいちおし】このお店なら、とお客さんが持ち込んでくる。『ぺドロ・パラモ』は4、5回入荷している。
文芸、美術、絵本などのジャンル分けはあるが分類できない本が並ぶ棚もレジ横にある。
2019年7月オープン。商店街になじんでいる。

『おへそ書房』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市境2-3-20/営業時間:11:00~21:00/定休日:木/アクセス:JR中央線・西武多摩川線武蔵境駅から徒歩4分

【新刊・古書】よもぎBOOKS

非日常の体験ができるのんびり空間

2017年3月にオープン。

店内に一歩入ると、穏やかな空気が流れている。一方の壁面には 色とりどりの絵本の表紙が並び、 見本として気軽に手に取ることができる。店主の辰巳末由さんが絵本を選ぶ視点は「子供目線というより、デザイン性があって大人が見ても楽しめるもの」。親世代に向けて、文芸や人文、哲学の本も多く置いている。家族連れでも、 ひとりでも、それぞれの本を探し、 選ぶ時間を過ごす楽しみがある。

絵本の表紙は考え抜かれたデザインだ。
【店長のいちおし】絵本作家まつむらまいこさんの展示をしたときに作成した本。穏やかな生活のヒントが満載の『のほほんと暮らす』。
店主の辰巳さんにとって本は「生活にしみこんでいるもの」。

『よもぎBOOKS』店舗詳細

住所:東京都三鷹市下連雀4-15-33 三鷹プラーザ2F/営業時間:12:00~17:30/定休日:不定/アクセス: JR中央線三鷹駅から徒歩10分

【古書・雑貨】尾花屋

漫画から歴史まで 地域に愛される本屋さん

店先の縁台は地域の憩いの場。

パン屋さん、鮮魚店、精肉店といった生活の店が軒を連ねる、こぢんまりとした商店街の一角。近隣の人が買い物のついでに気軽に立ち寄る。「品揃えは専門的にしないようにしています。敷居を低く、ふらっと来て好きなことが見つかるように」と店主の尾花雄馬さん。
文庫・新書の棚は、敷居が高い岩波文庫も、元値が高い講談社文芸文庫も、すべて200円均一。探求心と知識欲が一度に満たされる。

【店長のいちおし】若いときに読んで衝撃を受けた埴谷雄高 『死霊』と、宮崎駿のインタビュー集。硬軟とり混ぜたセレクト。
レジ横にある200円均一の棚。日々の読書に最適。
幼稚園からの友人であるスタイリストさんが選んだ古着も扱う。

『尾花屋 』店舗詳細

住所:東京都小金井市東町4-20-3/営業時間:11:00~19:00/定休日:木(不定休あり)/アクセス:西武多摩川線新小金井駅から徒歩3分
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駅前チェーン店も見逃せない! 街と本をつなぐ、いちばん身近な存在

【新刊】啓文堂書店 三鷹店

本に親しむ土地柄に全力で応える地域一番店

新聞の書評に掲載された本、最新の社会情勢を読み解く本など“旬”が並ぶ「ミタカセレクション」。

2003年のオープン以来、文芸と人文の単行本が売れている。「情報や教養の源としての本を求めるお客様に支えられています」と店長の大塚昌宏さんは話す。
そうした地域の需要に応えるべく新刊案内には必ず目を通し、新聞の書評欄に掲載された本は常設の棚に2カ月は置くようにしている。なにより売り場の本の並びに乱れがなく探しやすい。街と書店が支え合う幸福な関係が成り立っている。

絵本・児童書コーナーも充実、人気が高い。
岩波書店の特設棚にはファンが付いている。
値が張る人文書が、もりもり積んである安心感。

『啓文堂書店 三鷹店』店舗詳細

住所:東京都三鷹市下連雀3-35-1 三鷹コラル3F/営業時間:10:00~21:00/定休日:無/アクセス:JR中央線三鷹駅から徒歩1分

【新刊】くまざわ書店 武蔵小金井北口店

ドン・キホーテの地下に広がるワンダーランド

新聞書評は書店員も熟読。お客さんからの問い合わせも多い。

広大な地下空間にあらゆるジャンルの本が並ぶ光景は壮観。雑誌、文庫、単行本、漫画など売り場のあちこちで小さなフェアが開催されていて、書店員さんの思考や熱意に触れるたびに自らの知識欲が刺激される。ひとつのテーマに沿って、新刊だけでなく既刊の本や、小規模出版の本も埋もれることなく置かれているので発見も多い。一冊の本からゆるやかにつながる読書の楽しさを実感できる。

店長の中原高見さん。「フェアのネタは常に考えています」。
1冊の新刊から、著者やテーマのつながりで売り場をつくる。
コミックは定番がきっちり揃う。通路が広く見やすい。

『くまざわ書店 武蔵小金井北口店』店舗詳細

住所:東京都小金井市本町5-11-2 MEGAドン・キホーテ武蔵小金井駅前店B1/営業時間:10:00~21:00/定休日:無/アクセス:JR中央線武蔵小金井駅から徒歩1分

取材・文=屋敷直子 撮影=丸毛 透、本野克佳
『散歩の達人』2021年1月号より