手しごと感じる酒肴とお酒でじんわり幸せ『酒と肴 万作』【中野坂上】
祖父の膝の上で晩酌の匂いを嗅いで育った増田万作子さん。「祖父が楽しそうに飲んでたから、日本酒の匂い=いい匂いと刷り込まれたかも!」。そのため、愛するのは日常に寄り添うしみじみとうまいお酒。「宝剣」 純米 超辛口はミョウガの甘酢漬けの甘酸の輪郭を濃くし、トウモロコシとモッツアレラ入りシュウマイと熟成燗酒は相思相愛。増田さんは各客が何を注文したかメモを残し、次の来客時の献立に活用。そんなのもう、通うしかないでしょ。
『酒と肴 万作』店舗詳細
日本酒を我が子のように溺愛『Mon 酒々』【新中野】
廣澤靖子さんは26年前から蔵巡りを開始。「現地で出合ったこの子(お酒)たちを連れて帰り、一番いい状態で出したい。その晴れ舞台がここなんです」。大阪の「片野桜」は夏でも熱燗で、「玉川 Ice Breaker」は燗で少し味を開いたあとグラスに少しずつ注ぎロックで締めて飲む。お酒の味を女性や女優で例えるのも楽しい。「『菊姫』は浅野温子、『七笑』は大原麗子。少し古い?」とチャーミングに笑う女将の人柄に惹かれ、今日もカウンターに左党が集う。
『Mon 酒々』店舗詳細
コでなく “ ] ” が生む一体感『鈴木の小部屋』【中野】
1階にある洋食堂『葡萄』の店内を通ってしか辿り着けない。階段を上った先には7人ぐらいで満員の “ ] ” の字カウンター。そんな秘密のアジト感が、日本酒のうまさを加速させる。「この狭さだからこそ、ひとつの話題をみんなで盛り上がれると思います」と女将・鈴木千子さん。日本酒は女将の好きな“うま甘系”のほか、常連の好みや出身地を意識して選ぶ。酒肴の主役はおでん。アゴと昆布で出汁を引く澄んだつゆは、それだけで立派なアテに!
『鈴木の小部屋』店舗詳細
取材・文=鈴木健太 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2026年8月号より





