宇都宮焼きそばは、市内に約50店の専門店があり、新たなご当地グルメとして人気を集めている。近年では「宇都宮焼きそば暖簾会」や「宇都宮やきそば会」が組織され、普及を図っている。
もっちりとした太麺、具はキャベツ、豚肉、ハム、そして目玉焼きのトッピング。店舗によってさまざまなアレンジがあるが、麺と具材は別々に炒め、ソースは宇都宮焼きそばのブームとともに発展してきた大塚ソースを使う店舗が多い。仕上がった焼きそばに、客が好みでソースをかける「後がけソース」も独特のスタイルだ。
多くの店でテイクアウトができるが、焼きそばをビニール袋に入れるというのもユニーク。テイクアウトしたものは、袋のまま食べるというのも宇都宮スタイルだ。
宇都宮焼きそばのルーツといわれる『石田屋やきそば店』は、市民の心の味といっても過言ではない。石田屋で修業した店主が開業し、現在は2代目が味を受け継ぐ『あをやぎ』ではイカを使った焼きそばが人気。
あをやぎ
創業50年以上。味の決め手はイカ!
初代が『石田屋やきそば店』で修業し、その調理法を基本としながらもこの店ならでは味を作っている。「『石田屋やきそば店』さんには、今でもいろいろ教えていただいているんですよ」と話すのは、2代目の青柳晴美さん。現在は、妹さんとその息子さんと共に切り盛りしている。一番人気は、いか、肉、玉子入り810円。麺や玉子は、かため、半熟など好みも聞いてくれる。
『あをやぎ』店舗詳細
石田屋やきそば店
宇都宮焼きそばといえばココ!
その昔は食堂だったが、1952年から焼きそば専門店に。宇都宮焼きそばの原点ともいえる店舗で、石田憲司さん・涼子さんご夫妻が今の味を作りあげた。野菜、ハム、玉子、豚肉が入った特製ミックス700円は、卓上のガリとともに味わいたい。「テイクアウト品は、袋ごと冷凍して、翌日温めてもおいしいわよ」と涼子さん。気さくで、笑顔の絶えないもてなしも、またこの味が恋しくなる所以(ゆえん)だ。
『石田屋やきそば店』店舗詳細
取材・文=千葉香苗(アド・グリーン) 撮影=岩堀和彦
『散歩の達人』2020年9月号より