宇都宮市は、2010年まで15年連続で、1世帯あたりの餃子年間購入額が日本一。以後、静岡県浜松市と抜きつ抜かれつしているが、19年も日本一となっている。1993年に発足した「宇都宮餃子会」には約80店が加盟しており、ご当地グルメの地位を不動のものに。市民にはそれぞれに“推し餃子店”があるという。毎年11月の第1土・日曜には「宇都宮餃子祭り」が開催され、2日間で約15万人以上が訪れる(2020年は未定)。これほど宇都宮市民の餃子愛は、とても熱い。

歴史を紐解くと、戦時中、市内に駐屯していた第14師団が中国に出兵して餃子を知り、帰国後に現地の味を再現し、広めたと伝わる。加えて、夏は暑く、冬は寒い内陸型気候のため、スタミナがつく餃子が好まれたことも、広まった一因といわれている。

『宇都宮みんみん 本店』は、駅ナカにも出店する超有名店。創業者が北京で覚えた味を継承した、野菜多めの正統派。『香蘭(こうらん)』も創業50年を超えるの人気店。揚げ餃子を岩塩で味わうのがこの店の流儀だ。『イキイキ・ギョーザ』は、ウナギやウニなど変わり種餃子を味わえる個性派。食べ比べれば、その違いもわかるようになり、いつしか宇都宮餃子の虜(とりこ)になっているはず。

宇都宮みんみん 本店

味と風格。宇都宮を代表する名店!

焼、水、揚餃子各6個297円。いずれも餡は同じで、野菜多めなのでさっぱりしている。卓上にある酢、醤油、ラー油をお好みで。

1958年創業。創業者がかつて中国・北京に住んでいた時に食べた餃子の味を基本にしており、白菜をふんだんに使った野菜7.5割、肉2.5割の餡がこの店の味。「焼きも揚げも100%ゴマ油を使っています」と、厨房担当の河辺さん。そうすることで、コクのある仕上がりになるのだとか。焼餃子2人前、水餃子1人前、ごはん付きは、「ダブルスイライスセットで!」と注文するのがこの店流。

テイクアウトの冷凍餃子248円は、家庭で焼く場合、餃子の1/3から半分の高さの水で蒸し焼きに。
店名の横にはニンニクをイメージしたロゴが。
住所:栃木県宇都宮市馬場通り4-2-3/営業時間:11:30~20:00LO/定休日:不定/アクセス:東武宇都宮線東武宇都宮駅から徒歩11分

イキイキ・ギョーザ

おいしさとおもしろさを追究

写真の餃子の具はうなぎ。餅は肉、ウニは野菜など、メインの具と合わせる餡もそれぞれ。食べてみるまで、どんな味わいか想像がつかないのも楽しい。

壁一面に貼られたメニューの数々。「泳いでいる餃子」「狼怒る餃子」などまるで暗号のようだ。店主の若月満也さんは「餃子は、食材の組み合わせは無限。おいしいだけではなく、楽しみながら味わってほしいとの思いからこんなメニュー名を考えました」と話す。スタミナ餃子1595円の具は、餅、ウニ、ウナギ、キムチ、オクラ、牛、豚、モツ、納豆、ニンニクの10種類。意外な具同士の組み合わせにも発見あり。

「これまで約200種類の餃子は作ったかな」と若月さん。お客様のリクエストでもメニューが増えていったそう。
県外からのお客様が9割という。
住所:栃木県宇都宮市宿郷1-12-12/営業時間:17:00~翌1:00/定休日:日/アクセス:JR宇都宮線・日光線宇都宮駅から徒歩5分

餃子の店 香蘭 本店

ファンの声で復活した名店の味

外はパリッと、中身はジューシーな揚餃子。水餃子297円も中華ダシのスープなので、味付けしなくも十分においしい。焼餃子は1人前297円。

開店10分前には客が並び、人気の高さをうかがわせる。「1959年に創業し、一度は閉店しました。でも、再開を望む声に応えて2011年に現オーナーにより復活したんです」と話す店長の高田豊子さん。厚めのもちもちとした皮、キャベツをメインにタマネギが入った優しい味が特徴だ。おすすめは揚餃子297円。エチオピア産のピンクソルトで味わえば、まろやかな塩味が餃子の旨味を引き立てる。

赤い提灯と看板が目印。高田店長の笑顔もファンを引きつける。
カウンターとテーブル席合わせて全14席。ゆったり食事ができる。
住所:栃木県宇都宮市本町1-24/営業時間:11:30~20:00LO/定休日:火/アクセス:東武宇都宮線東武宇都宮駅から徒歩5分

取材・文=千葉香苗(アド・グリーン) 撮影=岩堀和彦
『散歩の達人』2020年9月号より