手打ちそば 七つ海堂
組み合わせの妙味、冷やし花巻
脱サラで店を構えて約20年。夫の森達哉さんがそばを打ち、パートナーの督子さんが自家製漬物や梅酒などを担当する。そばは北海道産が中心で、自家製粉の手打ち。これからは冷やしそばも人気だ。中でも、摘んだ海苔をそのまま乾燥させた「ばら海苔」をドバっとのせた冷やし花巻は、かなりの絶品。磯の香りとそばの淡い風味がとけあう。最後、海苔が汁に溶けこんで、混然一体となる。これがまた最高! みょうがそばも旨いぞ。
『手打ちそば 七つ海堂』店舗詳細
茶そば いな垣
日本庭園を眺めながらの茶そば
もとは銀座にあった老舗の流れを汲む茶そば専門店。住宅地の中、堂々とした門構えと大ぶりの松の木が目印だ。数寄屋造りの店内、コイの泳ぐ日本庭園と、素晴らしく居心地がよい。でも高級店じゃないところがまたよいのだ。宇治産の抹茶を打ち込んだそばは緑が美しく、ひと口手繰るとお茶が香る。このそばを自家製餡でくるんだそばおはぎも名物。茶そばのほんのりとした香りと苦み、これに甘みを抑えた餡が素晴らしい相性なのである。
『茶そば いな垣』店舗詳細
/アクセス:京王井の頭線明大前駅から徒歩13分
玄蕎麦 路庵
手間がかかっているのにお手頃
開店から約10年、すっかりなじみ客がついた人気店。そばは国産玄そば碾きぐるみの二八。毎日石臼で自家製粉し、挽きたてだから風味がしっかりとしている。店主の森住豊さんは元和食の料理人。素材にこだわり、天ぷらや焼き物をはじめ、自家製特濃豆腐などといった一品料理もハイレベルだ。器は作家ものを使用している。しかし、せいろが700円、ボリュームあるランチセットも1000円前後とリーズナブル。人が集まるのも頷ける。
『玄蕎麦 路庵』店舗詳細
構成=前田真紀 取材・文=工藤博康 撮影=小野広幸