40年以上注ぎ足しの八丁味噌スープ『藤や』
「40年以上続いた理由?人柄かな」「私のね」なんて掛け合いが楽しい須藤一弘さん・三枝子さん夫婦が切り盛り。串に刺し鍋でグツグツやる名物の煮込みは、初代が考案。「お義父ちゃんは酒飲みでね。自分で煮込みを研究してたどり着いたのがこの味なの」。八丁味噌を2種使い、あとはショウガとニンニクを少々だけ。それを40年以上、ずっと注ぎ足し使うことで、モツの旨みがしみ出し、コクのある妙味が生まれるのだ。「毎日炊かないといけないから大変だけど、この味は変えられないわ」。
『藤や』店舗詳細
偶然が生んだ煮込みの日印同盟『カラオケ居酒屋 モアナ』
「ハワイで別荘の管理の仕事をしてたとき、毎日BBQをやって炭火焼きのイロハを学んだのよ」とはファンキーな店主・椿浩行さん。炭で焼くモツ焼きと並ぶ名物が、カレーモツ煮込み600円だ。「もともと店でカレーを出してたんだけど、ある日うっかりカレーをモツ煮に混ぜちゃって。でも、それをお客に出したらウケてさ」。味噌で煮込んだ新鮮な和牛の大腸やフワなどと相まってカレーはまろやかになり、酒のつまみに抜群。ネギの代わりにフライドオニオンを散らしているのがまたニクい。
『カラオケ居酒屋 モアナ』店舗詳細
煮込み鍋の長湯で串が旨みを猛烈吸収『ささや 北千住』
カウンターの煮込み鍋が醸す大衆的な雰囲気と、整然と並ぶ調理道具や流れるジャズなどが生み出す凛(りん)とした空気のブレンドが心地よい。代表の草野英雄さんは銀座・新宿の名酒場『ささもと』で修業しており、名物は直伝の煮込みと串焼き。信州味噌のスープで煮込むフワやシロは味噌だけとは思えぬほど妙味。「うちは串焼きもこの鍋で煮込んでから焼く部位もあるし、キャベツ煮込みもここで煮込む。野菜や脂のうまみが染み出してるんです」。
『ささや 北千住』店舗詳細
甲殻天国で指までちゅぱちゅぱ『えびかに家』
「むほー」「どうやって食べるの!?」。出されたソフトシェルクラブの唐揚げや赤エビの刺身各980円~に、客はみんな大興奮。「界隈には焼き鳥やもつ煮の名店が既にある。だから、自分の好きなエビカニで勝負したくて」と大松澤康郎(おおまつざわやすお)さん。ほぼ全員が頼むブラックペッパーシュリンプ580円はたっぷりの黒胡椒と蜂蜜でコクを出したソースが辛うまでビールを誘引。女子の多くが頼むえびマヨ780円はマンゴーソースを入れた甘いマヨソースが揚げたエビの衣に絡み、忘我の旨さなり。
『えびかに家』店舗詳細
クラフトビールの女神『さかづきBrewing』
大手ビール会社の商品開発からビール醸造家に転身し、これまでに300種以上のビールを造ってきた金山さん。よりおいしいものをと、東口から西口の広いスペースに2015年移転。常時9種のビールを造り、3人のシェフが腕を振るう。看板の風月ペールエールのほか、1階立ち飲みカウンターでは、ビールのテイクアウトもできる。
『さかづきBrewing』店舗詳細
取材・文==鈴木健太、高野ひろし 撮影=丸毛 透、オカダタカオ