『三省堂書店 カルチャーステーション千葉店』千葉のサブカルを支える安心と信頼の店

ひと目で分かる鉄道書コーナー。古書もあり。
ひと目で分かる鉄道書コーナー。古書もあり。

コミックと、鉄道・ミリタリー・特撮・アイドル・官能といったサブカルジャンルに特化している。コミック売場は全体の3分の1を占め、新刊と既刊の他に古書も扱い、品揃えの充実は地域一番といえる。ここに来れば、探しているものがあるだろうという期待に応えてくれる安心感がうれしい。濃密な空間に時を忘れる。

店長の大槻浅黄さん。高校時代から行きつけの店舗だった。「漫画文庫も力を入れています。往年の名作をぜひ」。
店長の大槻浅黄さん。高校時代から行きつけの店舗だった。「漫画文庫も力を入れています。往年の名作をぜひ」。
フランス書院の文庫シリーズも人気。
フランス書院の文庫シリーズも人気。

千葉にまつわる一冊

『廃線寸前! 銚子電鉄 “超極貧”赤字鉄道の底力』(寺井広樹 著 交通新聞社)

ファンが多い銚子電鉄のチャレンジの数々を紹介している。「常に前を向いて諦めない姿勢がほんとうにすごい。読み応えがあります。私たちが想像する鉄道会社とはぜんぜん違うんです」。

店長おすすめ!

『つるばらつるばら』(大島弓子 著 白泉社)

短編5作品を収録。「予想外の展開で話が進み、最終的には生きることを肯定してくれるような読後感があります」。

『三省堂書店 カルチャーステーション千葉店』店舗詳細

住所:千葉県千葉市中央区富士見2-3-1 塚本大千葉ビル4F/営業時間:9:30~20:00/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・モノレール千葉駅から徒歩3分

『くまざわ書店 ペリエ千葉エキナカ店』駅改札からいちばん近く、発売日にかけこみたい

コミック新刊の平台。発売を心待ちにしている新刊が並ぶ様は心が躍る。
コミック新刊の平台。発売を心待ちにしている新刊が並ぶ様は心が躍る。

入ってすぐの平台にはコミックと文庫の新刊がずらり。店長の海保紀喜さんは「今日発売のものが一瞬で分かることが大事」と、日々陳列に心を配り、急いでいても発売したばかりの新鮮なラインアップが目に飛び込んでくる。一方で、文庫新刊の向かいには既刊の隠れた名作が並ぶ“仕掛けスペース”もあり、つい長居してしまう。

海保さんは店長になって2024年で5年。「電車の待ち時間に、ふらりとお立ち寄りください」。
海保さんは店長になって2024年で5年。「電車の待ち時間に、ふらりとお立ち寄りください」。
「仕掛けスペース」には店長一推しの本も並ぶ。
「仕掛けスペース」には店長一推しの本も並ぶ。

千葉にまつわる一冊

『一番遠くて、近いあいつ。~君に恋をするなんて、ありえないはずだった~』(筏田かつら〈原案〉・猫井ヤスユキ〈漫画〉 一迅社)

千葉の外房地区が舞台。高校3年生の冴えないメガネ男子と、かわいくて人気者の女子のすれ違い青春ラブストーリー。「表紙は千葉駅の外房線のホームだと、お客さまに教えてもらいました」。

店長おすすめ!

『やわらかい頭の作り方─身の回りの見えない構造を解明する』(細谷 功 著・ヨシタケシンスケ 絵 筑摩書房)

思い込みを打破し多角的な考え方を提案する思考力の本。「まじめな内容ですが分かりやすい。7カ月で110冊以上売れました」。

『くまざわ書店 ペリエ千葉エキナカ店』店舗詳細

住所:千葉県千葉市中央区新千葉1-1-1 ペリエ千葉エキナカ4F/営業時間:8:00~21:00(日・祝は9:00~)/定休日:無/アクセス:JR千葉駅構内

『三省堂書店 そごう千葉店』百貨店開業時から地元で親しまれてきた

シニアセレクションの棚。問い合わせが多かったものを集めた唯一無二のラインアップ。
シニアセレクションの棚。問い合わせが多かったものを集めた唯一無二のラインアップ。

百貨店の9階にあり、昔から通っている年輩のお客さんが多い。そうした方たちに向けた本を集めた「シニアセレクション」の棚がユニークだ。パズルや折り紙、歴史や古典などの学び直し、健康、エッセイなどが棚8本にぎっしり並ぶ。会計前の本を持ち込めるカフェも併設。落ち着いた空間で本と親しむことができる。

レンガ風の店構え。
レンガ風の店構え。
係長の今川幸大さん。「2023年に30周年を迎えました。地域に寄り添った店です」。
係長の今川幸大さん。「2023年に30周年を迎えました。地域に寄り添った店です」。

千葉にまつわる一冊

『聴く監督』(吉井理人 著 KADOKAWA)

千葉ロッテマリーンズの監督による傾聴法の極意。「これまでの自身の経験をふまえて、選手たちとどう向き合い、良さを引き出しているのかが詳しく書かれています。私は西武ファンですが」。

店長おすすめ!

『マンガで覚える! しろねこトーフ英会話』(菅野 彩 著 高橋華生子〈長文監修〉 新星出版社)

日々の生活や旅行で使える英会話を、漫画と解説で構成。「物語になっているので、実践的で自然に覚えられます」。

『三省堂書店 そごう千葉店』店舗詳細

住所:千葉県千葉市中央区新町1000 そごう千葉店9F/営業時間:10:00~20:00/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・モノレール千葉駅から徒歩1分

『くまざわ書店 ペリエ千葉本店』内房・外房からも来店。老若男女の知識欲に応える

各紙ごとに書評を掲示。掲載日の朝イチで訪れる方もいるという。
各紙ごとに書評を掲示。掲載日の朝イチで訪れる方もいるという。

駅ビル内にあり訪れるお客さんの層は厚い。周辺には大学や専門学校が多く、医学書や看護など専門書の品揃えも充実している。店内中央には、新聞書評に掲載された本、話題書やベストセラーが集まった棚があり、一周することで「今」が分かるだろう。定期的にサイン会やイベントを開催し、地域との交流にも力を入れている。

詩歌は若い女性層にとても人気。
詩歌は若い女性層にとても人気。
店長の山口優太さん。地元は稲毛海岸。「カフェも併設。ゆっくり本を選んでください」。
店長の山口優太さん。地元は稲毛海岸。「カフェも併設。ゆっくり本を選んでください」。

千葉にまつわる一冊

『君が手にするはずだった黄金について』(小川 哲 著 新潮社)

著者は千葉市出身で、サイン会も実施。「連作短編集で、主人公は小川さんを彷彿とさせるんです。なかでも表題作の1話は、主人公の高校時代の友人の必死な姿にとても感銘を受けました。好きな本です」。

店長おすすめ!

『あかるい花束』(岡本真帆 著 ナナロク社)

著者の第2歌集。「日常生活をみずみずしい言葉で紡いでいて、きれいだけじゃなく、暗い部分もある。装丁もいいです」。

『くまざわ書店 ペリエ千葉本店』店舗詳細

住所:千葉市中央区新千葉1-1-1 ペリエ千葉6F/営業時間:9:00~21:00(日・祝は~20:30)/定休日:年3回休館日あり/アクセス:JR千葉駅直結

取材・文・撮影=屋敷直子
『散歩の達人』2024年8月号より

夕暮れ時、不忍通りの一角に飴色の灯りが点った。窓から見えるのはぎっしり詰まった本棚、看板には「古本と珈琲」の文字。『books&café BOUSINGOT(ブーザンゴ)』で一杯と一冊を味わうべく、足を踏み入れた。
全国に店舗展開する一大書店グループ、くまざわ書店。その歴史は明治時代中期、八王子の地ではじまった。100年超にわたって引き継がれてきた書店業について、代表取締役社長の熊沢真さんに、お話をうかがった。 ※MAPのデータは2023年10月時点のものです
西荻窪の駅前に店を構える『今野書店』の今野英治さん。青梅街道沿いに店を構える『本屋Title』の辻山良雄さん。ふたりの新刊書店店主に互いの店をじっくり見てもらい、お話を聞いた。