魚貝中華そば 西尾久さんご [ 荒川遊園地前 ]
元シェフが導く海と森の香りの邂逅(かいこう)
元イタリアンシェフの羽田太志さんが還暦を機に開店。看板の煮干ラーメンは、水出し・炊き出しのほか多様な方法で出汁を取り、煮干しや本枯れ節などの旨味と香りのみを抽出。
そこに合わさる芳醇なトリュフソースとのペアリングには、海と森の情景が同時に浮かぶよう。ほかにもドライトマトを使ったつけ麺など経験を活かした各麺に、早くも固定ファンが。開店早々大忙しでも、奥さんと娘さんに助けられ、オールドルーキー奮闘中!
『魚貝中華そば 西尾久さんご 』店舗詳細
中華そば 虎桜 [ 町屋二丁目 ]
各麺旨く“白黒”はっきりつけがたし
2015年、町屋になかった醤油ラーメン専門店をオープン。やや甘みのある白醤油を使った「白だし」は、ハマグリやアサリなどの貝類を軸とした粘度のあるスープに仕上げ、漁師鍋のごとく味わい深い。かたや「黒だし」はコクのある再仕込み醤油のタレを、シイタケや豚など力強い出汁が支える。醤油にこだわり、塩は使わず基本無化調! お客の要望で品書きが増え、現在はつけそばも担々麺も白・黒をチョイス可能に。
『中華そば 虎桜』店舗詳細
麺処 富士松 [ 荒川遊園地前 ]
旨味の層を丁寧に重ねた流麗スープ
「腰を据えてラーメンと向き合うため、忙(せわ)しくない雰囲気のこの場所で開店しました」と店主・藤松謙太郎さん。メニューによって5種も使い分ける麺に、その気概がちらり。看板の特製塩らーめんは、ストレートの細麺が美しい黄金スープの中を泳ぐ。澄んだスープをすすると、鶏ガラや煮干し、かつお節などから取った出汁に干した貝柱やエビを使った塩ダレの旨味が重なり、和のお出汁のように飲み干せる味わいだ。
『麺処 富士松 』店舗詳細
ラーメン いいかお [ 庚申塚 ]
優しい味わいに2坪が笑顔で満ちる
両輪のひとつ、煮干しが薫る白醬油ラーメンは、愛知県・七福醸造の白醤油を使用。麹感のある甘い香りの白醤油と、3種の煮干しから取ったまろやかなスープが見事に調和。一方、天然醸造醤油ラーメンは愛媛県の巽(たつみ)醤油などのコクと、鶏ガラ出汁が相思相愛。ともに平打ちの細麺がスープをよく拾い、シンプルだけど、心へじんわり響く味わい。まるでおかんの作るお吸いもののような安心感に包まれるのだ。
『ラーメン いいかお』店舗詳細
麺創庵 砂田 [ 庚申塚 ]
モチモチ麺で中華そばのさらなる高みへ
「巣鴨という土地柄、誰にも親しみやすい中華そばで勝負したかった」と店主・砂田裕史さん。福島の白河ラーメンをベースに、自分なりの味を探求。名古屋コーチンやはかた地どりなどを昆布水で約12時間煮込んだスープに、窯で炭焼きした香ばしいチャーシューのタレを加え、奥行きのある一杯に。スープをしっかり纏(まと)う手打ちの縮れ麺をすすれば、愉悦のモチモチ感に顔がほころぶ。開店2年でこの行列も納得。
『麺創庵 砂田』店舗詳細
取材・文=鈴木健太 撮影=木村心保
『散歩の達人』2022年5月号より