市民と都市がシンクロする交流拠点『コミュニティアートスペース 優美堂』[新御茶ノ水・小川町]
戦後、写真や絵をみやげとする米軍の需要に応え額縁専門店として開業し、長年アート界を支えてきた「優美堂」。数年前に廃業したが、その景観や文化を残そうと、東京ビエンナーレの一環で再生プロジェクトが始動。シンボルの富士山の看板建築もアーティストのO JUNにより描き替えられ、2021年の夏にカフェ併設のコミュニティアート施設が誕生した。まさに街と一体のアートを感じられるスポットだ。
『コミュニティアートスペース 優美堂』店舗詳細
若き芸術家を支援し、未来につなげる『UCHIGO and SHIZIMI Gallery』[神保町]
UCHIGO(うちご)とSHIZIMI(しじみ)は代表者・横山第悟さん愛猫の名前。ベテランのみならず、若いアーティストに発信の場を提供すべく、2020年6月にオープンした。展示は作家に打診して創作してもらうスタイルが基本で、現代アートをはじめ、報道写真や日本画など幅広いジャンルを扱う。中には手頃な作品もあり、ふらっと立ち寄ったビジネスパーソンが買っていくというエピソードがこの街らしい。
『UCHIGO and SHIZIMI Gallery』店舗詳細
古書を新たな視点から味わう新空間『萬響』[神保町]
通りに面したガラス越しに、スタイリッシュに並べられた書物に好奇心がくすぐられる。『萬響』は、『小川図書』、『浅倉屋書店』、『キクオ書店』、『衆星堂』、『梁山泊』の東西5つの古書店による和書・洋書のギャラリー兼ショップ。中には月替わりで、博物館ならガラスケースに入るほどの稀少なものも。古書の歴史的価値に触れながら、アートとしても味わえる画期的なギャラリーだ。
『萬響』店舗詳細
震災・戦災・再開発をも生き抜いた『Gallery 蔵』[新御茶ノ水]
『御茶ノ水ソラシティ』と『ワテラス』を結ぶ通路脇にある貸しギャラリー。大正6年(1917)、淡路町に書籍商の書庫蔵として建てられ、基礎がレンガ造りだったため、震災と戦災を免れた。1983年からは「淡路町画廊」となり、2010年に解体が決まるも、保存を望む声が多く、可能な限り当時の建材を使い、この地に復元された。一般公開も実施(ギャラリー利用のない水の11~19時と土・日・祝の10時30分~18時30分)。
『Gallery 蔵』店舗詳細
折り紙の深遠な魅力と歴史に触れる『お茶の水 おりがみ会館』[御茶ノ水]
幕末から続く紙染店が運営し、ギャラリー、ショップはもちろん、染め工房も見学自由。さらに、おり紙や和紙に関する教室も行う(要予約)。ちなみに明治時代、初代文部大臣の森有礼(ありのり)によって日本の幼児教育におり紙が取り入れられ、教育機関から依頼を受けた初代・小林幸助はおり紙の大量生産を開始。そのことから、会館のある湯島1丁目は「教育おり紙発祥の地」と呼ばれている。
~おり紙様・神の手さばきをご覧あれ~
『お茶の水 おりがみ会館』店舗詳細
取材・文=木村悦子、信藤舞子 撮影=山出高士、井原淳一