初期衝動を大切に串を打つ職人肌。『やきとん 赤尾』[板橋]
赤尾一樹さんはもつやきの名店、野方の『秋元屋』で修業後、店を開いた。「秋元屋のちれ(脾臓)を食べ、強烈な衝撃を受けたんです」。赤尾さんもまた、酔客にあの衝撃を伝えたいと日々奮闘。朝つぶしたてのちれ132円は弾力がありつつもっちり、辛味噌と抜群に合う。強炭酸の焼酎ハイボールで口を洗い、今度はそり(鶏ももの付け根)220円をかじればあふれる肉汁に恍惚。「毎日、串打ちが楽しくて。ずっとやきとん屋の大将でいたいです」。
『やきとん 赤尾』店舗詳細
ぶち上がる煙と炎は脂たっぷりホルモンの証し。『山源』[板橋]
38年ほど前、現店主・山口潤一さんのお父さんがホルモン焼き屋を開店。「炭火で焼くのも甘さ控えめのタレも、先代の時から変えてません」と山口さん。名物の塩ホルモン(シマチョウとコプチャン各2切れ)は網上でへなっとせず立つことから、脂の付き具合が想像できる。味はタレ・塩から選ぶことができ、注文は1人計2人前まで。熱々を頬張れば脂のジュースがあふれ、ビールが加速! 満席率の高い人気店だが、チエ子婆ちゃんが愛想よく話しかけてくれるなど家族経営の温かさは健在。
『山源』店舗詳細
牛乳割りを知ってるか?老舗のこだわりは瓶牛乳。『北海 三四郎』[板橋]
創業50年以上を誇る老舗酒場だ。家族経営による温かい雰囲気が居心地抜群。旬の新鮮魚介を中心に、盛りのよい手作り料理が幅広く揃う。店名に付く「三四郎」は、大将が明治時代の柔道家「姿三四郎」こと西郷四郎氏の子孫であることから。この店の牛乳割りについて伺うと、「はっきりとは覚えてないけど、20~30年前から出してると思うよ」とのことで、板橋の牛乳割りの中でもかなり長い歴史を誇ることは間違いない。
『北海 三四郎』店舗詳細
町中華のお手本のような店。「農協サワー」も。『平家』[板橋]
初代と2代目の家族3人を中心に営む、うまくて安くてボリューム満点、町中華のお手本のような店。常連客でいつも大にぎわいだ。食事、つまみ、酒、すべてメニュー豊富で、初代が沖縄出身のため、沖縄料理がちらほらと混ざるのもおもしろい。農協サワー450円には、濃厚でボリューミーな名物の焼豚700円が合う。
『平家』店舗詳細
気鋭の新店にもあるのは、板橋ならでは。『おいで家』[板橋]
寿司屋で和食の腕を磨いた若き店主による大衆酒場。抜群の目利きで仕入れる日替わりの魚介類は新鮮そのもので刺し身は特におすすめだ。他にも串焼きが100円~、一品料理が200円~とリーズナブル。さらに例えば「もろキュウ」を頼むと、目を奪われる飾り切りが入っていたりと、レベルの高さに何度も驚かされる。地酒もこだわりのものを取り扱っており、牛乳割り以外も楽しめる。平日はランチも営業しており650円~の提供。
『おいで家』店舗詳細
ノリよし、盛りよし、 鮮度よし!『仲宿酒蔵』[板橋区役所前]
2代目の石井祥一さんが毎日豊洲から仕入れる魚介の酒肴は、どれも安く驚きの量。例えば、白えびのかき揚げ700円の大きさはフリスビーのごとく。「安く多く提供することでその日の食材を使いきる。だから毎日新鮮なものをお出しできるんです」と2代目。さらに、刺し身は養殖・冷凍物を使わないのだからうまいのは当然で、つい日本酒がほしくなる。明るい女将・洋子さんに一杯頼むと、なんと“こぼし分”は升プラス別の小鉢に。サービス精神に乾杯!
『仲宿酒蔵』店舗詳細
朗らか女子手製の おばんざいで温ぬくまる。『うっちゃり』[大山]
カウンターには旬の恵みを使った大皿料理がずらり。「このおばんざいや、日替わり7品から選べるあての3点盛りを頼む方が多いですね」と店主の関谷良恵さん。早速、菜花や栗きんとんを使ったあて3点を選ぶと、なぜか4点盛りで登場。「1品はサービスです。1人客が多いので各料理なるべくハーフサイズも対応してます」と女性らしい気配りを見せつつ、注文が入った際は威勢のいい掛け声。絶妙な“甘辛ミックス”が居心地よさの秘密か。
『うっちゃり』店舗詳細
洋食メニューもワインも充実のやきとん屋。『やきとんひなた 上板橋店』[上板橋]
やきとん以外の料理の充実ぶりもおいしさもすさまじい板橋発のチェーン店。「イタリアンや割烹の系列店で働いていたスタッフが新メニューを始めることも多い」という自由な空気が楽しく、若い女性客が多いのも頷ける。お酒も時期により銘柄が変わり、キンミヤ焼酎を凍らせて梅酒で割るシャリ金が隠れ名物。こんな店、近所にほしい!
『やきとんひなた 上板橋店』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=鈴木健太、パリッコ 撮影=加藤昌人、本野克佳、パリッコ