中華なのに刺し身絶品とはこれいかに『ひちょう』
昼は1969年創業の老舗中華食堂だが、夜は大衆酒場モードに。新鮮な豚レバーを上品に味付けしたニラレバ炒めや、甜麵醬(てんめんじゃん)のコクと甘みが効いた麻婆豆腐各1210円など中華で一杯もいいが、おすすめは刺身盛合せ。生本マグロは口でとけ、日本酒や焼酎を誘う。「豊洲の知人から仕入れてるの。冷凍ものは使わないよ」と築地出身の大将・金田芳勝さん。締めは溶き卵が覆う看板メニューの酸辣(スーラー)タンメン1155円で決まり!
『ひちょう』店舗詳細
骨董通り沿いに庶民憩いの場発見『青山 ぼこい』
ネタケースを旬の野菜や魚が彩り、品書きには玉子焼や春菊胡麻和え各630円など、のんべえを和ませる酒肴が並ぶ。腕を振るうのは安本秋男さん・夏彦さん兄弟だ。「欲をかかず細々やってきました。家族4代にわたり来てくれる地元の常連もいます」。エビのすり身を入れる手作りの五目がんも煮850円やなめらかな舌触りのポテトサラダ630円など真摯な仕事の入った肴を味わえば、半世紀近く愛されるのも納得。
『青山 ぼこい』店舗詳細
路地の提灯の先にリトル北九州『もつなべ 旦過』
店主の西村和行さんは北九州市の旦過市場前で、30年以上やきとりを焼いていたベテラン。「向こうでやきとりといえば豚バラととり皮」と言う通り、ジューシーな豚バラ176円や甘辛タレをまとうとり皮55円は何本でも食べられる旨さ。田川(北九州に隣接)名物のホルモン鍋1540円は特注の分厚い鍋で煮込むほか、日本酒は福岡中心と北九モンの矜持が随所に。福岡の甘い醤油で仕込むもつ鍋1540円は1人前から注文OK!
『もつなべ 旦過』店舗詳細
おしどり夫婦の笑顔が一番の酒肴『ぎっちょん』
壁にはバイトスタッフから贈られた40周年を祝うタペストリー。「ここで出会って結婚した人など、いろんな方を見てきました」と服部さん夫婦。最初はピザ中心だったが、マスター自身の食べたいものが品書きに増殖。肩肉を包丁で丁寧に叩いてミンチにするラム餃子700円や納豆きつね550円など無国籍状態に。マスターの創作力が炸裂した奈良漬のピザ1000円は、ワインか日本酒どちらに合わせるか悩む!
『ぎっちょん』店舗詳細
牛モツと燗酒の幸せな邂逅に千客万来『モツ酒場 こがね』
界隈に珍しい“モツ酒場”の提灯に誘われ、カウンターに。目の前には「長珍」や「丹澤山」など燗映えするお酒がずらり。「生酒でも燗映えするお酒がありますよ」という代表・渡部武志さんの言葉に誘われ、「奥播磨」の生酒1合1100円を。本錫のちろりで丁寧にお燗された酒は、まろやかで米の旨味がほのかに広がる。脂ののった牛の小腸とギアラを和えたぷるぷる酢モツ825円(手前)など牛モツ料理を優しく受け止め、旨味を膨らませてくれるのだ。
『モツ酒場 こがね』店舗詳細
取材・文=鈴木健太 撮影=丸毛 透
『散歩の達人』2020年1月号より