「キャラクター型ポスト」とその派生

まずは「白」から。上野動物園前に設置されているポストは、たれ目のパンダの顔が描かれた白黒のカラーリングとなっており、通りがかる人の目を引く。しかもこのポストに投函すると、パンダや西郷隆盛がデザインされた特別な消印が押してもらえるとのことで、子供を中心に人気が高い。

上野動物園前のパンダポスト(2021年)

このパンダポストのように、キャラクターをポストにあしらうことにより、結果的に赤以外の色になってしまうポストは多い。たとえば池袋駅前郵便局に設置されているポストは、豊島区のフクロウのキャラクター「としまななまる」が全体にデザインされており、結果的にななまるのボディカラーである黄色のポストとなっている。

池袋駅前郵便局のとしまななまるポスト(2020年)
黄色いポストにはこんなものも。奈良・橿原神宮前駅の幸せの黄色いポスト(2019年)

品川駅構内に設置されている郵便車両を模したポストも、オレンジと深緑のいわゆる「湘南色」に塗られている。これも「ポストをオレンジにしてやろう」という意図からではなく、モデルとなった電車のカラーがオレンジだったのであり、「キャラクター型ポスト」の派生形とも言えるだろう。

品川駅構内にある郵便車両型オレンジポスト(2007年)

イメージカラーに染められたポストたち

一方、キャラクターそのものの色というより、イメージカラーが採用される場合もある。池袋・サンシャイン60通りに設置されているポストは、上にも挙げた「としまななまる」と日本郵便オフィスサポートのキャラクター「ぽすワンちゃん」があしらわれているのだが、色は鮮やかなピンク色である。これは「国際アート・カルチャー都市」を謳う豊島区が、イメージカラーとしてピンクを採用したのだと思われる。ちなみに豊島区には駒込駅前にもピンクポストがあり、こちらは「ソメイヨシノ発祥の地」にちなんでこの色になったということだ。

池袋・サンシャイン60通りのピンクポスト(2020年)
駒込駅前の桜色ポスト(2020年)

今月、かっぱ橋本通りに新たに設置されたポストも、浅草周辺を舞台にしたアニメ「さらざんまい」のキャラクターをデザインしたもので、鮮やかな緑色をしている。カッパ(型生命体)が主要キャラクターということで、ポスト全体が緑になったのであろう。

かっぱ橋に今月設置されたカッパグリーンのポスト(2021年)

サッカーJ1・川崎フロンターレのお膝元である川崎市には、チームカラーである水色と黒のポストが市内7か所に設置されている。こちらもイメージカラーに基づく配色と言える。

武蔵小杉駅前のフロンターレポスト。市内7か所に設置されているポストはそれぞれ柄が違う(2021年)

年々数が減ってゆく「青いポスト」とは

フロンターレの水色ポストを見たところで、ここで少し「青いポスト」について触れておきたい。一昔前には、赤いポストと並んで青いポストが設置されていた記憶のある人も多いだろう。青いポスト、すなわち速達専用ポストは、1959(昭和34)年から設置され始め、一時期は都市部を中心に多数設置されていた。しかし大型郵便や速達郵便用の投函口が設けられた赤い2口ポストが普及するにつれ姿を消していき、今では全国に数十基が残るのみであるという。

最近ではめっきり少なくなった速達用青ポスト。都内では日本橋付近に数基設置されている(2021年)

カラーポストの中には、茶色やグレー、黒といった落ち着いた色に塗られているものがある。これら地味カラーポストの共通点、それは「街の景観を損なわない色」ということだ。奈良の街に設置されたポストは古寺に調和する焦茶色だったし、銀座・中央通りのポストはグレーである。横浜・元町にも黒いポストが設置されているが、これはポストの説明書きによれば「ポストの色も街の色に合わせて濃紺とした」とのことであった。

薬師寺の塀にも調和する、奈良の茶色ポスト(2019年)
銀座のポストはグレー。とはいえ赤いポストと混在している(2021年)
横浜・元町のポストは黒だと思っていたら濃紺だった(2021年)

街歩きの楽しみの一つに、このような「赤以外のカラーポスト」の発見を加えてみてもいいかも知れない。

番外編。川越の割烹料理店に設置された、イモ色の紫ポスト。残念ながら稼働していない(2021年)
番外編。草津温泉のガラス店の店頭に並んだ赤・緑・黒のポスト。こちらも実働ではない(2019年)

絵・撮影・文=オギリマサホ

ひとはなぜ、平らな台があると上にものを置きたくなるのか。冷蔵庫の上に電子レンジ、ブラウン管テレビの上に木彫りの熊、ダイニングテーブルの上に郵便物、チェストの上に読みかけの本。こうして雑然とした部屋はできあがっていく。
子どもの頃、「なぜこれが駅にあるのだろう」と疑問に思うものがあった。有害図書を入れるポスト、通称「白ポスト」である。成長するにつれて、電車内で読んだ成人雑誌を家に持ち帰らないようにするために駅に設置してあるのだ、ということを理解するようになったが、その頃には既に白ポストは東京23区の駅から姿を消していたように思う。たまに「白ポストかな」と思って近づいてみれば図書館の返却用ブックポストだったりして、うっかり成人雑誌など入れようものなら大変なことである。入れないけれど。