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町中華探検隊とは?
主に昭和の頃に創業し、高度経済成長期~バブル期に続々と増えた中華食堂「町中華」を、記憶し記録する探検隊。2014年に結成し、現在隊員は100名弱。『町中華探検隊がゆく!』(散歩の達人POCKET)が好評発売中。

どちらも主役! タンギョウの総本山

タンメン餃子1290円。塩気のあるスープが、食べ応えのある太麺、どっさりの野菜、そして餃子にマッチ。
タンメン餃子1290円。塩気のあるスープが、食べ応えのある太麺、どっさりの野菜、そして餃子にマッチ。

1959年創業の『來々軒』は、「タンギョウ」発祥の地といわれる。タンメンと餃子のコンビがおいしいと評判になり、気づけばタンギョウを頼む客ばかりになっていた。「できるだけ甘く、やわらかいキャベツを業者に入れてもらっています」とは、店主の荒張好衛(あらはりよしえい)さん。太くて弾力がしっかりした麺と塩味が効いたスープが、野菜のおいしさをいっそう引き立てる。そして、これに抜群に合うのが鉄鍋で作られる餃子だ。スープで茹でた後に焦げ目がつくまで焼き、香ばしくカリカリの仕上がりに。餃子をタンメンのスープで胃に流し込むのは、まさに至福の瞬間だ。

餃子はスープで茹でるのが來々軒流。
餃子はスープで茹でるのが來々軒流。
券売機左上の一番目立つところに「タンメン餃子」。
券売機左上の一番目立つところに「タンメン餃子」。

荒張さんは元々この店の常連客。先代に頼み込んでタンギョウを継承したという。「1週間だけ教えてもらったんです。味はよく知っていたけど、作り方は聞かないとねえ」と、当時を懐かしむ。店内にはオレンジ色の台ふきを置くなど、先代の店の雰囲気も再現。常連客だからこその「來々軒愛」、そして「タンギョウ愛」で見事に店を引き継いだ。

そんな現在の『來々軒』も、これまでと変わらずタンギョウを求める客で連日にぎわい、新たなファンを生み続けている。こうしてタンギョウ文化が次世代につながっていくのだ。

店主の好衛さんを中央に、妻の弘子さんと息子の悟さん。
店主の好衛さんを中央に、妻の弘子さんと息子の悟さん。

町中華探検隊、タンギョウを語る

町中華探検隊として『來々軒』は初訪問。
町中華探検隊として『來々軒』は初訪問。
半澤 半澤

ついに町中華探検隊で『來々軒』さんに来ました!  お二人ともタンメン好きですよね。

トロ トロ

昔から好きなんだよ。

マグロ マグロ

30代前半の頃、町中華に行って、僕はチャーハンとか頼むんだけど、トロ隊長はタンメンを頼んでいて驚いたよ。

トロ トロ

野菜が体に良いからね!

マグロ マグロ

体に良いから食べるっていう発想にびっくりした。自分はそれから20年くらい経って、西荻窪の『はつね』で食べてタンメンに目覚めたね。

半澤 半澤

僕も30代後半になり、タンメン率が増えてますね。

マグロ マグロ

ご主人、『來々軒』さんは以前はもっと年季の入った店でしたよね。確か木造の建物だった。

『來々軒』店主 『來々軒』店主

それは先代の頃で、1本奥にお店があったんです。私がここで店を開いたのが2009年です。

マグロ マグロ

なるほど、そうなると『來々軒』さんが移転した頃にタンギョウブームが到来したということだね。タンギョウを出す店も増えたような気がする。

トロ トロ

そう、「タンギョウ」っていう言い方は、その頃から耳にするようになったと思う。

半澤 半澤

ではご主人で2代目ということですか?

『來々軒』店主 『來々軒』店主

いえ、先代のお兄さんが創業して、先代が2代目。そして私が3代目になります。

常連客が守り抜いたタンギョウ文化

半澤 半澤

ご主人と先代はどのような関係だったのでしょう?

『來々軒』店主 『來々軒』店主

実は私、常連客だったんですよ。大手運送業者で働いていて、しょっちゅう通ってました。

トロ トロ

へえ、そうなんですか!

マグロ マグロ

タンギョウは昔からあったんですか?

『來々軒』店主 『來々軒』店主

初代の頃からこの組み合わせが人気で、当時の常連客がそう呼びだしたようですね。私もお客の頃は、タンギョウばかり頼んでいました。ほかにもたくさんメニューはあったんですが。

トロ トロ

いろんな料理があったわけですね。今ではタンギョウの店と思われているけど、元々は町中華だったんだ。

3人並んで老舗のタンギョウを堪能!
3人並んで老舗のタンギョウを堪能!
浅草開化楼特製の太麺は大迫力。
浅草開化楼特製の太麺は大迫力。
半澤 半澤

ご主人がお店を継がれた経緯を教えていただけますか?

『來々軒』店主 『來々軒』店主

私が継ぐ前に空白の期間が1年ほどあったんです。先代が店を閉めたと聞いて、私は不動産屋を回って先代を探すところからスタートしました。

半澤 半澤

探偵みたいですね!

『來々軒』店主 『來々軒』店主

それで不動産屋に先代の連絡先を教えてもらったんです。

トロ トロ

『來々軒』を継ぎたいと言って、すんなりOKは出たんですか?

『來々軒』店主 『來々軒』店主

いえいえ、断られましたよ。でもなんとか口説き落として、一つだけ条件をつけられたんです。「家族でやるんだったらいいよ」と。

半澤 半澤

なるほど! 確かに従業員を雇うのは大変ですものね。

『來々軒』店主 『來々軒』店主

家族には給料払わなくてもいいから、という考えですよね。

マグロ マグロ

元々飲食店を開くおつもりだったんですか?

『來々軒』店主 『來々軒』店主

そうですね、関西でとんこつラーメンの修業をしたこともあります。でも、そうこうしているうちに『來々軒』が閉店という話を耳にしてね。これはなくしちゃいけないと思ったんです。

マグロ マグロ

『來々軒』の復活は当時大ニュースだったからよく覚えてますが、まさかそんな裏話があったとは!

半澤 半澤

この味とタンギョウ文化が継承されて本当に良かったです。

トロ トロ

ご主人の頑張りがあってこそ今の『來々軒』あるんですね。

自家製ラー油は店内でも販売中。
自家製ラー油は店内でも販売中。

『來々軒』店舗詳細

來々軒(らいらいけん)
住所:東京都江東区東陽3-21-4 ライオンズマンション1F/営業時間:10:30~15:00・17:00~20:00/定休日:水・第3木/アクセス:地下鉄東西線木場駅から徒歩4分

文・構成=半澤則吉 撮影=山出高士
『散歩の達人』2021年2月号より