令和のギャルを知るために町田へ

令和の今、ギャルってどんな感じなんだろう。そう思ったきっかけは漫画だった。

1つは雑誌『りぼん』で1998年から約4年連載後、17年を経て再開した『GALS!!』。そこには2002年に誕生して以来約15年、町田ギャルの聖地だった町田のマルキューが登場。

昨年17年ぶりにアプリにて連載を再開した漫画『GALS!!』。ギャルの主人公・寿蘭と仲間たちが2002年の東京をパワフルに駆け回る。第1話にはかつてのマルキューが登場。Ⓒ藤井みほな/集英社
『GALS!!(ギャルズ)』 Ⓒ藤井みほな/集英社
現・『レミィ町田』(かつてのマルキュー)。

また、昨年から話題の『スーパーベイビー』は今を生きる黒ギャルが主人公。彼女は町田で暮らし、ショップ店員として働く令和のギャル。作者の丸顔めめさんに話を聞くと「独自の文化を生み出すポテンシャルなどギャルの好きなところを挙げるときりがない。その気持ちの根本は憧れです」とギャル愛を語ってくれた。かつて親友のギャルに憧れつつも真似できなかった私(36歳)はその言葉に共感。令和のギャルを知るために、今町田に行くしかない!

熊本から上京し、町田でショップ店員として働くギャル・玉緒は、同じビルのスーパーで働く黒髪・メガネの“原石系”男子に一目ぼれ。玉緒のピュアな恋心とギャル語から目が離せない。Ⓒ丸顔めめ/芳文社
『スーパーベイビー』 Ⓒ丸顔めめ/芳文社
作者・丸顔めめさんからのコメント
ジャンル問わずさまざまなものにあふれ、それが街ゆく人々にも反映されている町田は『ギャルと地味男』な2人が暮らす街にぴったりでした。ギャルは隣にいるだけでハッピーになれる。私もそんな漫画が描きたいです。

町田のティーンの放課後スポット『町田ジョルナ』

44周年を迎えた町田のランドマーク的なビル。地下2階・地上4階にファッション、雑貨や飲食など46店舗が入る。「リーズナブルで気軽に買い物を楽しめる店が豊富です」(開発管理グループ長・佐藤さん)。

意気揚揚と町田駅で下車したものの、ギャルの姿は思ったよりまばら。「町田の若者は『ジョルナ』に集まる」との情報を得て早速向かった。

2階入り口から入って、まず目に飛び込んで来たのはズラリと並ぶ厚底靴。さまざまなデザインがある中、90年代に流行ったような真っ黒い厚底ロングブーツの存在感がすごい。レディースシューズ店『NO FALL』に入りユーロビートが鳴り響く中、話を聞いた。

『NOFALL 町田店』店長・横地さん。
「数年前から渋谷や原宿で厚底靴ブームが再燃し、町田にも定着。10代のギャルを中心に人気。昔と違ってヒールがすごく軽くなり、歩きやすいですよ」と横地さん。

「最近は小中学生から40代の方まで厚底を履かれますが、厚底のロングブーツは黒ギャルに人気ですね」と店長・横地さん。お客さんにギャルは多いというが、「カジュアルファッションがトレンドなせいか、最近着飾ったギャルは減った気がします。前はピンヒールも置いていたのですが、今はペタンコ靴や底が厚めのダッドスニーカーの方が人気です」。

「黒ギャルに憧れ日サロ通い。町田より八王子が安いですよ」

続いて、同じくジョルナ2階にあるアパレルショップ『Brats』へ。アニマル柄やフェイクファーの服が並ぶ店内を進んで行くと1人のギャル店員さんが。「自分はギャルじゃないんですけど」と言いながら、メッシュにカラコン、ショートパンツに厚底の姿は立派なギャルでは!?

「最近は黒ギャル、白ギャル、マンバ、うさギャル(白い肌にゆるふわ系メイクをしたうさぎみたいなギャル)とか、ギャルにも種類があってその中で認められるのが難しいんですよねー。黒ギャルがかわいいから、自分は日サロで焼いてますよ。いつもは1時間2000〜3000円の町田の日サロに行ってますけど、安いのは八王子! 日サロ、癒やされますよ」という20歳のマオさん。

“マルキュー”だった『レミィ町田』の近くには、未だ2軒の日サロが健在。90年代のギャル文化に憧れ、「中高時代は穴の開いたルーソ(ルーズソックス)履いて、絶滅危惧種って言われてました(笑)」。こんなレアな令和のギャルに会えるとは……来てよかった。

「中学時代つけま4枚重ねだった」とマオさん。
ネットで7万円で落としたという懐かしの“アルバ”のコートを披露。

「自分よりもっとギャルいるんで」と呼んでくれたのが、町田出身のスタッフ・モモコさん。36歳ながら高3と中3の子持ち。出産を機にガングロを卒業するも、今もギャル道を歩み続ける。「1日に3回ブリーチしたら髪が切れちゃって(笑)。でも明日もやります」。強い……!

「17歳まで渋谷やブクロ(池袋)で遊んでましたけど、当時は町田にもギャルやギャル男がそこらじゅうに。昔はヤンキー系も多くて、警察の取り締まりが厳しくなってからぐっと減りましたね」。マオさんに現状を聞くと「今はツインズの階段とかでたむろってるかな。町田の子は夜行性が多いんで、夜の方がギャルも多いですよ」。

また、かつてギャル向けだった多くのブランドはギャル以外の層にターゲットを拡大。「渋谷のマルキューのテイストも変わったし、通販で服を買ってるギャルが多いです。今はRady(雑誌『小悪魔ageha』の元モデルがデザインするファッションブランド)を着てる子=ギャルかな」とモモコさん。

「ここ、ギャルいですか? よかった〜! ギャルの店にしたくて頑張ってるんで」と店のディスプレイを気にするマオさんに見送られ、『ジョルナ』を後にした。

モモコさんは長いスカルプネイルだが「指の腹を使って何でもできます」。
『Brats 町田ジョルナ店』のマオさん(右)&モモコさん(左)「ギャルブームまた復活してほしいですね~!」。

最後はギャルが多く通うという駅近くのエクステ専門店『あるじゃんすー』へ。オフショルダーにミニスカ、厚底のスタッフ・マユさんは「エクステじゃないんですけど」と謙遜しつつ、ヘアアイロンでサクッと見事な巻き髪を作って応じてくれた。さすがのコテさばき! 「友達にもギャルは多いし、絶滅してないと思いますよ」。

『あるじゃんすー町田店』のマユさん。「ハイトーンカラーのエクステが人気です」。
「最近は編み込みではなくシールで着けるエクステが主流。シルバーアッシュ系のハイトーンカラーがギャルに人気ですね」。
illust_2.svg

今回印象的だったのは「将来の老老介護のために介護福祉士の資格を取ったんです。頑張り屋な子も多いので、ギャルへの偏見をなくしたい」というマオさんの言葉。

人生100年時代を見据えた令和のギャル、ありがとう。私も前向きにもっと頑張ります!

『町田ジョルナ』店舗詳細

住所:東京都町田市原町田6-6-14 /営業時間:10:30~20:30(一部店舗を除く)/定休日:無/アクセス:JR横浜線町田駅から徒歩2分

取材・文=川端美穂(きいろ舎) 撮影=吉岡百合子(編集部)
『散歩の達人』2020年12月号より