蒲田の名店のカレーを復活
出迎えてくれたのは、店長の千垣内 洋(せんがいとひろし)さん。
かつて蒲田駅東口にあった「松屋カレー」の閉店に伴い、「この味を残したい」と、その店の常連客だったという千垣内さんが、のれん分けという形で1996年に現在地でオープンした。近くには、東京工科大学の蒲田キャンパスがあり、“学生にも愛される店づくり”をコンセプトかかげている。
店内に入って驚くのは、ぎっしりと並べられるマンガ本の数々。「最初は、自分が持っているマンガ本を数冊持ってきたのが始まりで、それから今話題のマンガ本を揃えるようにしました」と話す。なんでも、注文を受けてから少し時間のかかるメニューがあるため、お待たせしているお客さんへのサービスとして始めたのだとか。
店内で食事をする多くの客は、棚からお気に入りのマンガ本を取って読んでいる。
話題作はこの店で読むに限る!
書棚には、昨今話題の新作も並ぶ。でも、まだ連載が終わっていないマンガ本は、これからもどんどん巻数が増えていくばかりなのに、どのように整理しているのか……。
「上に並ぶほど、あまりお客様に読まれない作品となっています。そういった作品は、徐々に店舗から下げてしまいます」と話す。「○○は~には下げます」と店内には、丁寧に貼り紙の案内も!もやは、マンガ喫茶ならぬ、マンガカレー屋だ。
ライスの量やトッピングの組み合わせは無限
カレーは、基本の味となるポークカレーの松家カレーと、牛すじカレーの2種類。これに、温野菜や唐揚げ、豚塩焼カレー、サーロインステーキなど約20種類のトッピングを用意する。
ライスの量も中盛、大盛までは無料で、プラス100円の超盛(150g)、激盛、鬼盛から、プラス200円の勝盛、爆盛(450g)まで7段階から選ぶことが可能だ。小食派には、ライス少なめや半分も選べるので、お腹の具合で選び放題となっている。
名店の味とオリジナルの新蒲田カレーを
今回紹介するメニューは、店一番人気のチキンカツカレー。皮を取り除いた鶏モモ肉を使い、白絞油とラードを合わせた揚げ油で揚げている。カラッと、そしてコクが増したチキンカツは、単体でも十分においしい。
先代から受け継いだスパイスを使っている松家カレーは、塩分・辛さ控えめのマイルドカレー。玉ネギの甘さを感じるやや甘めのルーだ。
卓上には、カレー専用醤油やソース、辛味スパイスやハバネロなど、多数の調味料が用意され、自分好みの辛さを楽しめる。
先代から受け継いでいるのは、味だけではない。卓上に用意される福神漬は、元祖といわれる上野の「酒悦」のものを使っている。昔ながらの7種類の国産野菜を原料したもので、醤油の風味が香る味わいは、甘めのカレールーと相性も良い。加えてラッキョウも食べ放題だ。
メニューのほとんどが1000円以下だが、牛ハラミ焼カレー、サーロインステーキカレー、アンガスビーフステーキカレーなど1000円超えの豪華メニューも話題。
カレーが完成するのを待ちながら、好きなマンガ本を読んで過ごす。お手軽だけれど、なんともいえない至福の食事タイム。ランチに、束の間のマンガタイムでリラックスするのもいいかもしれない。
取材・⽂・撮影=千葉香苗